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第53話 2日間お疲れ様。

第53話掲載させて頂きました。


毎週月水金の18時~19時頃に掲載を予定しております。


ブックマークも40件を超え、評価も180PTを超えました。本当にありがとうございます。


レビューや評価、感想などを頂けると今後の創作意欲に繋がります。

またご指摘や、こうした方がいい等、助言も頂ければなと思います。

 さて、今度は違う茶葉を淹れ会話に花を咲かせる。

 最初に淹れたロゼマーリティーのように香草や薬草ではなく、普通の紅茶としての茶葉だ。

 こちらはエマにも好評で飲みやすいとのこと。そしてハチミツを少量入れると更に美味しく飲めた。

 そして、グランさんはエマと魔物について談義。

 アイナさんとスライム3匹はどうやら闘技場のような場所があるらしくお付きのソルジャービーと一緒に向かう。どうやら模擬戦や戦闘での意見などの交換をするらしい。

 リナさんはエマからこの界隈の薬草や木の実など事細かに記された書物をエマから貰いほくほく顔だ。

 俺はリナさんが貰った書物をリナさんと一緒に読む。帰りも道すがら鑑定を行い、レベルアップに努めるのももちろんだが、知識も深めたかった。


「さてと…エマ。そろそろ俺達は街に帰ろうと思う。何かと知識も深まった。ありがとう。」


「あら…もうそんな時間ですの?時間が経つのは早いわ。時々また皆さんで顔を見せてください。」


「エマさん!この本は参考になるわ。大事にさせてもらうわね!」


「えぇ。喜んでもらえてなによりです。また今度いらっしゃった時に美味しい紅茶を頂きたいですわ。」


「エマさん。俺もまた顔を出します。色々ともてなして頂きありがとうございました。」


「スイトさん。ロゼリールの事よろしくお願いしますね。ロゼリールも外の世界で色々学んできなさい。」


「ビビッ!」


 俺達が各々エマに感謝を述べていると、いつの間にかいなくなったアイナさん達がソルジャービーと一緒に帰ってきた。


「あらあら。ちょうど良いタイミングだったみたいね。このソルジャービーなかなかの強者だったわ。この子達のいい練習にもなったんじゃないかしら。」


 アイナさんは満足げにニコニコしている。お互いの鍛錬になったのならこれ以上の事はないだろう。

 そしてお付きのソルジャービーがなにやらエマに話している。


「そう。わかったわ。…アイナさん。うちの兵士達にもいい刺激になったそうです。実はこの者がこの巣の隊長。一番の手練れだったのですが…」


「あらあら。通りで…なかなかの戦闘力だったわ。いい練習になったわ!」


「この者もこれほどのスライム達には出会ったことはなく、見た目で判断していけないことも分かった。一層身が引き締めて精進したいと思う。と言っています。こちらこそありがとうございました。」


 やはりイエルムやリフルはそんじょそこらのスライムではない。という事か。

 そしてアイナさんも素晴らしいテイマーということを再認識する。


「皆様本日は本当にありがとうございました。非常に有意義な時間が過ごせました。私はいつでもここにいますのでまた気軽にお尋ねください。…皆様がお帰りになられます。入口まで案内しなさい。」


 エマはそう言ってお付きのソルジャービーに案内させる。

 俺達もエマに一礼し、玉座の間を去る。



――――少し歩きお付きのソルジャービーにも一礼をし、入口を出る。

 


 外に出るとグライアが座って寝ていた。


「グライア。お疲れ様。帰るぞ。」


 周りにソルジャービーが2匹いたが、グライアも念のために見張りをしていたのだろう。

 グランさんはグライアにそう告げ、頭を撫でる。グライアは満足そうだ。

 ロゼリールはソルジャービーにビッと鳴き、ソルジャービーも応える。


「さて、今から中継地点を通り帰る訳だが…ロゼリールもいることだしリナとスイトは中継地点を超えたら今日は真っすぐ帰った方がいい。狩った獲物の肉の代金は後日渡すことにしようか。」


 グランさんは簡単に今日のこれからの予定を話す。

 分かったわ。とリナさんはグランさんに告げる。俺も続いて返事をする。

 確かにロゼリールを街に連れていったら目立つ可能性もある。珍しい魔物だし、ハチミツは大金になるしな。世界樹の木陰にそんな悪人はいないと思いたいが…用心しておいて損はないだろう。


「とはいえ中継地点には色々な人間がいるわよねぇ。ゴトウッドより用心しておいた方がいいんじゃないかしら?」


 うーん…どうしたものか…


「そうだな…グライアとロゼリールで別行動してもらって、中継地点の広場を迂回して落ち合うか。」


 グライアには申し訳ないがそれが最善か。

 グランさんは地図をグライアに見せ、ここで集合しよう。と話しかける。

 グライアは理解したのかワン!と大きく返事をする。賢いなぁ。


「ロゼリールもそれでいいか?グライアよろしくな。」


「ビッ!」「ワン!」


 2匹とも元気に返事をしてくれる。ロゼリールもなかなか強いが、グライアがいれば更に安心だろう。


 さて、今日の予定が決まり俺達は歩き始める。俺は俺で行きと同じように何かを見つけては鑑定スキルを使っていく。

 中継地点が見え始めた頃、グライアが立ち止まりワン!と鳴く。

 どうやらここから別行動をとるらしい。ロゼリールとグライアは森の中へ入っていく。


 俺達は中継地点に入り、昼食を摂る。今日のメニューはドリルボアの串焼きとスライズのパンだ。

 ハルのフードも器に入れ、昼食の準備ができた。ハルはいつもと同じようにもりもりフードを食べている。

 ロゼリールにもフードとチゴの実を持たせたのでどこかのタイミングでグライアと昼食を摂っているだろう。

 昼食を摂り終わり、少し休憩をして、俺達はゴトウッドへ向かって歩いて行く。

 予定ではゴトウッドの南門を少し出たところでアイナさん達と別れ、池を通りリナさんの家へ。という事になっている。

 そこでロゼリール達と落ち合う予定だ。


 中継地点を出て俺達は淡々と歩いて行く。行きと違い、魔物も全く姿を見せていない。

 思えば、蜜蜂族の巣から中継地点までも、魔物にも出会わなかったし、冒険者ともすれ違わなかったな。気になったのでグランさんに聞いてみると、


「ちょうど昼時だったからか、冒険者も昼飯がてら休憩を取っていたんだろう。」


 とのこと。俺達が中継地点の広場に着いたのも昼過ぎではあったし、空いていたのでタイミング的には丁度良かったと思う。


 そして以前1回だけ、ハルと出会った日に行った池への分かれ道に差し掛かる。

 グランさんは周囲に人がいないのを確認し、グライアを呼ぶ。

 すると草むらからガサッと音がしたと思うとグライアが勢いよくグランさんの元へ飛び出していく。

 その後ろをロゼリールが飛んできた。2匹とも無事でなによりだ。


 グランさんはグライアを撫で、ロゼリールは俺へ手に持っていた器を渡してくる。しっかり食べられたようだ。

 エマの話によると食事はこのフードで大丈夫とのこと。むしろ栄養バランスが良いので推奨された。

 プラスして、なにか蜜になるもの。花の蜜とか木の実の果汁をプラスしてあげてくれれば完璧とのことだったのでチゴの実も渡してあったが完食したようだ。


「さて…リナ、スイト2日間お疲れ様。イレギュラーな事はあったがおかげで有意義な冒険になった。」


 グランさんは俺とリナさんに向かい、そう言ってくれる。俺もアイナさんとグランさんのおかげで初めての冒険をすることができた。それにロゼリールという仲間もできた。


「こちらこそありがとうございます。凄く良い体験ができました。また一緒に冒険できたら嬉しいです。」


 俺は素直に思っていたことを言う。本当にこの2人には頭が上がらない。

 まだ初めての冒険で、慣れない面もあったし、アイナさん達にしてみればごく簡単なものだったと思う。が、俺には全てが新鮮で、まだまだ未熟だと痛感した面もあった。それを両方知れたというのは非常に有意義だったと思う。


「こちらこそありがとうねぇ。スイト君がロゼリールちゃんを助けたおかげで、私達も凄く素敵な出会いができたもの。これも冒険のだいご味の一つよぉ。」


 アイナさんがにっこり笑って言う。

 俺にとってもロゼリール、エマ、それに蜜蜂族との出会いはかけがえのないものだろう。それがアイナさん達にとっても同じで良かった。

 近々また機会があればエマにも会いに行きたい。


 ここで長話しては通行人が現れるかもしれないので、軽く話して俺達は別れることにした。

 狩りで得た肉類は今からアイナさん達が店で使うものとギルドで換金するものに分けて後日俺とリナさんに渡してくれるそうだ。

 皮等の素材類は一括して俺とリナさんが持ち、後日換金して、4等分するという話になった。


 4人ともそれに合意し、お互いの帰路へつく。

 あぁもうすぐ帰るんだなぁ…

 約2日。初めての冒険。ロゼリールとの出会い。そして蜜蜂族との交流。

 初めてにしてはなかなか濃い冒険だったんじゃないかと思う。


「さぁーて。池を通って帰る訳だけど…池に誰もいなかったら休憩して帰ろっか。」


 隣を歩いているリナさんがふと言う。

 あそこに行くのも久しぶりだな。花畑もあるし、ロゼリールも喜ぶんじゃないかな?

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