表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お昼寝したいのに主人公が爆散したからできません ~モブだけでも世界は救えるのか~  作者: サイリウム


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/75

18:レースですよ



「ということで9-10-16の3連単に800万全額を叩き込みます。」


「ご、豪勢ね……。ところで3連単ってなに?」


「解りません。」


「は?」



そういうチロさんを若干無視しながら、レース場の出入り口で貰ったパンフレットみたいなのを覗き込みます。


ふむふむ、3連単というのはお馬さんの1着から3着を全て命中させることで成立するものなのですね。ほへー、多分競馬なんてこれっきりでしょうから特に覚える気にはなりませんが、少し賢くなった気分です。



「レースなんて初めてですからねぇ、見るのも賭けるのも。」


「ご、5歳なんだからそれが普通なんだろうけど。め、滅茶苦茶不安になって来たわよ私……! え、この子初めてのことにさっき手に入れた800万全額叩き込んだの? や、やっぱ頭おかしいんじゃ……。」


「聞こえてますよチロさん。」



そんなことでやってきましたレース場。まぁこの世界にも存在しているお馬さんが走る場所です。


少し前に言った通り、この町は巨大な商業都市です。お金が集まる場所には様々な娯楽が集まり、娯楽が集まれば賭け事が始まる。前世のレース場に行ったことが無いので解りませんが……、おそらく前世でも今世でも楽しい趣味の一つなのでしょう。この場にも数多くの人たちが集まり熱視線をターフへと送っています。


にしても。流石に発展した前世と比べればかなり劣りますが、結構な規模ですねここ。お馬さんが走る芝は結構手入れされてるみたいですし、観客席と呼ばれるような大きな建物こそありませんが、大量の人を収容できるだけのスペースがあります。



(これ、数えてませんが数千人は軽く超えてるでしょうねぇ。)



まだ未発達な文明な上に、魔物という危険生物のせいで前世よりも極端に人が少ないのがこの世界です。そんな世界において数千レベルの人を呼びこめるということは、かなりのレースなのでしょう。実際なんかG1みたいな表記がどっかに見えましたし、一番のレースなんでしょうねぇ。



「はぁぁぁ。……まぁいい機会だし、カジノじゃ見てるだけだったから私も何か賭けようかしら。流石に何も賭けずに帰るのは悪いし、最低額の100ゼニで何か狙ってみましょうか。ねぇカーチェ、確か一番簡単な賭け方は単勝だったわよね? 一頭のお馬さんに賭ける奴。」


「えぇ。ちなみにお勧めは9番の『ミラクルオコノミ』です。お好み焼きですね。」


「オコノミヤキ? ……というか6番人気ってなってるけど、大丈夫?」



えぇ勿論。何せこのレースも“知ってます”から。


私は競馬に詳しくはありませんが……、この世界の製作陣。『天アバ』のスタッフたちは別です。


というかどうやら元々新たな競馬ゲームを作ろうとしていた所、8割方完成していたのにも関わらずスポンサーか何かの関係か没に。次に『天アバ』の製作を始めたとのことですが……、『せっかく作ったのだから混ぜ込んじゃえ』という話になったようで。


本格派RPGとしてはミニゲームの競馬要素が無駄に凝ってるとして有名になったみたいなんですよね、このゲーム。



「有志がゲームの中身を覗いてみれば。容量の3割くらいが馬とレース場の3Dデータだったみたいですから。ストーリーとは関係ありませんが普通に馬主に成ったり騎手に成ったりも出来ましたし、ほんと変なゲームでした。人によってはこの世界のトップブリーダーになってるのもいましたし……。」


「……また変なこと言ってるわね貴女。」


「単なる独り言ですからお気になさらず。」



して今日行われるレースが、所謂“過去の再現レース”の一つになっています。競馬好きからすればあの名勝負が! となるのでしょうが……。私のような単なるゲームプレイヤーからすれば、『稼ぎ時』の日です。


何かプレイヤーが関与しない限りレースが決まっているようなものですから。過去のレースを調べてその通りに賭けてしまえば、本来そのタイミングでは手に入らない様な巨額の資金を集めることが出来てしまう。若干ゲームバランスが崩壊してたので色々と物議は醸していましたが……。今の私には関係のない話です。



「まぁいいわ。それでこのミラクルって子が良いのよね。確かにまぁ名前がミラクル起こしてくれそうだし、いいかも。この子にしましょ。ま、失っても100ゼニだしね。」


「ですね。私も元金は100ゼニですし。」


「……そう言えばそうだったわね。と、とりあえずそろそろ始まるみたいだし、見に行きましょ。」



というわけでチロさんに連れられて、人が集まる場所へ。


馬券を握り締め今か今かとレースの始まりを待つおじ様たちを眺めていると……。ファンファーレが響きます。



「ん? あぁ見てカーチェ。実況の人が付くみたい。アレ拡声器の魔道具ね。」


「はへー。」


「結構大きな魔力の反応でびっくりしたけど、アレ多分こっちの観客に向けてだけ音が聞こえるようになってる奴ね。確かに馬って大きな音苦手だし、無駄にハイテクねぇ。」



魔法使いだから解ることなのでしょう、魔法の力が籠った道具に関する解説を聞いていると、確かに実況のおじさんの声がこちらに聞こえてきます。ゴール板前のここからは見えませんが、どうやらゲートにお馬さんが入って行っているようで、そろそろレースが始まるご様子です。


……まぁレース描写してもいいのですが、昨今はおウマさんの娘さんが流行っていて知っている人は知っているでしょうし、知らなくて興味がない人はやっても面白くないでしょう。


というわけで大体これと一緒なので、レースが気になる方は2003年の宝塚記念を見てください。たぶんそっちだとYouTubeとかに上がっているでしょう。




~少女競争鑑賞中~




ということで無事ヒシミラ……、じゃなくて『ミラクルオコノミ』が勝ちました。はい。着順も全て想定通りで万馬券が手に入りましたね。大勝利です。



「うわほんとにミラクルって子が勝っちゃった……! しかも後ろからぎゅいーんって! はわ~、確かにコレ嵌る人いるの解っちゃうわねぇ! 思わず叫んじゃった!」


「チロさんチロさん、払い戻しを見に行きましょう。着順確定したみたいなので。」


「あ、そ、そうね。お金かけてたんだった。確認しに行か……、うわすご。」



そう言い合いながら金額が張り出された場所の方に歩いて行ってみれば……、思わず絶句するチロさん。まぁ6番人気の子が一気に追い抜いて勝ちを攫って行ったのです。2着の『マルマルガール』も3着の『ダンスタップダンス』もそこまで高い人気ではなかったのもあり……。まさに地獄と天国が一気に別れた払い戻しといえるでしょう。


ちなみに、こんな感じです。



単勝 10 1,630

三連複9-10-16 30,290



「1630……、え、100ゼニが1600ゼニになったの!?」


「良かったですねチロさん。」



思わず声を上げる彼女。


払戻金の数値は、最低額の100ゼニを掛けた時に帰って来る金額を示しています。つまり彼女の場合、100ゼニが1630ゼニに化けたわけです。場所にもよりますが、結構いいランチを狙える金額ですね。失ってもいいと考えながら賭けた金額が倍以上になって帰って来たわけです。


込みあがって来る感情を口元を手で覆うことで隠そうとする彼女でしたが……、すぐに下に書いてある『3連単』の所を見て、完全にそれが固まります。


……ようやく、ご理解いただけましたか?



「カ。カーチェ? 貴女のって……。」


「はい。今回私が掛けたのは、3連複ではなく、3連単。着順まで当てる奴です。そしてその数値が……。60,200。私の場合100ゼニではなく800万ゼニ賭けていたので、しめて48億1600万ゼニになります。」



凄いですよねぇ、ほんと。世界救うどころかその後の余生ですらお金気にする必要が無くなりました。



「……………もう働かなくていい?」


「はい、一生遊んで暮らせます。」


「あ、あの。カーチェ様? わたくしめにも少しばかりお恵み……。」


「勿論、雇ったからには面倒見てあげますよ最後まで。無論、“仕事”はしてもらいますが。」


「……しゃァ! アガリッ! アガったッ! しゃぁ!!!」



ですよね、解りますよその反応。私だって前世でこんな額手に入れて『養ってあげる』宣言すればおんなじ反応するでしょうし。でも、口頭で契約結んでしまうのはよろしくありませんよねぇ? 業務内容何も聞いてないのに。ふふふふふ……。


故郷の村からこの町までの移動で、彼女が『かなり出来る方』だということは判明しています。ゲームに出て来た原作キャラには劣れども、一人で冒険者として活動できたという事実が証明しているように、強者の方に分類できる方です。


流石に主人公の代わりに仕立て上げられる程の強さではありませんが……、好き勝手使えるお供としてはかなり素晴らしい部類でしょう。



(世界救うのに必要な装備などを全て買い集めたとしても、10億はいかないでしょう。そして私の今後、世界を救った後に関しても故郷の村を継ぐ以上そんなにお金は必要ありません。十分な報酬金が残るはずです。)



払うものは払いますので……、これから末永くお願いしますね。チロさん。



「さ、チロさん。早速換金しに行きましょう。溜め込んだお金全部吐き出させましょう。後はそれをもって王都に高跳びです。」


「いいわねいいわね! すぐ行きましょうすぐ! いやもう抱っこして行くわ!!!」


「あらご丁寧にどうも。」



金に眼がくらんだのでしょう、先ほどのお米様抱っことは打って代わり、かなり丁寧に抱きかかえて走り出してくれます。振動にも気にかけてくれているようで……、これならお昼寝できそうですね。うんうん、やはりお金ですね。お金が全てを解決する……!


とまぁそんなふざけたことを考えていれば、到着しましたレース場での換金所。


ニコニコと営業スマイルを浮かべていた受付の彼女に馬券渡し払い戻しを求めてみれば……。その表情が完全に固まります。ま、そうですよね。48億の払い戻しですもの。



「す、すいません私では判断できませんので少々お待ちください……。」


「はい、お願いしますね。」



……そう言えばなのですが、昔前世でクソ上司から競馬の蘊蓄を無理矢理聞かされていた時、高額での賭けだったり払い戻しだったりすると別室に連れて行ってもらってそこで手続きとかを行うとか言ってましたけど、こっちの世界じゃそういうのないんですかね?



「どう思います、チロさん?」


「確かに普通そういうのありそうよね。でもまぁちゃんとしたレース場? みたいだし流石に踏み倒しとかは……。」



彼女がそう言い切ろうとした瞬間、受付の彼女が消えていった奥の方から、ぞろぞろと黒い服のなんか悪そうな人たちがどんどんとやってきます。全員が何故か黒スーツみたいなの着てますし、スジモン映画でしか見たことがない小刀を装備してます。ドスってやつですかね?



「おう嬢ちゃんら。なんやえらいイカサマしたらしいのぉ? ちょっと来てもらおか。」


「おー。マジモンですね。皆さん指の数足りなそう。」


「…………あ?」


「ちょ、カーチェッ!?」



これ、払ってもらえない奴ですね。


仕方ありません。普通に面倒で疲れるのでやりたくなかったですが、第2プランへと移行します。


そっちが払う気ないんだったら……、貰いに行っても構わないですよね?





実際の2003年宝塚記念を参考にしています。

『ミラクルハラデテル』にしようかと思いましたが、本気で彼女から怒られそうなのでやめました。

またご入用でしたらレース描写の方を後日追加いたしますのでお申し付けください。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ