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お昼寝したいのに主人公が爆散したからできません ~モブだけでも世界は救えるのか~  作者: サイリウム


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74:あっさりと


おぉ、その素晴らしき悲鳴はわが友、モミジではないか?


とまぁ脳内でふざけつつ、彼女たちの到着に安堵します。



(チロさんだけでは厳しいというのは、最初から分かってましたからね。来てくれて助かりました。)



この世界に飛び込む前、もしものことを考えて王女に連絡を入れていました。


何せ私も知らない『空間の破壊』を目論む敵なのです。中に入ってしまえば増殖した辺境伯がこちらに攻め込もうとしていたのは簡単に理解できましたが、その前は解りませんでしたかね。“こういうこともあろうかと”で行動していた私に花丸を上げたいところです。


ちなみにですが、彼女達の移動方法はおそらく『バグワープ』です。比較的早く移動できる虚空移動でも、あの村から辺境伯領地まで時間がかかりますから。ボブとボブを壁の間に挟み込み、そこで反復横跳びをすることで『物体と物体のスキンが重なった時弾かれる』システムを利用してぶっ飛ぶ奴です。



(やり過ぎるとクラッシュするから私は使いませんでしたが、流石王女。)



あの人は私の為なら世界を犠牲にしても大丈夫とか平気で言う奴です。面白いので備忘録代わりに彼女に教えていたのが幸い……、うん。幸いしたのでしょう。確実にモミジちゃんが泣き叫んでいたでしょうし、この世界に対しても叫んでいますが、彼女の叫びは私に癒しを与えてくれるので、結果的には問題ありません。オールオッケーです。


そんなことを考えながら、依然として数字を口にし手を振って彼女たちを迎えると……。凄い顔。え、どうしたんですソレ。


いずれ狂って壊れるだろう人がついに壊れちゃった! もう手遅れだしどうしようもない! 的な視線は。


私まだ正気ですよ? 0と1の羅列をずっと言い続けてはいますが。



「111001011000010110101000111010011000000110111000111001101000101010011110111001101011011010001000111001011000111010111011」


「……なんじゃろ、視線だけで童の言いたいこと大体わかっちゃうんじゃが。これ喜んでいい奴かの?」


「駄目な奴じゃない?」


「も、もしや愚民! 貴様が主様に何かしたのか!? 許せんッ!!!!!」


「なわけないでしょ馬鹿。後、敵に囲まれてるから助けなさいな。」



そう言うチロさんを未だ睨む王女でしたが、私が首で『従え』と伝えればすぐに不満そうな顔を収める彼女。便利ではあるのですが、村での事故みたいなのが起こりかねないので怖いんですよね、この人の忠義……。


まぁ今気にしても仕方ない事。彼女達の移動手段としてボブバイクとボブカーを用意し、適当に座らせます。この4人の中で最大火力は依然として私ですが……、モミジちゃんがバフを入れ、そこからチロさんと王女で袋叩きにすれば倒せる辺境伯もいるでしょう。邪神よりは強いようですが、どうやらこの空間にいる辺境伯は『ギミック破壊後』のもののようですし、数を減らすのはそう難しくない話です。


じゃ、お願いしまーす。



「はい、主様ッ!」


「とりあえず数減らすわよ! モミジ!」


「バフじゃな。ほいほい。……今さらじゃが、なんで儂戦わされてるんじゃろ? 巫女じゃぞ儂。非戦闘員じゃぞ儂、蝕虫どうにかするだけが仕事じゃぞ? そもそもここ何処なんじゃ? 明らかに儂らが知る世界じゃないし……。」



なんか文句を言いながらも、的確に仕事だけはしてくれるモミジちゃん。


彼女が懐から取り出した札たちが宙に舞い、チロさんたちだけでなく、私にも張り付いて行きます。どうやら……、全能力が向上する札のようです。巫女系列の支援系スキルですね。急なレベリングで練習する暇など無かったと思うのですが、ちゃんと活用されているようで何より。



「主様の敵はぁ、滅殺すべしぃぃぃいいいいい!!!!!」


「あぁもう突っ込んで。……一応合わせた方が効率的かぁ。モミジ、離れないようにね!」



そんなバフを受けた瞬間、発狂しながらボブバイクに飛び乗り、敵に突撃していく王女。


即座に自分の指を噛み千切り、その体内の血を外に放出。そこから血魔法を併用することで、巨大な剣を生成します。後はそれを振り回しながら、まるで意思のないロボットのように動く辺境伯をなぎ倒していく。殺し切れはしませんが、質量差と速度から次々と辺境伯を吹き飛ばしていきます。……いくら魔力で再生できる特殊なアンデッドと言えど、自分で指噛み切るとか相当ですよね。彼女。


んでその後ろから、的確に獄炎を放って行くのがチロさん。王女の攻撃と合わせることで、ギリギリ敵のHPを削り切ることが出来るのでしょう。白い炎に包まれた数百体のうち、ようやく何体かがその形状を保てず燃え尽きていきます。


ですがこれでも、増殖するスピードを少し減らせるぐらい。



「チッ! これでもダメか! カーチェ、まだなのッ!」


「111000111000000110001010111001011000100110001101111000111000001010010010111001101010111010111010111000111000000110011001」


「あーもうッ! いつまで待たせるのッ!」


「というかなんで童は0と1ばっか言い始め……、ぎ、ぎゃぁぁぁあああああ! ま、前におっさんが! おっさんが張り付いたのじゃッ! く、来るなぁァァァアアアアアアアアアア!!!!!」



2進数コードを入力しながら、キレ散らかしているチロさんの様子を鼻で笑うと、背後から心地よい悲鳴。


ふりかえってみてみれば、ボブカーに張り付き乗り込もうとしている辺境伯が沢山。あらら、これでは乗り込んだモミジちゃんが死んでしまいますね。まぁバフという仕事は熟してくれましたし、後はもう眠って頂いても構いません。ちゃんと忍者の里に銅像と綺麗なお墓を立ててあげますから、文句言わないでくださいね?



「わ、童ぇぇぇ!!! みす、見捨てるのかお主ッ! なんかめっちゃ『まぁもう死んでもいいか』みたいな顔でこっち見おったな! 見おったなッ! た、助けてくれなのじゃァァァアアアアア!!!!」


「111001101011011010001000111001011000111010111011」


「ちッ! 叫ぶなら手を動かせ畜生!」


「畜生じゃないのじゃぁぁぁあああああ!!!!!」



泣き叫びながら御札での攻撃をするモミジちゃんでしたが、相手は辺境伯。ちょっとしたデバフを与えることは出来ても、殺すことはままなりません。


しかしそこに助けに入るのが、何とびっくり王女様。先程まで取り出していた血の剣で自分の背中を切りつけたかと思えば、そこから血魔法で血を噴射。背後にいるモミジ車に張り付く辺境伯たちに対し糸のような血を放射し、巻き取ってしまいます。そしてその血が一気に活性化し、串刺し。更にそこからチロさんが炎を放射することで一気に辺境伯を壊してしまいます。


……あぁ成る程、デバフが思った以上に刺さってるんですねコレ。明らかに劣化コピーなので弱体化しているとは思っていましたが、そう言う事ならモミジちゃんは良い囮となるでしょう。ではボブカー、王女。指示通り動きなさい。



「ギャ!」


「畏まりましたッ!」


「ふぅ、何とか助かっ……。え、何ッ! 何するのじゃッ!」



安堵の息を突く間もなく、動き出すモミジ搭乗ボブカー。


私の指示に従い彼が車体から取り出すのは、とあるアイテム。えぇそうですね。この世界において『敵の攻撃を自身に集中させる』ことでおなじみのアイテム。『ミラーボール』です。ほらノリノリのパーティ会場とかに天井から吊らされてそうな光る球体です。それを車体から天高く持ち上げ……。起動します。



「のじゃッ!? ……ぉお眩しいぐらいにキラキラじゃの。………な、なぁ童? その。あの敵みたいなおっさんどもが一斉にこっち向いたのじゃが。」


「1110001110000001100010101110001110000010100000101110001110000001100101111111000111000001010001101」


「眼がッ! 眼が笑ってッ! の、のじゃぁぁぁああああああ!!!!!」


「……アンタあの子に殺されるわよ?」



彼女にそんな度胸ありませんし、善性の人なので問題ありません。


そう視線で答えながら、辺境伯たちに呑まれるモミジちゃんを眺めていると、即座に王女が動き先ほどと同じように敵を拘束してからの串刺し、チロさんの炎コンボが決まっていきます。まだ辺境伯は増え続けていますが、ちょうどこれで殺す速度と同じくらい。均衡を保つことが出来ました。


うんうん、イイ感じですね。


後はこっちが唱え切るだけなので……



「……0101111000、うん。出来ました。」


「なにがッ! ……は?」



チロさんがそう言った瞬間。この空間に存在していたすべての辺境伯の動きが一斉に止まり、その輪郭がブレていきます。そして次の瞬間起きるのが、存在の消失。0と1の数字によって構成されていたその体が徐々に、しかし確実に溶けていきます。えぇ、この場にいる辺境伯全員が、です。



「な、何したのよアンタ……。」


「バイナリでコード打ち込んで全部消去しました。まぁ他にも色々入れましたが……、コレで雑魚敵は全て消し飛ばすことが出来た感じになります。あ、あとですが……。」



そう言いながら取り出すのは、『私達がよく見るアイコン』そのもの。


えぇそうです。お使いのPCの大体左上になるあの箱。『ごみ箱』ですね。



「ここに辺境伯に類するデータ全部入れたので『ごみ箱を空にする』のボタンを押せばこの世界から奴が完全にデリートされます。あ、ちなみに“増える場所”を全てゴミ箱内に設定することに成功したので、もうこのクソみたいな存在に怯える必要はありません。」


「ほんとうに何したのアンタ!?」



いや言っている通りのことなのですが……。早い話、このボタンを押すだけで私たちは完全勝利、というわけです。


おそらくいまだ始まっていないDLCコンテンツのキー的存在である辺境伯がゲームスタート前に撃破されたせいで起こったんでしょうね、この事象は。そのため出てくる辺境伯も本来のものでなく、ギミックを全て排除されたザコのようなコピー。増殖速度が遅かったのも、そもそもの前提が違ったというのものなのでしょう。


確かに非常にあっさりとした終わり方であるのは私も理解していますが……。



「リアルってそういうもんじゃないですか? というわけでデリート。」



説明が面倒になって来たので、ボタンをぽちっとすると表示される緑のバー。するとどんどんそれが進んで行き、端まで到達すれば綺麗に除去完了。という感じになります。



「うんうん、これで全部おしまい。ってわけですね~。あ、エンディングはちゃんと流しますので、最後まで見てください。解ってますよね、『画面越しのアナタ』。」






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