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お昼寝したいのに主人公が爆散したからできません ~モブだけでも世界は救えるのか~  作者: サイリウム


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48:ともだち




真っ白な光に包まれていく魔王。うんうん、流石チロさん、イイ攻撃ですね。ただ普通に殺し切れないので光が収まる前に準備を始めてしまいましょう。



「え。普通に一撃で屠っちゃうような威力だと思うんだけど。たぶん人生で一番うまく制御できた魔法だったし……。」


「えぇ、仰る取り第一形態での魔王は一瞬で蒸発したでしょうね。その威力にも技量にも感嘆するばかりです。しかし奴は魔王、2回殺さねば死なない厄介な奴なのです。まぁそれを利用するわけなのですが……。ささ、おろしてください。」



そうお願いし、抱っこ状態から解放してもらいます。


というわけでこれから第二形態の魔王を倒していくわけなのですが……。その前にまず、彼のステータスを確認しておきましょう。やはりボスと戦う際はその数値と行動ルーティンをしっかりと見極め、攻略していくのが基本ですからね。チロさんにも理解できるよう、懇切丁寧にご説明して差し上げましょう。


では、はいっと。




[STATUS]

Name : No Name

JOB : 復活の魔王

Level : 1

EXP : 0 / 0


HP : 500 / 500

MP : 500 / 500


ATK : 120

DEF : 80

M.ATK : 150

M.DEF : 70

SPD : 50

LUK : 0



とまぁこんな感じになっております。どうです魔王、結構強い感じでしょう? まぁこちら第二形態ということでちょっぴり強くはなっているんですが……。ボスとしてはそこまで評価の高くない敵となっています。


だってこいつ、真面なギミックないんですもん。



「まぁストーリー的に考えれば、ラスボスの雰囲気を醸し出している中ボスですからね……。上に邪神とかその配下とか色々いますし。どうせステータス高いだけの雑魚です。人によっては四天王の雷の方がギミック面白くて好きだった、って方もいましたよねぇ。……まぁそいつもチロさんが一撃で吹き飛ばしましたけど。」


「何の話!? というか滅茶苦茶強いじゃないッ!」


「だから雑魚ですって。というわけでちょっとこっちに寄ってください。」



そう言いながら、チロさんを手招きし移動を開始します。


先程彼女の攻撃で吹き飛んでしまった魔王ですが……。何と彼、第二形態に移行する際、ムービーがご用意されているのです。まぁ早い話、相手も味方も行動できず、立ち位置も全て所定の場所に移されてしまう、という動作が用意されているのです。しかしこちら、結構致命的なバグが残ってまして……。



「ムービー時での立ち位置、“主人公”が起点になってるんですよね。」


「……主人公って誰?」


「村で爆散死したルール君です。」



主人公と魔王が向かい合う様な位置に配置され、主人公の後ろにその仲間たちが配置されていくのですが……。こちら、とあるバグを使用し『本来ここでは“必ずパーティに入れておかなければいけない”主人公を一時的に外す』ことで、魔王が喋ってるムービー時間の間、好きなだけ動き回れるというものが報告されていました。起点がいないことでキャラの設置が出来ず、プレイヤーの操作を受け付けてしまう、ってやつですね。


もしここにあのクソルールでもいれば、私達も“規定位置”に置かれていたのかもしれませんが……。そもそもこの世界に彼はもう存在しておりません。つまり魔王が第一形態から第二形態に移行する際、自由に動き回ることが出来るんですよねぇ。



「ということで、魔王の真後ろに移動しました。……吹き飛んだ体が急速に再生していって気持ち悪いことになってますね。」


「うわほんとだ、というかさっき消し飛んでたのに無から復活するとか無法でしょ。」


「私もチロさんも出来ますよ?」


「は???」



とまぁそんな雑談を挟みながら、準備を進めていきます。


まず魔王の玉座をアイテム欄に入れるでしょう? んで次に最近掘り返した骨で作った椅子を代わりに置くでしょう? あとはそこに死霊術師の『アンデッド化』を挟むことで新たなボブ、ボブチェアにしまして、一定の指示を入力。


あとはどこのご家庭にもある『王墓で入手したなんか死体に巻き付いてた「不壊属性」のついた布』を魔王に巻き付けまして、ボブチェアのちょうど魔王の尻と背中が当たる部分にこれまたどこのご家庭にもある『確定で状態異常を付与する武器』を各種設置し固定すれば、これで準備は完了ですね。


あ、一応チロさんにもお仕事ありますので準備願います。



「別にいいけど……。なんでこの人誰もいない場所に向かって話してるの?」


『くッ! この魔王をここまで追い詰めるとは! しかし残念だったな人類! この我はまだ本気を出してはおらん! そしてその本気を見て生き長らえた者もおらん! 我が真の姿を見、絶望のまま消え去るがいいッ!!!』


「ムービー中ですし……、ほらコイツのお目々見てください。まだ再生中みたいで溶けたガラス玉みたいになってます。視界がしっかり保ててない状態のようですね。……適当にボブでもおいておいて屈身煽りでもさせておきましょうか。」


「なんかこう、哀れみを覚えるわ。」



チロさんがそう言った瞬間、どうやら魔王の前口上が終わったようで……。その体から凄まじい衝撃波が発せられます。変身前の力み、みたいなやつです。一瞬にして豪華だったこの玉座の間に罅が入り、魔王城自体がきしみ始めますが……。特にダメージの無い衝撃波なので、軽ーく受けて後は無視するだけでいいです。


と、ではそろそろムービーが終わりますので……。



「その瞬間に、先ほど魔王に巻き付けた紐を全力で引くことで、無理矢理魔王をボブチェアに座らせます。」


「さぁ殺し合……。え、は?」



着席した瞬間、魔王の背中と尻に突き刺さる、確定状態異常の武器たち。


確か麻痺と毒と出血と呪いと火傷と凍傷でしたっけ? より取り見取りですね。んで突き刺さった瞬間、動き出すのはアンデッドであるボブチェア君。即座に魔王の身体を拘束し、動けなくしてしまいます。まぁボブチェアと言っても単なるアンデッドなので、普通は払いのけられてしまうのですが……。各関節を完璧に固め、同時に各種状態異常にしたことで、彼はもう欠片も動けないでしょう。



「ではチロさん。『大火球』8発と『小火球』を1発。後は上級魔法で取得した竜巻系を使用してください。継続ダメージを与える奴です。初めてだと思いますので、詠唱を書いたメモをご用意しました。あ、炎でいいですよ?」


「あ、うん。えっと、火球打ち込んで……。“炎の奔流、我が意思に従い、かの敵を焼き千切れ”。『炎の竜巻』。……あ、成立した。」


「はい、完璧です。あ、騒がれたらうるさいから猿ぐつわしておこ。」


「おごっ!? が、ガァァァアアアア!!!!!」


「うわめっちゃ怒ってる。おもしろ。」



そんな叫んでる魔王ですが、流石魔王というべきか、こいつはHPの自動回復効果を保有していました。


スキルとかでではなく、自前の能力に成りますね。一応スリップダメージを与える状態異常を各種与えているのですが、実はこれだけだと回復量の方が上回っちゃいまして……。チロさんの魔法でそもそもの体力を大きく減らし、自動回復量と、継続ダメージ量を『均等』にした。というわけです。


先程計算したところによると、今現在の魔王のHPはおそらく14といった所。


防御無視効果が付いた武器でも用意すれば、簡単に倒せる状態に相成りました。



「じゃ、これ連れて帰りましょうか。」


「……これ?」


「はい。経験値おじさんのお友達にします。」



というわけでまた泣き喚いちゃったチロさんを連れながら、ボブバイクに騎乗し虚空の中へ。バイクの後ろにつなげた魔王を引きずりながら、みんな大好き経験値おじさんのお家。放棄された墓地へと帰ってきます。



「……もうほんと虚空ヤダ。」


「では経験値おじさんの“真上”に、連れて来た魔王を連結しまして……。」



おじさんが合体している墓石。そこに重なるように上手ーく魔王を設置すればあら不思議。


墓石と盗賊が融合していた『経験値おじさん』が、墓石と盗賊と魔王が融合した『ハイパー経験値おじさん』に大進化しちゃいました。あはー、凄い凄い。おじさんと魔王の3Dモデルが重なって、気持ち悪いことになってますね。


魔王の身体からおじさんの鼻が生えていたり、おじさんの後頭部から魔王の角が飛び出していたり。そんな二つの存在を無理矢理重ね合わせた化け物が石の中にいる感じ。……現代の彫刻品とかにこういうのありそうですね。



「まぁそれは置いておいて。なんとこの『ハイパー経験値おじさん』。実は“石と融合する直前の状態”で保存されることが発見されておりまして……。魔王のHP。14で固定されてるんですよね。」



つまり一定の攻撃力と『防御力無視』の効果が付いた武器であれば、誰でも簡単に倒せる状態になっているわけです。たった一太刀でおじさんのみならず、魔王の首も落とすことが出来るのです。経験値効率が格段に良くなったということは、わざわざ説明しなくても大丈夫でしょう。


はい、後は適当なボブに王墓からもらってきたどこのご家庭にもある『防御力無視』の武器を持たせれば、完全自動化の完了ってわけですねー。



「うーん、自動化って素晴らしいですねぇ。」


「…………ぅわぁ。」


「じゃ、今日の仕事はこれでお終いということで。私はお昼寝してきますけど……、チロさんはどうします? もしよければ王都で貰って来たあのスイーツをいくらかお出ししても構いませんが。」


「うん。これ多分何も見なかったことにする方が幸せね。あとスイーツはぜんぶだせ。もうやけ食いする。んで寝る。」


「はいはい、では用意しましょうねぇ。」




やったねおじさん、ともだちできたよ!

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