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第14話 皇都事変④〜『ドランゲタ』

列歴98年 7月7日  1区(皇区) 皇宮通り 裏路地 


「んで?抹殺対象者に組み伏せられてるお前らは何してんだ?」


腰まで伸びる長髪に色黒の肌を持ち、胸元が大きく空いた黒いスーツに身を包み、金色の装飾品で着飾った筋肉隆々の男が、リータ達を襲った刺客二人組に問う。


「ち、ちがうんです!ボス!」

「このメイド…半端なく強くて…」


『ドランゲタ』のボスの呆れたような質問に辿々しく答える刺客達


『ドランゲタ』のボスは、刺客達を無視してリータに声を掛けた。


「ご機嫌よう、お姫様。俺は『ドランゲタ』のボスやってるバストーネだ。うちのもんが失礼したな」


葉巻を吸いながら余裕を持って自己紹介するバストーネ


「ご丁寧にどうも。私はリータ・ブラン・リアビティ、いずれこの国の王になる人よ」


「豪快な挨拶だな。噂に違わぬ破天荒ぶりが窺い知れるな」


「噂で私を知ったつもり?じゃあ1割も私のことを理解してないわね」


「はっはっは!この俺を前にしてその口の利き方…胆力は本物だな」


「あなたのような小物に何を怯えろと?」


「一応この皇都の裏を仕切ってるつもりなんだがな…」


リータの強気の発言に少し気圧されるバストーネ


「まぁいい。んで?そんな小物の俺達を雇いたいって?」


バストーネは仕切り直してリータに問う。


「そうよ。この皇区を出るまでね。華族区からはお迎えが来てるからそこまででいいわ」


「相手は『カモラ』と『ノストラ』か……んで?報酬は?」


バストーネはリータを見定めるようにして報酬を問うた。


その問いに対してリータは毅然として答える。








「今ここで刈り取るつもりだったあなた達の命を見逃してあげる。それが報酬よ」





「はぁ!?」

「そ、それはいくらなんでも…」



リータの驚愕の報酬の提示に刺客達は素っ頓狂な反応をする。


バストーネは口をあんぐりと開けて驚き、葉巻を地面にぽとりと落としてしまった。



「本気か……?この皇都の裏を仕切る俺にタダ働きしろと?」


バストーネは目線を鋭くしてリータを睨みつける。



「タダ働きじゃないわ。あなた達の命を見逃してあげるっていうの。これ以上何があるっていうの」



リータの目は本気だ。


まさか奴隷のように働かされるとは思っていなかったバストーネは思案する。



(なぜここまで強気なんだ…?……このメイド……まさかそんなに強い…?)



バストーネはリータの側に佇む金髪のメイドを凝視した。


確かに立ち姿は見事なもので隙は見当たらない。


やられた刺客達も『ドランゲタ』の中では上位に入る武術師だ。


それがこのメイドの前では赤子のように転がされている。


(こいつの後ろにはシリュウ・ドラゴスピアにパオ・マルディーニがいる…警察権を盾に制圧されればひとたまりもないか…)


バストーネはこれが有利な交渉ではないと持ち前の経験則から瞬時に悟り、できるだけ『ドランゲタ』に益がある契約へと持ち込もうと画策する。


「わかったわかった。リータ殿下に従うとしよう。ただ俺達にも面子ってもんはあってな。成功報酬は何かしらいただきたいもんだ」


「まぁいいでしょう。報酬って何?お金?」


「金も魅力的だが、あんたの後ろにはメディチ家がいるだろう?当主との会談を斡旋して欲しい」


「へぇ?思ったより大人びた報酬をご所望なのね?私ならそれは容易だけども、理由を聞かせてちょうだい?」


「簡単な話だ。裏の皇都を牛耳っているのは『ドランゲタ』だが、表の皇都はメディチが牛耳っている。一度表と裏での縄張りの確認をさせて欲しかったところなんだ。あんたとの繋がりは渡りに船ってもんよ」


メディチ家は皇都の商業を手中に収めていることから、バストーネはメディチ家が表の皇都を牛耳ってると表現した。


「ふーん?まぁいいわ。約束してあげる。華族区まで私達を無傷で安全に届けられたらね」


「わかった。期限は?」


「ないわ。とにかく辿り着けばいい」


「なら増援を呼ばせてもらう。おい!テメェら!事務所にいるキオンを引きずって来い!」


バストーネは転がっている刺客達に怒号を飛ばす。


「ちょっ!足を切られて走れないんで…」

「俺も…」


刺客達はヒルデガルドに切られた脚を理由にバストーネの命令に渋そうな顔を見せるが……


「は?」


「いってまいりやす!」

「俺も!」


バストーネが睨みを効かせると脱兎のごとく走って去る刺客達


「すまねぇが、1人手練を呼ぶ。すぐに来させるから少々待ってくれ」


「構わないわ。ルナ大丈夫?」


「大丈夫…少し休んで楽になった…」


「ヒルちゃんは…言うまでもないわね」


「もちろん……寧ろ状況はかなり改善して良かった…」


「ほんとね。流石だわ。増援が来たら夜のお散歩と洒落込みましょうか。女3人護衛をつけてね」


この状況でニカっと笑うリータの胆力にバストーネは初対面ながらもリータの懐の大きさの片鱗を味わっていた。

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