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第169話 協力者!?

最近は多忙の為不定期更新。

それでも続きを待って下さっている方に感謝をm(__)m

 仕方なしに例の小屋の近くで一晩を明かした僕たち。

 再度小屋を訪問するも、玄関から出て来たのは緑髪の男の子だけ。

 そこにはデングの姿は無く、いわゆる完全な門前払いだ。


 3回目の訪問も結果は同じ。

 これが某有名軍師だったら話は違ったのかもしれないが……。


「カナタ、いっそ忍びこむ? この際手段は選んでられないと思うけど……」


 ミウの提案、それの考えは僕の頭の中にもあった。

 しかし、それには問題がある。


「ミウちゃん、薬の区別がつくの?」


「う〜ん。行けば何とかなるかな?」


 流石にその賭けは分が悪い。

 だが、こうしていても埒が明かないのも事実。

 いっそ他の場所で薬を探した方が早いのか?

 しかし、あるかわからない物を一から探すほどの時間は残されていない。

 僕の頭の中では解決にならない解決策が堂々巡りをしているのみで、一向に良い案が浮かばない。


「ん!? カナタ、誰か来るよ」


 ミウの言葉を受け、僕は体勢を整え身構える。

 このような森の奥地に来る者を警戒しない訳にはいかない。


 暫くして、その正体が明らかになった。

 それは僕たちがここ最近目にしている顔、デングの家にいる緑髪の少年であった。

 少年は僕たちに視線を向け一言。


「さあ、行こう」


「は!?」


 彼の言葉に僕の思考がついて行かない。

 かくして、僕は言葉足らずの少年の次の言葉に耳を傾けるのであった。






 そして、僕たちは森を走る

 先頭はミミュー、行きと同じく帰りの道も案内してくれている。

 更にこの場には僕たちの他に緑髪の少年ケンの姿もあった。


「急ごう。デングはそろそろこの事に気づく筈だ。そしてそのまま大人しく見逃してくれるといった甘い考えは捨てた方が良い」


 初対面の印象とは違う少年らしからぬ口調。

 しかし、彼の言っていることは間違っていない。


「ガルルル……」


「五月蠅いの!」


「急いでるんだよ!」


 襲ってきた魔物をアリアが雷を乗せた矢で貫く。

 ミウもそれに合わせて無詠唱で魔法を放つ。

 僕たちの足は止まらない。


 僕はふと横を走るケンを見る。

 そして、先程の彼とのやり取りを思い出した。






「僕が薬を作ってやろう。製法は知っている」


 僕はそう述べた彼の顔とミウ、アリアの顔を交互に見やる。

 彼は言葉を続けた。


「信じられないかい? でも、君たちには信じるしか方法が残されていないと思うけど?」


「その提案をする理由は?」


 僕は彼の真意を見定めるべく慎重に言葉を紡ぐ。


「人命を助けるのは当然の事。それだけじゃ駄目なのかい?」


 どうやら彼は素直に理由を言うつもりは無いらしい。

 僕は如何したものかと考える。

 だが、彼の言う通り他に策が無いのも事実だ。


「カナタ、来てもらおうよ。何か上手くいきそうな気がするよ」


 そんな僕を決断させてくれたのはこの一言。

 今までの経験から言って、ミウの感は馬鹿にならないのは知っている。

 うん、騙すことさえしなければ、この際彼の理由なんかどうでも良い。


「決まったかい?」


「ああ」


 そして、僕は頭を下げ、彼に同行を願ったのだった。






「ねえ、カナタ。来た時よりも魔物の数が多くない?」


「ミウちゃんの言う通りなの」


 それぞれ魔法、弓を放ちながら、2人が僕に問いかける。

 僕は目の前の魔物を切り伏せ、頷いて見せる。


「ふむ。今この森の魔物は興奮状態にある。これはデングが薬を使ったね。どうやら本格的にバレた様だから急いだ方が良い。あっ、ちなみに僕は戦闘は出来ないからよろしく守ってね♪」


 角の生えた種族は強いというイメージが僕の中であったのだが、彼はそうではないようだ。

 男に科を作られても何にも嬉しくないが、守らない訳にはいかない。

 僕は彼と背中に乗ったミミューを庇いながら剣を振るう。

 今のところは苦戦するような強力な魔物は出てきていない。


「強い魔物、出ないね」


「ミウちゃん! 駄目なの!」


 その抗議の声とほぼ同時に、メキメキという音と共に目の前の巨木が倒れる。

 どうやらアリアの制止も空しく、フラグが立ってしまったようだ。

 

 折れた巨木の間から顔を出したのは巨大な灰色熊。

 山のような高さのその体躯は優に3メートルを超え、その頂上では赤い目が爛々と光る。

 身体から微量に発せられる魔力から、この熊がただの動物では無い事は明白。

 そして、その口から滴る赤色の液体。

 恐らくは他の動物か魔物を襲い、喰らっていたのだろう。


「ふむ。食事が終わっているのなら、満足して帰って欲しいものだね」


 ケンが冷静に冗談ともしれないセリフを口にする。

 余裕を崩していない所を見ると、多少は僕たちを信用しているのだろうか?


「GYAAAAAAA!」


 恐竜のような灰色熊の叫び声に、周りの魔物たちが大きく震え、この場から逃げ出しにかかる。


「なるほど。あれ位の恐怖を感じると興奮状態から冷める訳か。これは良いデータが取れた」


 何を悠長なことを……。

 研究熱心なのは良いが、今の状況を分かっているのだろうか?

 ミウも僕と同意見なのか、ジト目でケンを見ていた。

 だが、ケンはどこ吹く風だ。


「GYAAAAAAA!」


 恐怖の反応を示さない僕らが面白くないのか、灰色熊が再び威嚇するように叫ぶ。

 そのお蔭で周りにいた魔物がすべて消えてくれたのは有り難い。

 これで目の前のコイツに集中できる。


 僕はミミューをミウに預け、灰色熊の目の前に立ち塞がった。


「ミウ、アリア。援護を頼む!」


 そして、僕は目の前の巨体に斬りかかった。



 

最後まで読んで頂き、ありがとうございます!

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