第134話 すっぴん対Air Ash
今朝はイキナリ学園SNSに驚かされたが、実は雑事にかまけていられない大事な1日なのだ。
今日の放課後、つまり今から体育館で『すっぴん』対『Air Ash』の選抜ライブが始まる。
両バンド軽音フェス用の1曲しか演奏しないが、事前の告知ライブの甲斐あってか、かなりの生徒たちが集まってくれた。
「おう……結構集まってるな」
「なに? 古谷先輩緊張してるの?」
「し……してねーよバカ」
強がってはいるが、古谷先輩は明らかに緊張していた。対する結衣さんは普段と変わらない様子だ。
適度な緊張感はパフォーマンスを高めるが、過度な緊張はパフォーマンスの低下を招く。うまくリラックスして普段通りのパフォーマンスを発揮して欲しいと祈るばかりだ。
そしてセッティングが終わり先行の『Air Ash』のライブが始まった。
アップテンポな8ビートで刻まれる車谷先輩の重厚なギターリフに古谷先輩のギターがオクターブ奏法でキャッチーなメロディーを添える。
グリスでハイポジションまで一気に移動した林先輩のベースが、アンサンブルにアクセントを加え他ところで、田中先輩がハイハットでカウントを刻み勢いのあるイントロが始まった。
ロックならではの縦ノリが気持ちいい。普段より走り気味ではあるが問題ない範囲だ。緊張の心配もなさそうだ。
そして古谷先輩のヴォーカルが入るとオーディエンスのボルテージが一気にあがった。
これがカバー曲の凄いところだ。
今回『Air Ash』がチョイスしたような知名度の高い曲は特にオーディエンスがノリやすい。ヴォーカルが入ったところで一気にボルテージが上がったのは、イントロは知らないけど歌は知ってる層が上手くハマった証拠だろう。
僕たち『織りなす音』にはないアドバンテージだ。
終始オーディエンスをノせていた古谷先輩のライブパフォーマンスはさすがだ。演奏面はやや荒削りではあるが、シンプルに格好良かった。
僕たち『織りなす音』は実力者揃いだが、それゆえに『Air Ash』のようなシンプルな格好良さに欠ける。演奏の上手い下手だけがバンドの魅力ではない。
その証拠に『Air Ash』の演奏が終わった後も、僕の気持ちはこんなにも昂ぶったままだ。
いいパフォーマンスを見させてもらった。
すごく勉強になった。
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