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お昼寝したいのに主人公が爆散したからできません ~モブだけでも世界は救えるのか~  作者: サイリウム


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19/75

19:VSヤクザです


此方は魔法使いと幼女、あちらはマフィアさんが12人ほど。


体つきを見る限り、多少鍛えてはいるようですが……。所詮はマフィア、雑魚としか言いようがありません。


魔物という危険生物が闊歩するお外で生存する盗賊たちと比べ、彼らは防壁という守られた空間でしか悪さ出来ないやる気のない奴ら。というかそもそも私の睡眠を妨害しうる盗賊と同じ排除すべき存在です、この機会に殲滅してしまうのが得策でしょう。


というかそもそもこちらがレースのルールにのっとって賭けているというのに、高額すぎるから払えませんなど道理に反する行いです。しかも払えないことを謝るのではなく、人数と暴力をもって黙らせようというのは恥ずべき行いとしか言いようがありません。


確かにこちらとしては、48億ゼニ耳を揃えて払ってもらえれば道理なんぞ幾らでも消し飛ばしてもらって構わないのですが……。


ま、気にせず殺しちゃいましょう。



「というわけでタマ取りゲームです。やっちゃえチロさん。」


「物騒ッ! でも解りやすいのは好みねッ!」



ちょっとした愚痴は言いながらも、即座に戦闘態勢に移ってくれる彼女。


瞬く間に両手に魔法陣を発生させ、『小火球』をもってマフィアさんの顔面にシュート、その炎を喉の奥へと送り込むことで確殺を狙っていきます。……別に構いはしないのですが、何かチロさんずっと火系統を使っていますね。


まぁ一番得意だというのは何となくわかりますが、魔法使いのジョブに就いたのならば他の属性も使えるはずです。形のない炎をここまで上手く操れるなら、水なんかを出して全員窒息死、とかできそうですけど……。まぁ今考えても仕方ない話。こちらも仕事を始めていきましょう。



「ッ! コイツ魔法つか、ォッ!?」



チロさんの手から浮き上がった火の玉がお仲間に直撃した瞬間、生き残っていた人が仲間に警戒を促すために声を上げますが……。声を上げるということは、口を開けるということ。そこに“モノ”を放り込めるのはチロさんだけではないことを教えてあげるために、“いつもの”をぶち込んであげます。



「牛っていいですよね、働き者な上に武器まで用意してくれるんですもの。まぁ食費はちょっとかかりますけど。」


「ォッ!? がッ!? ォご!?」


「と言わけで足から折りましょうねー。」



即座に『アイテム欄』から手慣れた『木こりの斧』を取り出し、その足の甲に叩き込みます。


まぁお口に牛の物体を叩き込められた人がそれを回避できるわけもなく、硬い骨が砕ける音と共に、マフィアの一人が地面に倒れ伏します。もし私のレベルがカンストしていなければここからその首に斧でも放り込むのですが……。チロさんの経験値の為に、取っておきます。



(とまぁこれだけ“遊べば”他の人も寄って来るわけですが……)



後ろに視線を送ってみれば、長めのナイフを持ちながら私に振り下ろそうとするマフィアさん。幼女に刃物を向けるなど倫理観はどうなっているのだと問い詰めたいところですが、今は戦闘中。問い詰めるよりも前にその命を貰うため、『アイテム欄』から新しいお友達を取り出します。



「死ねやクソガキぃ!」



そしてそれを“置く”のは彼が振るうナイフの射線上。


私の脳天に向かって振るわれたそれは、確実に骨と肉を断つ音をもって“ソレ”を貫きますが……。


残念無念、此方のHPは一切減っていません。



「あらお口が悪い。ボブもそう思いますよね?」


「……は?」


「オモウヨー(裏声)」



そう、私の新しいお友達のボブさんこと、盗賊の生首です。


凄いですね、彼のドスの刃物の部分が、いつの間にかボブさんの生首になっています。生首振り回し棒です。


そのお首。村の近くにいたやつなのか、道中私達の牛車を襲った盗賊なのかはもう覚えていませんが……、使えると思い死体を回収し、頭部だけ分離したゆっくりスタイルのお友達です。


ほら私って現在、紙装甲というか一発でも喰らえば死ぬオワタ式みたいな存在でしょう? 何か防御策を用意しなければと思い、頑張って切り落としていたんですよ。チロさんからは狂人を見る目で見られましたが、別に盗賊の死体なんぞ掃いて捨てるほどあるのですから、こうやって有効活用してあげた方がボブさんも救われると思うんですよね。


ちなみにさっきの声は自分で言いました。腹話術って奴です。ゴロゴロしながら練習したので無駄にうまいでしょ?



「ソレデ カーチェチャーン コノヤクザサン ドウスルノ カナー」


「勿論処理ですね。まぁ“私は”殺しませんが。というわけでボブのお代わりです。」



相手の脳が情報に押し潰されている隙を縫い、ボブ2号機をアイテム欄から取り出し、その顔に投擲します。


牛のふん同様、人の頭も私のATKではダメージを与えることの出来ない武器にはなりますが……。ひるませるのにはちょうどいいアイテムです。投げつけると共に、急に増えた生首に驚いた彼の股の下へとスライディング。すり抜ける瞬間に斧の刃を持ち上げ、彼の大事なところからお尻の穴を滑るように切りつけ無力化を行います。



「これで二人……」


「カーチェ! そっち一人!」


「はい、おかわりですね。対処します。」



声のする方に視線を向けてみれば、片手に火球を纏わせマフィアを殴り飛ばしながら沈んだ敵に追撃の火球を放り込んでいるチロさんの姿と、彼女に敵わぬと判断し弱そうな私から倒そうとする敵の姿が。


転がっている死体の数を数えてみれば、私が2人倒す間に3倍の6人を処理し終えているという流石のチロさんでしたが……。流石に残りの4人全員を抑えることは出来なかったようです。ま、初手魔法の奇襲もそう長くは続きませんからね。しかし護衛として必要以上のお仕事はしてくださっているので、何も問題はありません。


そんなことを考えながら、三代目ボブを取り出そうとしますが……、それよりも先に、迫りくるマフィアが動きます。



「オラァッ!」


「あら。」



勢いを乗せてその刃を振り下ろしてくる敵、先ほどと同じようにボブで防御を図ろうとしますが……。“思ったよりも強い”と判断。このままでは三代目ボブ諸共両断されると考え、即座にこれまでの胴体を取り出し肉壁にしながら、ローリングでの回避を行います。



(……回避成功、しかし肉壁は全て両断、ですか。身体からの発光が無かったことから、魔法などによるバフではないでしょう。けれど一時的な威力、ATKの向上が見受けられたのは確かです。)



少し手間ですが……、以前のチロさんの能力を覗いたときと同様、彼の力も見てみましょうか。もしかすると『盗賊』ではないかもしれません。




[STATUS]

Name : バスキン

JOB : 戦士

Level : 6

EXP : 11 / 97


HP : 25 / 28

MP : 0 / 0


ATK : 18

DEF : 15

M.ATK : 0

M.DEF : 2

SPD : 15

LUK : 2


SKiLL :『剛撃』




「あら、『戦士』だったのですね。しかもDEFが高い。」


「チィ! 避けるなガキ!」


「うーん、面倒ですね。」



ご存じの通り、私の攻撃力、ATKは雑魚です。正確に言うならば1です。クソゴミと言って差し支えないでしょう。


しかしこれまで私が他者、盗賊の息の根を止められたのはひとえに武器、『木こりの斧』によるものでした。


以前お伝えした通り、この世界のダメージ計算式はとても簡単で、ATKからDEFを引いた数値がダメージとして算出されます。しかしながら単にレベルだけで勝負するのではなく、『装備』で補うことが出来たのです。



(『木こりの斧』は攻撃力への可算が高い代わりに、命中率が極端に低いというデメリット。まぁ現実に置き換えるならば重くて使いにくいというデメリットがありました。故にこれまで私は振り落とすという簡単な動作、敵を何らかの方法で固定するという方針を取って来ました。けれど……。)



此方のメイン武装である『木こりの斧』の攻撃力は+12。私のATKは1。合わせて13です。対して彼のDEFは15。つまりどれだけ攻撃しても肌で跳ね返されるんですよね。これまで敵側の最下級職である『盗賊』にしか出会ってこなかったので気にしていませんでしたが……。今の私では彼、マフィアのバスキンさんにダメージを与えることが出来ません。


しかも『戦士』が転職することで手に入れられるスキル。HPを犠牲にしてダメージを1.5倍にする『剛撃』なんてスキルまで持っています。当たったら消し飛んじゃいますね。おぉ怖い怖い。



「ダラァ!」


「ボブさんを浪費するのも嫌なんですがねぇ?」



此方の思考を遮る様に、もう一度スキルをもって攻撃して来るバスキンさん。こちらもローリング回避とボブさんたちの肉壁で防御&回避しますが、このままではストックしていた死体が無くなってしまうかもしれません。別にボブがどうなろうが困りはしないのですが、折角溜めた資材が減らされるのは気分が良くありません。


確かに彼の魔法防御。M.DEFを考えればチロさんが他の敵を倒すまで粘り、魔法を撃って頂ければそれでお終いなのですが……。


うん、ここは攻勢に出ましょう。



「ところでバスキンさん、お酒はお好きですか?」


「な、何で名前、ッ!?」


「盗品の有効活用と行きましょう。」



名乗っていないハズの彼の名前を呼ぶことでその集中を削ぎ、取り出したるは盗賊たちが溜め込んでいた樽一杯のお酒。どこかの商人が運んでいた品を盗賊が奪い、その盗賊を殺した私達が頂いたものになります。


今の私では持ち上げることも困難ですが……、集中が削がれ私が何度も死体を虚空から取り出しているのを見ていた彼は、反射で樽を切り裂いてくれます。敢えて高めの位置で取り出していたこともあり、彼に向かって降りかかるお酒たち。後は同様に『アイテム欄』に放り込んでいたたいまつを取り出してあげれば……。



「酒焼きの完成。というわけです。ま、ダメージはお察しですが、時間稼ぎには成るでしょう。」



野太い悲鳴を上げる彼の顔にプレゼントして牛糞を顔に投げつけながら、その場から逃走します。


無論単なる逃走ではなく、現在他のマフィアを相手してくれていたチロさんの救援です。彼女のことですからもう全員倒していてもおかしくありませんが……。マフィアの中に『戦士』という職業もちがいたことから、長引いていてもおかしくありません。


そんなことを考えながら彼女のいる方へと視線を向けたのですが……。



「あら、燃えてるわね。カーチェあんた魔法使えたの?」


「……いえ、単に酒で引火させただけです。」


「あぁ道理で匂いがするわけね。」



既に残り3人を処理し終わり、此方に向かって歩き始めていた彼女の姿が。



「多分『戦士』かしら? 2,3人いたから遅くなっちゃったわ、ごめんなさいね。」


「……やっぱ優秀ですねチロさん。」


「そう? 慣れれば簡単よ? ちょっと魔力を使い過ぎたのは確かだけど、『防壁』で受け止めてから燃やせば誰でも出来るわ。っと、そこのも処理しちゃいましょうか。」



彼女がそういうと、その手から『小火球』が生み出され、酒焼きされていたバスキンさんへ。


アルコールがまだ残っていたせいかより大きく発火した彼は瞬く間に燃え尽き、焼死体へとなってしまいました。……新しいボブとして回収しておきましょう。バスキンさん、貴方も今日からボブさんですよ。お仲間と一緒に私の役に立ちましょうね。



「んで、どうするの? 魔力的にこれ以上の戦闘は避けたいところなんだけど……、48億、諦める?」


「いえ、しっかりと貰いに行きます。一応まだ生かしているマフィアもいるので、金庫の場所か彼らのボスの場所を吐かしてから向かおうかと。ただ、そうなると先ほどよりも多めの敵を相手することになりそうなので……。」


「なので?」


「ちょっと煽動してきます。」



面倒ごとが続いてお昼寝したくなってきましたが……、ここを熟せば大金が手に入るのです。もうちょっと頑張るとしましょうか。



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