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お昼寝したいのに主人公が爆散したからできません ~モブだけでも世界は救えるのか~  作者: サイリウム


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12/75

12:三者面談ですね



「あの、えっと。カーチェ? 最初から確認してもいいかい?」


「はい、構いませんよパパ。」



というわけで帰って来ました我が家。なんかすっごく混乱しながら震えてる父親に、そう返します。



「勝手に外に出て彼女について行った上に盗賊のお頭を倒してチロさんと意気投合したから商売を始めることになって最近の市場の動きや参入できそうな分野を探るために王都に向かう……???」


「えぇ、大体そんな感じかと。許可願います。」


「なんで許可もらえると思ってるの!?!?!?」



頭を抱えながら大声を上げるパパに、あらあらと口元を隠しながら笑うも薄っすらと開いた視線で私を射殺してくるママ、そして我が家に連れ込まれて針の筵状態になっているチロさん。うーん、凄い絵面。



(か、カーチェ! なんで私この場に連れてこられてるのよ!?)


(私を王都に連れていくのですから親の許可は必要でしょう? なら保護者代わりになるチロさんとの顔合わせは必須かと思いまして。)


(そそそ、そうだけど! わた、わたし! 居心地すごく悪いんだけどッ!)


(そりゃそうでしょうね。)



最初はチロさんに詳細を伝えず利用するつもりでしたし、両親にも無言で出ていくつもりではありました。ただちょっと考え直しましてね? もし何も言わずに利用したり家出したりする場合と、面と向かって利用する宣言して親からある程度の許可を取った場合。この両者を比べた時、かかる時間って後者の方が短いんじゃないかって。


私にとって時間はとっても大切です。省略できるのであればお昼寝の為に“頑張り過ぎない程度”に効率化することは苦ではありません。それに後々チロさんや両親との関係が悪化するぐらいならある程度ぶっちゃけた方がいいかなぁ、って。



(あと単純にややこしいこと考えるのが面倒になりました。かくすのメンドイ。)


(あ、貴女ねぇッ!)



そんな風にコソコソ話していれば、突き刺さるママからの視線。まるで蛇に睨まれたかのようにチロさんが固まりますが……、まぁ私からすればコレぐらいなら何でもないですね。前世でノルマ未達なせいで暴れ狂う上司3人に詰められた時に比べればそよかぜです。お昼寝も出来そう。


……寝てもいいですか? 眠いし。



「なんでこの状況で眠くなれるの!?」


「私ですから。ということで寝て良いですよねパパ。」


「駄目に決まってるでしょ!?」


「カーチェちゃーん? ママ危ない事しちゃダメって今朝言ったよねぇ?」



ですねぇ、お聞きしました。


そう返せば、さっきよりも8割増しの強烈な視線を送って来るママ。あまりにも鋭いせいか私の隣に座っているチロさんが震え始めていますが……。不思議ですよねぇ。ママのレベルって村人の初期値ですからどう考えてもチロさんの方が強いのに、そっちの方が怖がるなんて。これが『母は強し』ってやつなのでしょうか?



「屁理屈にはなりますが身の安全を確保できる確信があったので外に出た形になります。元々王都には行っておきたかったのでチロさんの戦利品の中にある馬車にでも忍び込もうと思っていたのですが、まぁ本人から許諾取れましたので。」


「正直ママ、なんて言っていいか解らないわ。ちょっとぶっ飛び過ぎてない? まだカーチェちゃん5歳よ? なんで村から勝手に出た上に盗賊のお頭倒せちゃってるのよ……。それに普段のお昼寝好きで動くの大嫌いな貴女のことを考えると、ママとしては横の人にそそのかされてる気がするのだけど……?」


「あ、あばばばばb」



あぁ、ママの視線受けて壊れちゃった。可哀想なチロさん。


まぁ王都に送り届けるだけの能力さえ残ってくれれば幾らでも壊れてくれて構わないのですが。



「確かに自身は経験不足な年齢ですが、隣で壊れてる人に騙される程に未熟ではないと考えています。それに、『王都に行く必要がある』のは事実ですし。」


「……ママたちに言えないこと?」


「言ってもいいのですが気狂いと勘違いされる可能性が高いので。」



今回王都に行く目的は、『転職する』ことだけです。


そしてなんで転職し強くなる必要があるかと聞かれれば世界を救う必要があるからで、何で世界を救う必要があるかと聞かれれば実は私は転生者でこの世界をゲームで遊んだことがありその知識から後10年ほどで魔王が誕生し邪神が暴れ始めるところまで説明しなきゃいけません。あとクソ主人公が爆散したせいでこうなっているということも。



(さすがの両親でもまるっきり信じてはくれないでしょうし、逆の立場で考えると頭がおかしくなったのかと不安になる内容ですからねぇ。たぶん世界に実害が出始める、魔王が活動し始めるまでは口を閉じておいた方がいい気がしています。)



まぁなんかチロさんに勘違いされたり変な勧誘を受けたせいで商人として旗揚げするかのような話になっていますが……、まぁ世界を救うのにもある程度のお金が必要だったので強く否定することでもありません。面倒ですが、お商売の真似事もする必要があるでしょう。



「そう……。」


「いずれお話するでしょうが、今はまだ無理かと。……自身としてはどのような形になろうとパパの仕事。村長としてのお仕事を継ぐつもりです。一度商人を経由するかもしれませんが、必ずこの村には帰ってきます。まぁそもそも今回の“外出”は王都に行って帰って来るだけです。道中、また王都の中でも危険なのは確かですがご許可頂けると助かります。」



そう言いながら、頭を下げます。


ここで許可を取れなかった場合、正確に言えばチロさんが私を王都に連れていけなかった場合。次に私が転職できる機会はいつになるか解りません。主人公のように圧倒的な成長率を持たないモブの私にとってそれは致命的です。故にもしここで許可を取れなかった場合、両親に無断で村を飛び出す必要が出てくるのですが……。


正直、折角良好な関係を築けている今世の両親との繋がりを崩したくはないんですよね。……私にも情はありますし。



「………………はぁ。仕方ないわねぇ。そういえばこれが初めてのワガママかしら? パパ―、いつまで唸ってるの? そろそろしゃんとなさい。」


「はッ!? そうだぞママのいう通り! 絶対ダメ……、はぶっ!?」


「私はカーチェちゃん側ですよー?」


「ママ!? なんで!?!?」



パパの背中を目にも止まらぬ早業でぶっ叩き、その言葉をキャンセルさせるママ。



「ここでダメて言ったら多分この子1人で飛び出しちゃうわよ?」


「そ、そうなの!?」


「えぇ、まぁ……。そのつもりでした。」


「教えたことないのに私達よりも沢山のことを知っていて、私達よりも賢いのがこの子。ちゃんと帰ってきてくれるとは思うけど、私達のせいでその可能性が少しでも低くなっちゃうのはダメだと思うのよ。それに、親ならちょっとぐらいワガママ聞いてあげてもいいんじゃないかしら?」



そう言いながら、さっき私に向けていた途轍もない視線をパパに送るママ。


……えぇこれを見ていると解って頂けると思うのですが、我が家のヒエラルキーはママが頂点になっています。基本パパの後ろに下がって見ているだけの人ですが、パパが何かやらかしそうになると視線と共に黙らせてくる人なんですよね。でもそんな人が味方に付いてくれるととても心強い……。あ、ママこっち向いた。視線ヤバい。ちょ、調子乗ってないですよ?



「な、なら僕もついて……。」


「仕事どうするのパパ? それに多分カーチェちゃんは『自分一人を確実に送り帰って来れる人』としてその隣で震えてるだけの人を選んだのよ? わざわざついて行ってその能力を見極めてきたようだし。……そこに戦えない貴方を放り込んでも邪魔にしかならないじゃない。」


「うぐッ!」



まぁそんな感じで、淡々と続いて行く両親のお話。パパが出した意見を全てママが封殺し、適宜私による解説が求められるような状態。どんどんとパパがシナシナになって行き、私の出発を認めなければいけない感じに。


……申し訳ない上にちょっと可哀想そうなので、今日の夜はぎゅーってしてあげながら寝てあげた方がいいかもしれません。



「…………わ、解った。正直に言えばひっくり返っても嫌だけど、それがカーチェにとって悪いことに繋がってしまうのなら、パパとしても避けたいことだ。……うん、認める。認めるよ。心配で心配で死にそうだけど。」


「ありがとうございます。パパ。」



パパが様々な思いを無理矢理飲み込み、此方を強く案じる様な目を向け深く頷いた後。パパだけでなくママも姿勢を正しながらチロさんの方へと体を向けます。……まだちょっと震えていたので彼女の足を蹴って急いで再起動。するとようやく話がまとまったことを察し、お隣さんも姿勢を整えます。



「チロさん、どうか娘のこと。よろしくお願いします。」


「私からも、よろしくお願いいたします。あぁでも、傷1つでも付けて帰ってきたら貴女のことを地の果てまで追いかけて殺しに行きますので。」


「……必ずお守りします。」



ママ物騒だなぁ。……あ、お話終わりました? じゃあ私眠いのでお昼寝……



「カーチェちゃーん? 王都行きは許可したけどそれ以外のことに関しては話がまだよー? 勝手に村を出たこととか、盗賊さんと戦ってることとか。しーっかりお説教を受けましょうねぇ?」


「あ、はい。」



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