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お昼寝したいのに主人公が爆散したからできません ~モブだけでも世界は救えるのか~  作者: サイリウム


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13:出発~!

「ふぅ、何とかなりましたね。」


「……かなり遅くまで叱られてたけど大丈夫?」


「えぇ。コレぐらいは。」



ちょっと心配そうにこちらに声をかけてくれるチロさんにそう返します。


まだこの体は5歳児ですが、中身は大人です。そんな中身が前世強く実感したこととして『こちらの身を気遣って怒ってくれるのは両親くらい』というものがあります。まぁそうでない親御さんや、両親以外に気遣ってくれる人もいるでしょうが私の場合はそうでした。


私が過労で死ぬ原因になったあのクソ上司どもとか単にストレス発散の為に騒いでましたからね……。それを考えれば自分のしでかしに対し心配して怒ってくれてるわけですから、甘んじて受けますとも。……そのせいで睡眠時間削られたので酷く眠いのは確かですが。



「まぁ無事許可出ましたし、上手く農閑期が重なっていたこともあり牛も借りれました。牛車に乗って気儘に王都にでも行きましょうよ。」


「……そうね、徒歩よりも快適だし、楽さして貰いましょうか。あ、言っとくけど今はちゃんと『索敵』張ってるからね? 親御さんに言われた通り傷1つ付けさせないわ。」


「ご丁寧にどうも。」



既に村を出てから数時間、今生の別れでもないというのに何故か号泣してママにぶん殴られていたパパに見送られながら、私達は王都に向かって出発しました。


けれどその手段が馬車を引く牛ということでそこまで速度は出ていません。まぁ今歩いてくれてる牛さん、長距離輸送用の子じゃなくて農作業用の子ですからね。重いものを引いたり歩き続けたりするのは得意みたいですが、その速度はかなりゆっくり。本来積み荷として馬車に置くはずの積み荷を私のアイテム欄に放り込んで軽くしたとしても、人の徒歩ぐらいしかスピードが出ていません。



(まぁお昼寝しながらって考えるとちょうどいい速度なんですがねぇ。)



まだまだ産業が発展していないこの世界、サスペンションのついた快適な馬車など欠片もありません。故に速度を出すと振動で多分寝ようにも寝られない様な状況になっていたでしょうが……、牛舎なら別です。整備されていないあぜ道なので揺れはしますが許容範囲、ウトウトしながら旅できるってわけですねぇ。



「そう言えば貴女、昨日の話を聞いてる感じ何か王都に行く目的があったみたいだけど、聞いていい奴?」


「ふぁ? あぁそれですか。早い話転職しようと思っていたんですよ。村人がカンストしましたので。」


「かん、すと?」


「……あれ、わかりません?」



別に教えてもいいかと伝えてみれば、思ってもいないところで不思議そうな声が。そう言えばカンストなんて言葉、前世以外で使ったことなかったなと思いながらもう少し細かく説明してみますが……。何故かずっとチロさんの頭にはハテナが浮かんでいます。



「あの、レベルとか階位とか。段階的に強くなるって感じの概念、無いんですか……?」


「ごめん、聞いたことないわ。その、貴女の村での言い伝えとかそういうの?」


「ほ、ほら電子音とか頭の中で響きません? 敵とか倒した時に。ほらピロン! みたいな。」


「???」


「あー、うん。忘れてください。たぶんそういう概念が“無い”みたいなので。」



そ、そっか……。あー、うん。まぁ確かに作中そんな描写なかったですもんね。ゲームのキャラが『なんか強くなった気がする!』とは言っても『お、レベルが上がったぞ!』とかは言ってなかったですし。たぶんステータス見れるのもレベルアップの音が聞こえるのも自分だけなんですねコレ……。


この事実が何か私に強く影響することはないでしょうが、必要以上に『レベル』の概念を口にするのはやめておくことにしましょう。面倒ですし。



「そ、そうなの? にしても転職かぁ。確かにこの辺りじゃ王都でしか出来ないし、納得ね。何の職にするの? やっぱり『商人』とか?」


「幾つか経由しますがまずは『弓兵』から始めます。」


「…………なんで???」


「命中に補正が入るスキルと弓の扱いが上達するスキルが手に入るので。」



主人公に劣る成長率を補うために私は転職とレベリングを繰り返すつもりですが……、その時にネックになるのが『如何にして経験値を手に入れるか』です。


この世界の元になっているゲーム、『天アバ』にはマスクデータ。所謂隠れたデータというものがありまして、そのキャラクターがこれまで何度レベルを上げたのかというものを実は数えているのです。つまりレベルを上げれば上げるほど、転職を繰り返せば繰り返すほどに必要経験値が増えるって寸法なんですね。


無論私には心強い味方、石と共にある盗賊こと“経験値配りおじさん”がいるのですが、あの人はただの盗賊でしかありません。吐き出す経験値も低く、後半になれば数万の首を落してもレベルが上がらないなんてことにもなって来るでしょう。



(となると狙って来るのはただ一つ。界隈によって言い方は変わってきますが所謂“メタル系”。吐き出す経験値が異様に多い敵を狙って行かなければなりません。)



確かに当分はおじさんで何とかしますが、次の転職の頃には経験値モンスターを狩らねば効率が悪く成るでしょう。しかし彼らは経験値の申し子というだけあって、酷く倒しにくいのです。良く逃げるし回避率高いしそもそもの防御率がカチカチ。



「なので命中率を上げて、王都で手に入る“クリティカルが出やすい弓”を使う必要があったんですねぇ。」


「??? あ、あのカーチェちゃん? お商売は?」


「なんですかそれ?」


「カーチェちゃん!?」



転職したらすぐ帰りますよ? だって王都なんて人いっぱいいてどう考えてもしんどそうじゃないですか。家帰って寝た方がずっとお得では?



「あ、あんたねぇ! 話が違うでしょうがッ!!!」


「ん? あ~そう言えばお商売するって言ってましたっけ? でも私、お金持ってないんですよね。元手になるお金がないので何もできません。というかやる気ないですし。」


「は?????」



だって私まだ5歳ですよ。そもそもウチみたいな農村じゃおこづかいなんて制度ありませんし、無一文です。何でも入るアイテム欄にもチロさんの持ち物を除けばそんなに物は入っていませんし……。あ、でも。この前散歩してた時に拾った『やくそう』とかは売れるかもしれません。ほらコレ。



「あぁこれね。よくある奴で一束3ゼニくらいには……。って端金じゃないッ! パンでも1つ100ゼニするのよ!?」


「なるほど、その辺りの値段設定は変わってないのですね。」



物価などはゲームの時と同じ、と。



「ん~、でしたらちょっと寄り道しますか? すぐに稼げる方法がありますので。あぁ種銭としていくらか貸してもらうことにはなりますが。」


「……ほんとでしょうね。」


「えぇ。私としても纏まったお金はある方が助かるので。」



なんかチロさんがお商売して欲しそうな顔してますし……。仕方ないのでちょっとだけしてあげましょうか。んもう、わがままさんですねぇ。


でも“アレ”って元手にかなりの額が必要なので最初に結構な額が必要なんですよね。流石にその額を彼女に用意しろというのも酷なので後回しにしようかと思っていましたが、本人が強く希望するのであれば仕方ありません。ま、先に稼いで今後面倒なことを考えずにずっとお昼寝出来ると考えれば……。悪い話ではないでしょう。


ではでは牛さんちょっとお耳を拝借。


うんうん、そうそう。はい、進路をそのままじゃなくて、ちょっと右に傾けてください。はい、そんな感じで。そのまま一月ぐらい進めば目的地に着きますので、お願いしますね?



「じゃあ私、何か起きるまではお昼寝してるので到着するか晩御飯の時間に成ったら起こしてくださいねー。」


「ちょっと後悔して来たかも。この子選んだの失敗だったかしら……。」



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