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お昼寝したいのに主人公が爆散したからできません ~モブだけでも世界は救えるのか~  作者: サイリウム


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25/75

25:大丈夫なわけありません

「は、始めから詳しく説明してくださいッ! 私は今冷静さを欠こうとしていますッ!!!!!」


「うるさッ!?」


「……叫んでる時点でもう冷静さは欠いてるとおもうが?」



んなツッコミしてる場合ですか!? 王女が、王女が死んだんですよ! また勝手にッ! あのクソ主人公と同じように、勝手に死にやがったんですよッ!!!


原作に置いて割と有能ムーブしてくれる上に、国上げて魔王と対抗すべく動いてくれる未来の協力者が死んだんですよッ! 解ってるんですかテメェ!


『大規模マップ』とかいう数千数百レベルのキャラが動き回るマップがある時点で、こっちも頭数あつめねぇと死ぬんですよ! その時に必須な王女が死んだらどうなると思ってるんですかッ! というか10年後に国王も王妃も死ぬから王家断絶するじゃねぇですか! この国滅びるぞクソがッ!!!


あぁぁ!!! まだ、まだ主人公死んでも王女がいたら何とかなったかもしれないのにッ! 本人の気質がかなり善良だから上手くいけば主人公の代わりすらしてくれたかもしれないのに! しかも魔王とか邪神とか死んだ後、私が死ぬまで善政敷いてくれるだけの器量のある人だったのにッ! 勝手に死ぬなボケェェェ!!!!!



「まだ確定はしてないそうなんだが、王妃の姉の息子……。ジュポン公爵だったか? 王女のいとこにあたる奴が殺したとかなんとか……。」



アイツかぁぁぁ!!!!! おま! お前ッ! 原作でも国裏切って魔王側ついてたのにッ! もう動き始めてるんかお前ッ! 小物で普通に主人公に殺されるけど、普通に王家に忠誠誓ってたら王家の親族ってことでそう悪い扱いはされなかったくせに裏切った屑ッ! 権力欲に負けた愚か者ッ! しねぇぇぇええええええ!!!!!!!



「情報感謝しますベネット! 行きますよチロさん!!!」


「あ、おう。……呼び捨て?」


「か、カーチェ!? どこ行くの!?」


「あんのクソ貴族殺しに行くんですよッ! どうせいつか死ぬなら私が殺しても問題ないでしょっ! 王女殺しやがった落とし前付けてやるッ……!!!」


「アンタそう言うキャラだった!?」



何を言いますか! 私の主張は一貫してます!!!


王女は国に善政を敷いて私のお昼寝を担保してくれるはずだった人! 魔王とか倒した後は主人公よりも重要が高い人物だったんですッ! それを、それをあんのクソ野郎は殺しやがったッ! 10年後国王も王妃も死ぬことがほぼ確定してるのに、王女まで死んだら原作始まった瞬間に指導者不在の状況になっちゃうじゃないですか!


そしたら貴族同士の殺し合いが勃発して、魔王が侵攻しているのを余所に人間同士でも殺し合うことになるじゃないですか! 戦争が起きたら村から人とられて必然的に一人当たりの仕事量が増加! 私がお昼寝できなくなるんです! 解りますかソレがッ!!!


あぁもう折角お金手に入れて後は転職して色々したらようやく家に帰れると思ったらこの始末ッ! 途轍もなくムカついてきましたッ……!!! んもう絶対コロスッ!!!!!



「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! ただの市民が貴族殺しちゃったら色々まずいってッ! というかそういう話する時点でヤバいって! 口閉じなさいカーチェ! というかアンタ誰にぶん殴られても死ぬぐらいの弱さ、って自分言ってたでしょうが! 自殺行為よ!!!」


「止めないでくださいチロさん。人の殺し方なんか数えきれないほどあるんです。どうせ貴族街に肥え太った豚どもと一緒に惰眠を貪ってるんでしょうから毒ガスでも投げ込んで全員二度と起きれなくしてやります……ッ!!!」


「ドクガスって何よッ!? 絶対ヤバいのじゃんかぁ! ちょっとベネットさん手伝ってッ!」


「お、おう。」



簡単な科学知識ぐらいあったら誰でも作れるんです! 現代ではそもそも材料が科学実験用とかでない限り手に入らないようになってますが、この世界には規制する法律なんかかけらもないんです! 知識もないなら『原因不明の病』とか『王女の祟り』とかで迷宮入り事件になるんです! 完全犯罪で全部この世からおさらばさせてやるんですッ! だからはなせぇぇぇ!!!






~幼女ブチキレ中~






「はぁ、はぁ、はぁ。」


「……落ち着いた?」


「…………少し。」


「なら良かった。ごめんなさいねベネットさん。わざわざ部屋借りちゃって。」


「構わん。あのまま王女の件で暴れられても困るからな。」



呼吸を整えながら周囲を見てみると、いつの間にか知らない部屋の中に。チロさんとベネットの話を聞く限り、ギルド内にある個室に移された様でした。まぁ確かにベネットが言っていたように、王女暗殺の件は未だ流布されていない情報の様ですからね。私が発狂して勝手に広められると困る、と言う事だったのでしょう。



「まぁ確かに、急に公爵ぶっころ発言は大人げなかったですね。まぁ私は幼女ですが。」


「よ、ようやくわかってくれたのね……!」


「殺すなら誰にも知られず静かに終わらせる、暗殺に絞るべきでした。毒ガスの場合無関係の人までやっちゃいますし。そっちの方が確実です。あとそれなら私がやったとバレ可能性がぐっと下がります。」


「……悪化してない?」



正直業腹ですが、今の私では色々と難しい相手なのが公爵。屑でクソですが、家柄はある相手です。屋敷の防御は精鋭で固めているでしょうし、此方が化学兵器を使ってもそれよりも先に殺されてしまう可能性だってあります。


大変残念ですが……、殺すのは後回しにするとしましょう。



「それに、如何に王家の親戚筋にある公爵とはいえ単独で犯行を為したとは思えません。いや暴走した可能性も十二分にありますが……。仲間がいる可能性は高いでしょう。纏めて掃除するためにも、少し逃がしておいた方がいいかもしれませんね。」


「……なぁチロ、この子ほんとに見た目相応な年か?」


「ご両親の言葉を信じるならそうらしいわ。信じたくないけど。」


「うん。そうしましょう。というわけでベネット、少々ギルドに依頼を出したいのですが受け付けてくれますか?」


「構わんが何故呼び捨て?」



だってベネットですもの。あ、刃渡りの大きいナイフとチェインメイルを後日プレゼントしますね。


そう付け足しながら『アイテム欄』を取り出し、この部屋にばら撒くのは現金2億ゼニ。大きな贅沢をしなければ人が一生遊んで暮らせるだけの金額です。


私の本拠地が故郷の村にある以上、王都の情報や貴族の内情を探るのには限界があります。私のお昼寝キーパーソンを殺したクソどもを殲滅しようにも、間違った存在を消してしまえば大問題ですし、それを判断するのに必要な情報がなければ何もできません。


故に“後回し”にするからこそ情報を今から集める必要があるのですが……、これが難しいのです。


距離的な問題もありますし、能力的な問題、またお昼寝の時間を減らしたくないという時間的問題も。まぁ単純に情報が欲しいのなら、それ専門の人を探して雇った方が早そうではあるのですが……。使える上に信用できる人を探すのは面倒です。お金に余裕があるのなら、『そういった選定』すらも出来るであろう人物に頼んだ方がいいと良いというものでしょう?



「というわけで正確な情報を買いたいのですが、取り扱いはありますか?」


「まぁあるにはあるが……、売ると思うか?」


「この部屋を金貨で埋め尽くして床から崩壊させましょうか? 金ならあります。」


「…………チロ、何処でこんな子拾ってきた?」



そう言いながら追加で金貨を出して床を軋ませると、ベネットに手で制されます。


ふーむ、やっぱベネットは金で動くようなタイプじゃありませんでしたか。やっぱり大佐を呼んでこないとダメなんですかねぇ? でもあの人こっちに呼んじゃったら色々まずい気が……。あ、でも筋肉で魔王も邪神もぶっ飛ばしてくれそうだし、逆にいいかも。



「私が聞きたいし、どっちかというと拾われた側、いや捕まった側よ私は。」


「つまりさっき言ってた“雇い主”ってのは彼女か。」


「まぁね。ヤバいけど待遇は良いわよ。……“待遇”は。」


「……そうか。」



んで? どうするんですかベネット。



「…………結論を言えば、売らん。冒険者組合は王家の庇護を受けてはいるが、各貴族からの支援も受けている。故に政治に関わる様な事をしないのが規則だ。それに堂々と殺人を宣言してる奴に情報売るわけないだろう。」


「えぇ存じています。しかし国や貴族の支援を受けている時点で“政治からの影響”を受けているのは確実。それで『関わっていない』と言い切れるはずがありませんし、そもそも『盗賊の討伐』といった依頼をギルドから斡旋している時点で、殺人幇助組織であることは否定できないのでは?」



まぁこの世界の上位者である王家や貴族の統治から逃げ出した存在が、“人”として扱われるのかどうかは大いに疑問の残るところですが……。



「それに、もし王女暗殺が事実だった場合。かの公爵は“国賊”の分類になります。冒険者は人の未開領域を冒険し未知を既知にする職業慣れど、その武力をもって治安維持にあたるのも大事な仕事です。賊の処理を生業にするのであり“政治と関わっていない”というお題目を上げるのであれば、拒否する理由にはならないのでは? だって単なる“賊”の調査ですもの。」


「見た目に似合わぬご高説だな。しかし私を言い負かしても結果は変わらんぞ?」


「いいえ変わりますよ。何せ手伝って頂ければ『大量虐殺』は起きないのですから。」



アイテム欄を操作し、一瞬にして背後に出していた金貨を収納。代わりにこれまで集めた盗賊やマフィアの死体に入れ替えます。実はあの事務所に突っ込んだ時に落ちていた死体も勝手に拾って来たので、地味に数が増えてるんですよねー。化学兵器のヤバさは実感しないと解りませんし、こういう目で見える“ヤバさ”が必要なんですよ。



「……いやカーチェ。そんなことしたらより受けてもらえなくない?」


「あら。そうですか?」


「うむ。残っていた可能性が消し飛んだな。お帰り頂けるか?」



うーん、思ったよりベネットが善人寄りだったせいで上手くいきませんでしたね……。



「仕方ありません、では面倒ですが自身でどうにかしてみることにしましょう。あぁもちろん無関係の方には手を出さないのでご安心を。チロさん、帰りますよ?」


「……大丈夫なのか、チロ?」


「あぁうん。悪人以外には牙剥かないし、基本的に昼寝出来れば後はどうでもいいみたいだから……。」


「チロさーん?」


「解ってるって! すぐ行くから待ってなさい!」









「…………いやほんとに大丈夫なのか???」

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