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第22話 剛よく魔を制し、柔よく剛を制す


作戦変更して、僕が物理耐性が高い魔猿を、パオっちが魔力耐性が高い剛猿を倒すことにした僕らは、また同じような布陣でツイン・エイプに向き合った。


ツイン・エイプも慣れたものか同じような布陣で僕らに相対する。


そして、僕が魔猿をかわしながら、剛猿に突撃し、魔猿が僕と剛猿の間に割って入った。


今度は僕が比較的速度を落として近づいたため、魔猿の体全体が、僕らの間に入った。


体全体で僕の槍を受け止めようとする魔猿


今までと同じように受けられると思っているんだろう。



だが、残念 狙い通りだ。


僕は割って入った魔猿の土手っ腹目掛けて、目一杯引いた槍を突いた。


「九の型………穿龍……!!!」


ドゴオオオン!!


轟音が辺りに響く。


何て硬さと重厚感だ!


この龍槍は!



魔猿の外皮と筋肉はまるで鉄の岩のようだったが、それも関係ない。


今僕の目の前にいるのは、お腹に大きな風穴が開いた憐れな猿だ。



「ウ、ウオオン………」


呻き声を上げながら、地面に倒れ伏す魔猿


ふぅ、少し突いた右腕に無理をさせたが、少し痺れる程度だな。


インペリオバレーナの時のような亀裂骨折の感覚もない。


あとはパオっちに任せようか。


魔猿を倒されて、焦っている剛猿は、僕と相対するのが不利だと悟って、後衛のパオっち目掛けて突撃した。


「うっひょう!こっち来たにー!誘う手間が省けたろん!猿さんこちら、こっちにおいでー!」


剛猿という巨躯の魔獣に追われながらも、子供の追いかけっこをしているように楽しそうに逃げるパオっち


向かう先は川のようだ。


そして川を背に、剛猿に追い詰められるパオっち


「おっとっと…もう逃げられないぬん」


逃げられないパオっちの様子を見た剛猿は、これ幸いとパオっちに飛びかかった!


「待ってたおろろん。ほいっとさ」


するとパオっちは、後ろ向きに倒れる。


すると、剛猿が勢いのまま、パオっちに触れずに巴投げのように投げられて、川に突っ込んだ!


凄い!


風の魔術と相手の勢いを利用して、巴投げを放ったのだ!


そして川に突っ込んだ剛猿の後を追って、パオっちも川に飛びこんだ。


なんで!?



するとパオっちと剛猿が飛び込んだ辺りの川の水が、球状に浮き上がって、川の上に大きな水球が現れた。


そしてその中心にいるのが、剛猿だ。


大きな水の檻に囚われている。


パオっちは風の魔術で川の水面少し上に浮き上がっている。


「ふっふっふ!川中のみんな、オイラに水を分けてくれー!くらえ、ぐるぐるめりーごーらうんど!」


そしてパオっちは水の魔術を使って水球の中に水流を作り出した。


水流に抗うことができない剛猿は水球の中では、もう何もできない。


数分ほど経つと、水球の中で剛猿は溺れて生き絶えてしまった。


生き絶えた剛猿は、パオっちの水と風の魔術で運ばれて、僕が倒した魔猿と並べられた。



「ん〜ちと、周りくどいけど、レア姉ちゃんに教わった方法でいけろんね。びくとりー!」


「びくとりー!」


戦い終えた僕とパオっちは両手を天に突き上げ、勝利を喜んだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


シリュウとパオの戦闘を見ていた。ティオフィル・アンリは、冷や汗を掻きながら、無邪気に勝利を喜ぶ2人の若者から目が離せなかった。


(ま、魔猿の外皮をぶちぬいた!?なんという膂力と槍の技量……!…….それに剛猿を魔術を用いた搦手で倒しただと?……あの水球を維持しながら水球の中で水流を生み出す魔力操作性…川の水を自身の魔力と同調させ操る魔力感受性…そしてあれ程の水球と水流の維持を可能とする魔力保有量……我が国の一級魔術師と遜色ないではないか!?……いやあれほどの高度な魔力操作性を持つ者は我が国にもいないのではないか……)


王国ではおそらく貫ける者がいないであろう魔猿をたった一突きで貫いてしまうシリュウの剛力と魔術大国である王国の最高魔術師として評される一級魔術師であるティオフィル・アンリでさえ驚愕するパオの魔術の技量は、この場の戦闘を目にした者全てに、これは現実かと疑わせるくらいに信じられないものだった。




(王都に戻り次第、閣下に急ぎ報告せねばなるまい。シリュウ・ドラゴスピアとパオ・マルディーニは、報告以上の存在であることを…それにしてもシリュウ・ドラゴスピアに関しては、名が知られてから日もないことから致し方あるまいが、パオ・マルディーニに至っては幾度も会戦したであろうに、なぜここまで実力が過小されて報告されているのだ!…会戦した貴族家が自らのプライドのため報告を詐称したか、そもそもパオ・マルディーニは王国との会戦で本気を出していなかったか……いずれにせよ我が国にとっては由々しき事態だ)


実際に目の当たりにしたシリュウとパオの実力に、驚愕しながらも王国の行く末を案じるアンリ


そして最も頭を悩ませるあることに気が付く。


(……待てよ……そもそもこれほどの実力を持つ若き将軍を従えているあのリータ・ブラン・リアビティは何者なのだ?ただの皇王の妹ではないのか?破天荒な行動で、皇都を賑わせている道楽皇族だと思っていたが、実際は違う…?……そしてこの王都にわざわざ乗り込んでくる意味とは……)



次から次へと湧き出る疑問と目の前に映る光景に、アンリの内心はパニック一歩手前であった。


(……私のような矮小な人間が考えても仕方あるまい。閣下にありのままをご報告し、ご判断願おう)


そして自らの上司に丸投げすることにした。


そうしなければ、アンリは心の平穏を保てそうでなかったからだ。





レア「うーん、パオに魔術が通らない相手を倒す方法はないかと相談されて、いくつか方法を考えましたが、あれで良かったのでしょうか?」


ファビオ「ふっ、この剣が通らない相手に会ってみたいものだ。どんなものでも切って見せるがな」


レベッカ「あなた?今朝の朝食、食器の片付けをしないまま家を出ましたね?子供達に示しがつきませんよ?」


ファビオ「」


レア「皇国一の剣士も奥さんのお叱りは切れませんね」 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 まさに某クソゲーのスレの解答みたく「耐性もち?なら『レベルを上げて物理(魔法)で殴れば良い』じゃないか」を体現した戦闘結果でしたね(笑) 今回の討伐で、良くも悪くも武…
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