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【閑話】フェルディナンド・フォン・リアビティの独白~窮地の皇王

まずい、まずい、まずい


サンディの帝国に軍を送るべきとの進言を無為にしてしまったせいで、余は窮地に立っている。


事前にヴィルヘルムから皇国の外交使節団が滞在するタイミングで、帝都を襲撃することを聞かされていたため、救援軍さえ送らなければ、リータは帝都にてその命を落とすはずだった。


これで余の立場を脅かす者はこの皇国内にいなくなり、余の地位は未来永劫安泰のはずだった。


しかし外交使節団が一人残らず帰国しているではないか!?


どういうことだ?


しかもサンディも結局余の命令を無視して、救援軍を出しておるではないか!


しかしそのサンディの救援軍が皇国の外交使節団を救っており、このことを咎めるのはあまりにも外聞が悪い。


ここは余が救援軍を出したように見せかけるしかない。


サンディには金を掴ませ、黙らせよう。


しかしリータがまた生き残っているのか。


昔から余の妹でありながら、学問も容姿も優れており、余の劣等感を刺激してやまない憎き存在


ついにその存在を抹消できると思ったが、悪運が強いのかまた生き残ってしまった。


それに王国と帝国との外交で、これ以上ない成果を挙げており、余の勢力圏内であった外交省がすっかりリータの配下のようになっているではないか。


しかも外交大臣のライモンド・サルトリオ侯爵が実はリータの息がかかった人物だったなど何の冗談であろう。


リータの息がかかった人間を政庁から一掃できたと思ったが、メディチの勢力圏内である商業省は一切出だしが出来ぬままで、外交省は落とされてしまったも同然。


後は余の勢力圏内は、財務省、宮内省、国土省、民部省か


教育省はタキシラの影響力が強すぎて、余も手出しが出来ぬ


しかし7つの省庁のうち4つを抑えているから、『閣議』の決定権は渡してはいない。


リータもまだ軍の『円卓会議』の決定権を確保できていないようだし、皇都の勢力争いではまだ8:2で余の方が有利である。


しかしリータの後ろにはあのメディチがおり、ここ最近はシリュウ・ドラゴスピアに入れ込んでいるようだ。


あのリータが武力を手に入れると厄介この上ない。


至急リータからシリュウ・ドラゴスピアを引き離さなければならない。


間違ってもリータが軍部を掌握し、『円卓会議』の決定権を取るようなことがあれば、余も最終手段に出ねばならない。


しかしそれは破滅の道だ。


今はただリータの勢力を削がなければ…


余の息子にこの皇王の皇位を禅譲したいが、リータが皇位継承権の一位であるゆえ、余から息子に禅譲することは叶わない。


リータが存命である限りは。


しかし早く禅譲をしなければ、余の大罪が白日の下に晒されてしまう。


そうなる前に即位した事実を作らなければ。


まずい、まずい、まずい


余はいったいどうすれば!


いや、余だけこんなに頭を悩ませなければならないのか。


ここは共犯者であるベラルディとパッツィにも頭をひねってもらおう。


余たちがまだ春を謳歌できるように。


民を想う改革者などこの皇都には不要なのだ。



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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 今章は政治と権力メインになるんですね。閑話を読む感じ、国と民の未来を見据えて行動しようとしたカール皇帝と違って此方のは…(クソデカため息) リタさんも完璧に皇帝に相応しい…って訳…
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