65:悪逆非道な王
さて……、ではまず、自身の以前のステータスをご覧いただきましょう。
私がチロさんにどやされて、忍者の里への移動を決めた日のものに成ります。
[STATUS]
JOB : 風魔
Level : 8 (3周目)
EXP : 153734 / 153734
HP : 31 / 31
MP : 38 / 38
ATK : 29
DEF : 45
M.ATK : 38
M.DEF : 31
SPD : 38
LUK : 8
Skill : 死霊術
上級忍術
秘伝忍法
元々の成長率が低いせいか、全体的に伸びが悪いという事実。それを弛まぬレベリング、経験値おじさんの献身によって補っていたのが、自身のステータスです。しかしおじさんが魔王と融合し最強になった今。その経験値効率はうなぎ登り、放置すれば放置するほど強くなるわけです。
しかし、この『天アバ』にはマスクデータというものが存在しまして……。レベルを上げれば上げるほど、累計レベルが向上し、必要経験値が莫大になっていくというデメリットが存在していました。いくら魔王と融合したとしても、吐き出す経験値は一定。いずれ魔王ですらしょぼい経験値に成ることは目に見えていました。
(なので……。改善を行ったのです。)
まず、融合した経験値おじさん。彼は配置したアンデッドが首を落すことで経験値を吐き出す機構を有していたのですが……。最近アップデートを行い、幾つかのバグを併用することで『死』と『生』の間を高速で行き来して頂くことにしました。
首に斧が叩き込まれ死亡した瞬間に、担当ボブがバグによって“リポップ”させることで、それまでの再生よりも高速化。そして“斧が叩き込まれた”という事象を固定することで、リポップした瞬間に死ぬという機構が完成。このゲームの当たり判定を認識する速度、0.05秒ごとに経験値が吐き出されるシステムを生み出すことに成功したのです。
(そして次に行ったのが、投資。経験値おじさんの増産です。)
先程モミジちゃんに説明したように、自身は王女に命じ『常人が経験値おじさんを使用した場合における精神的負担』を実験していました。残念なことに千をこえると大体廃人になってしまうという悲しい結果に終わったのですが……。お話は、それだけでは終わりません。
王女という権力者と、私の原作知識。それによって王国中に広がるすべての『ポイント』を王家所有の土地として買い上げ、要塞化。王女が統括するゴーレムを配置することで警備させました。表向きとしては『治安維持を行うゴーレムの詰め所』というものですが、実際は『経験値おじさん』のための施設。『人権が保障されていない死刑囚や盗賊』を放り込み、日夜奉仕活動に従事して頂いています。
当初は単なる実験施設でしたが……、再利用は基本でしょう?
(無論、おじさんは“おじさん”だけではありません。)
いくらおじさんと言えど、元はただのおじさん。吐き出す経験値量は低く、魔王とは比べ物に成りません。そのため効率化を行うため、その地域の最大経験値の魔物を捕獲し、輸送。おじさんと融合させることでその効率を跳ね上げています。魔王との融合が成功したからこその改善です。まぁさすがに本家大本のおじさんには劣りますが……。そのすべてが、毎秒莫大な経験値を生み出してくれます。
そしてそのすべてが、この身に注がれるわけです。
そもそも、王女は分類だけを言えば、ボブと同じ私配下のアンデッドです。そして王女が統括するゴーレムたち、元々王墓を警備していていた彼らも、分類を言えば私のボブと同様。魔物に分類される彼らは経験値を必要とせず、そのすべてが私に献上される形になっています。
というわけで効率化に効率化を重ね、より強化された私が、こちらに成ります。
[STATUS]
JOB : 風魔
Level : 100 (10周目)
EXP : 999999 / 999999
HP : 66 / 66 (+35)
MP : 82 / 82 (+44)
ATK : 60 (+31)
DEF : 87 (+42)
M.ATK : 67 (+29)
M.DEF : 76 (+45)
SPD : 86 (+48)
LUK : 30 (+22)
Skill : 死の王 (←死霊術)
皆伝忍術 (←上級忍術)
忍の神 (←秘伝忍術)
人の理 (←医療術)
はい、こんな感じです。経験値がもうカンストまで叩き込まないとレベルアップしない状況になってます。
ついでに無事スキルの方も限界まで成長したので、ちょっと物々しい名前になってますが、そう出来ることは変わりません。あ、ちなみに最後の『人の理』ってのは、回復系上級ジョブで手に入るスキルの一つです。『人体への理解がより深くなる』というフレーバーテキストに目を付け、ボブをより強化するため寄り道がてら入手したスキルです。特に意味はないので放置してもらって結構です。
「ひ、人の子が凄い事なってる。より良い未来へと導く天使としては歓迎すべきなのだろうが、これ歓迎していいのだろうか……?」
「ふつうに私より強いわね。道理で溶かし切れないわけよ……。」
「も、もっとそれより突っ込むことあるじゃろ! 人と魔王の融合ってなんじゃ!? 経験値おじさんってなんじゃ!? あとこの童、蝕虫多用しておる! え、もしかして儂、この後お仕事?」
「あ、じゃあついでにこの『バグボブ』のデバックもお願いします。」
「ほんぎゃぁぁぁあああああ!!! む、蝕虫の固まりぃぃぃ!!!!!」
はい、というわけで御札を取り出して泣き喚きながらデバッグし始めたモミジちゃんは置いておいて。テーちゃん、転職させてください。
「あの狐の人の子、放置して良いのか? まぁ我の仕事故、転職は行うが……。して、今回はいかなる職を選ぶつもりだ? 我としては10度も『風魔』を繰り返しているのだ、また気分転換してみてもよかろう。」
「えぇ、そのつもりです。んじゃまたDLCからの適応をお願いしますね。あ、そう言えば確かスキン変更も出来たはずなので……。ちょっとやってみてください。」
「スキン変更? なんだそれは……、ってあったわ。我の権能にこんなものまであったとは……。うん? なんで未来の天使である我にお着替え機能までついてるのだ? 未来とは?????」
まぁまぁそれは置いておいて。私の転職、お願いします。
「うむ、では始めよう。」
彼がそう言った瞬間、ゆっくりと自身の手をその目玉に重ねた瞬間。
その粘着質な網膜から、ドス黒い光が全身に流れ込んできます。えぇ、そうです。今回自身が選択するのは、『死霊術師』同様、自身のカルマ値が関係して来る職業です。そしてこれは、この世界、『天帝のアバンギャルド』において2番目に強力な職業です。普段の私でしたら1番目を取りたいところですが、あれって主人公専用のDLC追加職ですからね。これで我慢しておいてあげましょう。
そんなことを考えていると、天使の彼から流れ込んでくる力は、より強力なものへ。
私の中だけでなく、外へも影響を及ぼしていきます。それまで着ていた普段着の甚平を包み込み、真っ黒に。
内外共に形すら変えていく闇の力。
カルマ値を限界まで下げ切らねば到達できない、この世の敵を全て撃滅するために生み出された、より強固な敵。
その名は、『邪冥黒冠』。
毒を持って毒を制すように、悪を持って悪を征するのが、この新しい職業です。
少々不本意ですし、中二っぽい名前であまり好きではないのですが……。この身に相応しい職業かもしれませんね。
[STATUS]
JOB : 邪冥黒冠
Level : 1
EXP : 0 / 999999
HP : 80 / 80 (+24)
MP : 82 / 82
ATK : 65 (+5)
DEF : 87
M.ATK : 67
M.DEF : 76
SPD : 86
LUK : 30
Skill : 死の王 (←死霊術)
皆伝忍術 (←上級忍術)
忍の神 (←秘伝忍術)
人の理 (←医療術)
顕現 (new)
「うむ! 黒茨の冠に、真っ黒な王の装束。人類で一番カルマ値が低い人の子に相応しい姿ではないか? サービスとして、初めてメイクをさせてもらったが……、悪逆非道な感じがよく出ていると思うぞ! あ、鏡は必要か?」
「……テーちゃん?」
「うーわ、戯れで大虐殺しながら、人が苦悶する様子で酒飲みそうな恰好してるわね。あとテーちゃん、メイク上手いじゃない。普通にコレで食ってけるわよ?」
「チロさん?」
「ぎゃぁぁぁあああああ!!! なんじゃこの蝕虫ぃぃぃ! 複雑すぎて解けんのじゃぁぁぁ!!!!!」
あ、モミジちゃんはまだバグボブと格闘してるんですね。はい。
〇悪逆非道なカーチェ
どれだけカルマ値が限界突破して下に突き抜けようとも、未来の天使テイアイエル(テーちゃん)からすれば導くべき可愛い可愛い人の子。ということで張り切って初メイクしてあげたのが、この姿。ヴィランメイクっぽい感じになっており、服装も真っ黒な装束で統一されている。プリセット化されたため、カーチェに限りいつでもワンタッチでお着替え可能。戦闘時に着替えてあげないと、テーちゃんがちょっと涙目になる。
チロさんからの評価は『どこからどう見ても世界の敵』。バグボブに何とか勝利し修正し終わったモミジちゃんからの評価は『やっぱりこの童、刺し違えても封印した方がいいんじゃないかのう? いやもう強すぎて、全世界味方につけて戦うような敵じゃないかの?』とのこと。
なお例の王女からカーチェに、『おめでとうございます主様! こうなったらもう王国だけじゃなく世界も捧げなきゃ……』というメッセージが届いたため、『やめろ馬鹿』という言葉と共にまた着拒された。




