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大切な人達  作者: 曹叡
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第百九話

理子視点で進みます。

 『 その女はお兄ちゃんの事を裏切ったんだよ! お兄ちゃんの純粋な気持ちを土足で踏みにじったんだよ!! 工藤や不良達に襲われたってそんなの自業自得じゃない、お兄ちゃんを傷つけた報いだよ!! 』


里奈ちゃんがそう言った直後、私の足は勝手に動いてた、青ちゃんや奈津美達に気づかれない様に体育館の裏手から立ち去った、やっぱり里奈ちゃんにとって私はお兄ちゃんを裏切ったビッチ女なんだ、恭介と付き合いだした頃はそんなつもりはなかったけど里奈ちゃんに会う度にその事を嫌というほど思い知らされる


『 アンタなんかがお兄ちゃんを友達だなんて言うなっ!! お兄ちゃんも友さんも奈津美さんもアンタなんかを友達だなんて思ってるワケないんだから! 』


『 お前はもう俺達と関わらない方がいい、それがお前の為なんだよ、工藤と幸せになるんだな。』


忘れる事の出来ない里奈ちゃんと青ちゃんの言葉、友達にも元カレにも妹みたいに可愛がってた子にも見放された私、いつからこんなに淋しい人生になっちゃったんだろうか? 私だって青ちゃんや里奈ちゃん達と仲良くしてた時があったのに・・・、恭介が最近冷たかったから? 青ちゃんがあまりに里奈ちゃんや奈津美、四森さんやポニーテールの子と仲がいいから? 今更青ちゃんにヤキモチとかできないけど・・・自業自得か・・・、今の私にはピッタリな言葉だよね、青ちゃんを捨てて恭介に捨てられて、こんな私は不幸になるべき人間なんだ


『 おっ、やっと見つけたぞ、やっぱり家に帰ろうとしてたんだな、余計な心配かけさせやがって! 』


自分の惨めさを噛み締め涙をグッと堪えながらながら歩いてると後ろから声をかけられた、誰かと思ったら友くんだった、まさか私を探してたのかな?


『 友くん・・・どうしてここに・・・。』


『 アオから電話があったんだよ、学校でお前が急に居なくなったから捜してくれってな、俺もさっきまで工藤の家でアイツが帰ってくるのを待ってたんだけど誰も帰ってこなかったからな、お前も来なかったしとりあえずお前の家に行こうとしてたんだよ。』


青ちゃんがそんな電話してくれてたんだ、でもどうして自分達で捜そうとしなかったのかな? あっそうか、きっと里奈ちゃんに止められたんだね


『 とにかくお前が無事でよかったよ、さっき彩花からメールが来て蒼太も綾子さんを助けようとして工藤の仲間達からケガさせられたらしいからな、アオや彩花達も病院に行ってるしお前も早く家に帰れ、それと工藤から何処かに呼ばれても絶対に行くなよ!! 明日の朝は俺といずみが迎えに来るからそれまで家で待ってろ、いいか、間違っても1人で勝手に行くなよ。』


友くんはこんな私でも守ろうとしてくれてる、でも今はその優しさも重く感じてしまう・・・、蒼太くんって確か以前に何の落ち度もないのに恭介から暴行を受けて大怪我させられた四森さんの弟よね、また恭介がらみでケガさせられたんだ・・・、心の中で蒼太くんに謝罪すると帰ろうとしてた友くんが話しかけてきた


『 さっきから気になってたけどお前、目が真っ赤だな、何かあったんか? 』


『 何でもないから・・・もう私の事なんかほっといてよ、私は報いを受けなきゃいけないんだから。』


私はもう自暴自棄になっていた、私が不良達に売られるのは青ちゃんを裏切った報いなんだから、悪い事をしたら悪い事が返ってくる、昔にお祖母ちゃんが言ってた通りだったね


『 報いってなんだよ、奈津美さんや彩花から何か言われたのか。』


『 誰だっていいでしょ! 友くんには関係ないじゃない、青ちゃんを惨めに捨てた私にはお似合いの末路なんだからっ!! 』


何も悪くない友くんについ怒鳴ってしまう、でも友くんは穏やかな顔で私に言う


『 そんなヤケになるなよ、確かにお前がアオにした事は褒められた事じゃないけどアオはそんなのもう全然気にしてないぞ、あの4人がアオの側に居るからな、だからお前が報いだか何だか知らないがそんなの受ける理屈はない、お前は俺やアオが必ず守ってやる! そして今度こそ新しい幸せを見つけてくれ、あの4人はどうか知らないけど少なくても俺やアオはそう願ってるぞ。』


・・・友くんの言葉を聞いてたらまた泣き出してしまった、今日二度目ね、私は後悔していた、一時の快楽に流され青ちゃんを裏切った事、そしてせっかくこんな優しい友達が居たのに気づかなかった事を・・・。

貴志と真司の互いの呼称の表記を変えました、漢字だとなんかおかしくなるので。

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