第百十九話
蒼太視点で話が進みます、風邪はだいぶ良くなりました。
綾子さんを守る、ひいては工藤先輩を悪の道から救うべく俺は2人を会わせ話をさせる事を提案した、工藤先輩相手に話し合いなど無駄かもしれないがこの世に根っからの悪人なんていないと俺は思ってる、人間誰しも生まれた時は純粋無垢な赤ん坊だったのだから
『 恭介先輩本当に来るかな? もし来ても四森くんが居るのを知ったらまた不愉快にさせる様な事を言っちゃうかもしれないわ、本当にいいの? 』
学校近くのファミレスに俺と綾子さんは来ていて工藤先輩を待っていた、以前に友成先輩と一緒に綾子さんを助けた時に工藤先輩から腹立たしい嫌みを言われたのを気にしてか綾子さんは心配そうに聞いてくる
『 俺なら何言われても平気ですから、話をするのは綾子さんと工藤先輩なんですよ、もし工藤先輩が綾子さんを想う気持ちが少しでもあればあんな事思いとどまってくれますよ、俺も出来るだけの手伝いをしますから頑張って下さい。』
何を手伝うのか言った自分でもよく分からないが綾子さんは工藤先輩を慕ってる、家がご近所同士で小学生時代からの幼なじみで一つ年下の綾子さんに優しかったという工藤先輩を俺も信じてみたくなったのだ。
一応この事を青山先輩に話したら友成先輩と共にここに向かってるとの事、心強いのだがあまり事を大きくしたくなかった、警察沙汰にならずに話がうまくいけばそれに越した事はない、しかしいきなり青山先輩達が来ても工藤先輩を怒らせるだけだろう、だから工藤先輩が来る前に
( すぐに工藤先輩や綾子さんの前に現れずにしばらく店の外で様子を見てくれませんか? 2人だけで話をさせた方がうまくいくかもしれません、何か危なくなったらすぐに来てください、頼りにしてます。)
とまあこんな内容のメールを青山先輩に送った、返事はすぐに返ってきた
( 分かった、確かに俺達が出しゃばるよりも2人だけで話させた方がいいかもな、なるべく俺達の出番が無い事を願うよ。)
青山先輩ならこう言ってくれると思ってた、青山先輩といい友成先輩といい高野先輩といい俺は優しくて頼れて尊敬できる先輩達に恵まれた、俺も将来後輩が出来たら頼りにされる様な先輩になりたいな
『 誰にメールしてたの、昨日一緒だった彼女? 』
携帯をしまった俺に綾子さんが微妙にニヤニヤしながら聞いてくる、紗恵の事を言ってるのかな、青山先輩だと言おうとしたがなんか余計な心配をかけてしまいそうだったのでここは紗恵という事にしとこうか、嘘も方便という奴だ
『 そうですよ、今日学校を休んでるから心配なのかメールしてきたんです。』
『 そうなんだ、四森くんはいい仲間達に囲まれてるもんね、昨日の可愛らしい彼女に優しそうなお姉さんに美人な先輩、あと友成さんやあの金髪の人とか・・・、なんか羨ましいな。』
そう言って寂しそうな表情をした綾子さんを見た俺は思わず言った
『 綾子さんにだってこれから出来ますよ、まだ若いんですから、一緒に笑って泣いて喜ぶ様なすべてを分かち合える仲間が! 』
『 ・・・ありがと四森くん、ちょっと元気でた。』
まだ少し寂しそうな彼女を見てるとそうは思えないが突っ込むのはやめとこう、今から彼女は慕ってた幼なじみと辛い話をするのだから、それから程なく店に誰か来た、その人は間違いなく工藤先輩だった
『 恭介先輩・・・。』
『 綾子、なんでそいつが一緒に居るんだ? なあ君、邪魔だからさっさと帰ってくれないか、またフルボッコにされたいのかい。』
かなり不安な出だしだよ、ちゃんとした話し合いになるのかな、いや、今俺に出来る事をしないと折角ここに居る意味がない、この2人には元の幼なじみに戻ってほしいのだ・・・。
月曜は休日出勤になりました、更新は水曜午前零時にはするつもりです。




