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第15話 防具や魔道具を見に行きましょう。

第15話掲載させて頂きました。


ブックマークされている方が5名に…ありがとうございます!


当面の間、1日間隔の18時に掲載を予定しておりますが、年末による仕事が多忙になる恐れがありますので、更新が遅れるかもしれません。その際はこちらの前書きにて、お知らせしたいと思います。

ご指導、ご指摘、感想、レビュー等頂けるとやる気が凄くあがります!

 スライズを出て大通りに戻る。

 お昼時を過ぎたぐらいだろうが大通りには相変わらずそこそこの人がいる。


「どう?アイナさんとグランさんの話。為になったかな?」


 横に並んで歩いているリナさんがおもむろに言う。


「もちろん!凄く勉強になりました。お二人とも良い人でしたし。」


「そう!それなら良かったぁー。」


 本当に為になる話を聞けたと思う。

 テイムの方法よりも先にテイマーとしての心構えを教えて頂けたのは凄く良かった。

 そしてテイマーとしてあるべき姿をこの目で見られたというのも今後において凄く為になった。


「テイマーの知り合いってなったら、あの二人がすぐ浮かんだの。あ!お腹が減ってたからとかじゃなくてね!」


 リナさんは否定するが、確かにあの二人は仲間を大切にしていた。それがテイマーとして理想の形なんだろうと思う。

 まだ、アイナさんやグランさんが言う『多くのテイマー』とやらをこの目で見てないというのはあるけれども…


「心構えを聞けたのは良かったです。パンも美味しかったですしね。」


「そうなの!あそこの香草入りのパンが美味しくて…セットのスープもパンに合うんだよね~…持って帰ってお店で食べようと思うんだけれど、スープがいつも気になって…」


 どうやらリナさんはスライズのファンらしい。確かに美味しかったけれども…

 リナさんはパンを6つも食べたうえにスープは俺の1.5倍ほどあった。

 女性にしてはガッツリ食べてる方だと思うが、体型は素晴らしい。栄養はどこに…あ、胸かぁ…えへへ。


「じゃあご飯も食べたことだし、次は防具や魔道具を見に行きましょう。その後あたしのお店に行って今日は終わり!って感じね!」


 リナさんのお店は噴水広場から南だったっけ。

 確かその通りには武器、防具、魔道具も並んでいると。

 武器はリナさんから貰った杖がある。が、それ以外は何もないし…

 リナさんの家とこの街の行き帰りだったら恐らく問題はないだろう。リナさんもいるし。

 ただ冒険に出るぞ!となるとやはり心許ないところはあるな…

 しかし、俺は転生してきて一文無しだ。


「あのー…俺お金とか持ってないんですけど…」


「大丈夫!あたし結構持ってるから!」


「杖も貰いましたし、その上で防具や魔道具も買ってもらうのは気が引けるというか…」


「何言ってるの!しょうがないじゃない!そもそもスイトくんがこっちの世界来たのだってあたしのせいみたいなところもあるし…」


 あーそうか。この世界に召喚したことをリナさんは負い目に感じてるのか…


「リナさん。俺はこの世界に来てまだ一日と経ってませんが、凄く楽しいです。というか、少なくとも前世は体調や精神面を考慮せずに寝て起きて働く。もしくは寝ずに働く。という感じでした。そんな世界から救ってくれたのはリナさんなんですよ。感謝はしても、文句なんてあるわけないです。」


「スイトくん…」


「だから俺の事は気にしないでください。リナさんの事を恨んでたりなんてしないですから。」


「わかったわ…でも…うーん…じゃあこうしましょう。とりあえずはあたしがスイトくんの当面の生活費を出すわ!その代わりスイトくんはあたしのお手伝いをしたり、慣れてきたらクエストを受けて少しずつでもいいから返していってくれればいいわ!それでいいかな?」


「分かりました!むしろご迷惑をかけます…」


「いいのいいの!スイトくんも気にしちゃダメよ。さ、防具屋さんに着いたわよ。」


 リナさんは大通りを一本入った路地の防具屋に入っていく。

 防具屋に入るとまず、高級そうな盾や鎧が壁に飾られていて、それに目が行く。

 そして金属でできた盾や鎧、皮でできた盾や鎧が綺麗に並べられている。


「へーい。いらっしゃ…おぉ!リナちゃんかい。」


「ガルドさん、こんにちは!今日は手袋を買いに来たんだけど…」


「はいよ。手袋だね…ってそっちの男の子のかい?」


「初めまして。スイト・イーガマックと言います。リナさんの親戚でこちらでお世話になることになりました。」


「俺ぁ"ガルド・グリアム"ってんだ。よろしくな兄ちゃん。いいなぁこんな別嬪さんと一つ屋根の下なんて…」


 恰幅の良い髭を蓄えたおじさんはガルドさんと言うらしい。

 やっぱりリナさんは美人なんだね。それにスタイルも良いときている。羨ましがられるのも当然なのか。

 そういえば、俺は今日からリナさんと住むのか。

 一つ屋根の下に男女二人…なにか間違いが…とはいえ俺は"賢者"だ。そちら方面で()()の経験値はゼロである。くそぅ…


「それはそうとどんな手袋が良いんだい?」


「杖を振るんだけどねー。打撃もできる杖だから、滑りにくい方が良いなぁ。」


「杖で打撃もするってぇとあれかい?リナちゃんの熊の手みてぇな…?」

 

「そうよ!良いものあるかなぁ?」


「とりあえず兄ちゃんの手を見せてもらおうかね。」


 ガルドさんは俺の手を取り、よし。と頷く


「兄ちゃんの手のサイズなら…よしちょっと待ってな。」


 ガルドさんはそう言い店の奥に行く。

 数分待つとガルドさんが店に出てきた。


「ほい。おまたせ。これなんかどうだい?」


 俺はガルドさんから皮手袋を受け取り、手にはめてみる。

 おぉ。サイズはぴったりだ。


「サイズはぴったりです。杖持ってみていいですか?」


「もちろんだ。…ってやっぱりリナちゃんの杖か?」


「えぇ。家を出る際に頂きました。」


「そうか…大事にしなよ。そりゃ良い物だ。さぁ早速振ってみな。」


 杖を握り振ってみる。素手の時より、グリップが効いて振りやすいな。

 恐らくだが、モンスターを殴った時の衝撃も緩和されるだろう。


「いいですね。凄くしっくりきます。」


「そうだろうそうだろう。こいつはドリルボアの皮だからな。使えば使うほど手にも馴染んでくるぜ。まぁ後は実戦で使ってみるこったな。」


 ドリルボアか…さっきスライズで食べたスープもドリルボアだったし、美味しかったな…

 皮も防具に使えるとなると、余すところがないモンスターなのだろう。


「ガルドさん。これいくら?」


「銀貨1枚と大銅貨2枚ってところだな。小中の銅貨はサービスだ。しかし性能は保証するぜ。なんたって俺の作品だ。」


「分かったわ!これもらうね。」


 リナさんは腰のポケットから銀貨と大銅貨を出す。

 なんか申し訳ないなぁ…


「ほい!毎度あり!兄ちゃんも大事に使ってくれよな。」


「ありがとうございます。大切に使わせてもらいます。」


 俺はガルドさんに軽く礼をする。リナさんの周りには本当に良い人が多く感じる。

 むしろ前世が冷たい人ばかりだったから、その反動だろうか?


「礼儀正しい兄ちゃんだ。なんか防具に困ったら俺に相談してくれ。リナちゃんのことよろしくな!」


「ガルドさんありがと!たまにはあたしの店にも顔出してね!さぁスイトくん行きましょうか。」


「はいよ!また顔出させてもらうわな!兄ちゃんも色々頑張れよ!」


 俺はガルドさんに背中を強めドンッと叩かれる。少しむせそうになった。

 そしてグリアムさんは色々の部分を強調してたな。

 色々ってなんだ…色々って…俺は経験値ゼロなんだよぉ…うぅ…

 少ししょんぼりしながら店を出る。

 そしてまたリナさんの隣を歩く。


「さぁ次は魔道具屋さんかな。ベルトを買わなきゃね。」


 ベルトか…リナさんがしている様なものだろうか?

 同じような物ならガルドさんの店にもあったような気がするが…


「ベルトだったらガルドさんの店にもありませんでしたか?」


「ガルドさんの店はねぇー。戦士向けのベルトが多いのよ。その分丈夫なんだけどね。テイマーだったら今から行くところの方が便利だと思うわ!」


 確かに、グリアムさんの店にベルトは置いてあったけれど、金属製のものだったり、長剣を差しておくポケットがいくつかついていたりしていたな。


「あたしもベルトしてるでしょー?というか冒険者には必須なんだけれど…そのベルトにポケットを冒険者は付けるのよ。あたしの場合1つはお金を入れるもの、1つは氷魔法が働いていて冷蔵保存ができるもの、あとは薬草をしまうものとかね。スイトくんはスイトくんで好きなものをカスタマイズしても良いわね!まぁあたしのお古のポケットもあるけれど…」 


 なるほど、ベルトにポケットを装着して、そこに手持ちの薬草やポーション等をしまうのか。

 イメージではリュックサックのようなものを担いでそこに入れるイメージだったが大分違うな。

 冷蔵ができるポケットには倒したモンスターの肉を収納したりするんだろう。さっき捌いたバイトラビットをポケットに入れていたし。

 色々と考えていると一つの店の前に着いた。

 そしてリナさんはその店に入っていく。


「はーい!いらっしゃい!あーリナじゃない!今日はどうしたの?」


「ルーリアも久しぶりね!んー…色々魔道具を見にきたんだけれど…」


「なるほど魔道具…ってカッコいい男の子連れてるじゃない!どうしたのよ!?とうとうリナにも男が!?」


 身長が低い女性、ルーリアさん?に一気に捲し立てられるリナさん。こんな綺麗な女性の恋人だとったらどんだけ幸せか…

 しかしどこに行っても俺を連れているだけで驚かれるな。リナさんくらい綺麗な人だったら恋人くらいいてもなんら不思議ではない気はするんだが…


「な訳ないでしょ!この子はスイト!あたしの親戚よ!今日はこの子のベルトとポケットを探しに来たのよ。」


「なーんだ…リナに恋人ができたらそれはもうゴトウッドに激震が走るのに…つまらないの…あ、スイト君だっけ?初めまして。この店の店主の"ルーリア・マイヤー"よ。よろしくね!」


「初めまして。スイト・イーガマックです。よろしくお願いします。」


 俺はルーリアさんに向かって一礼する。

 激震が走るって…大袈裟な…

 ということはリナさんはずっと恋人はいないってことか。なんでこんな綺麗な人に男の影が無いのだろうか?気になるなぁ…


「いえいえこちらこそ!よろしくね!スイト君!」


 ルーリアさんは俺を見上げてにっこりと笑う。

 可愛らしい女性だなぁ…そして魔女のようなローブを着て、三角帽子を被っている。


「ルーリアは魔法使いで、このお店の店主なの。」


「そーよ!このお店で一番偉いんだから!」


 ルーリアさんは胸を張る。が、その胸は…失礼に当たるからやめておこう。


「一番って言ったってあなたしかいないじゃないの…」


 リナさんは苦笑しながら言う。

 身長も相まって何か幼いイメージを受けてしまう。


「ま…まぁいいじゃないの…で、ベルトだっけ?スイト君は魔法使いなの?って持ってる杖リナのじゃない!?」


 びっくりした…急に大きな声出さんでも…

 ガルドさんもちょっと驚いていたが、この杖ってそんな凄い物なのだろうか。

 確かに奇抜なデザインではあると思うが…

 後でリナさんに聞いてみよう。


「ま、色々あってねー…いくら強いモンスターが出ないからって素手であたしの家からこの街まで来るのはなかなか骨が折れるからね。とりあえず渡したのよ。スイトくんは魔法使いじゃなくて、モンスターテイマーよ。それよりベルトと…あとポケットね。」


 リナさんは言葉を濁し、こちらの要件を伝える。

 確かにスライムを殴るのはなんか嫌だし、素手ではバイトラビットも倒せなかっただろう。


「そうだったわね!スイト君はモンスターテイマーだったわね…ベルトはこれなんかおススメだけど…」


 ルーリアさんは一本のベルトを出す。

 赤と白の編み込みのベルトだ。


「火と幻惑の魔法に強いベルトよ!防火はベルトが燃えにくくスイト君にも火魔法に耐性が付くわ!幻惑の魔法に関してはほぼ遮断されると言っていいわね!ほら、モンスターテイマーだったら仲間のモンスターに指示が出せなくなったら元も子もないでしょ?」


 火に耐性ができるのはありがたい。アイナさんのイエルムは光の魔法、リフルは草木を操ると言っていたが、火はダメージを喰らうし恐らく火傷も伴うだろう。人間にとって一番怖いのは火の魔法じゃないと現時点では推測できる。

 やはり火の魔法を使うモンスターや火を吐くモンスターもいるんだろうか…

 それに幻惑に強く出られるのはいいかもしれないな。

 ルーリアさんが言うように、味方に指示が出せないのは痛い。もっとも賢いモンスターだったら自分で考えることもできるだろうが…


「あとはベルトに杖が携えられる物と、カードポケット付きのコインケースと、冒険者なら採集もしなければならないからこのポケットね。見た目は普通のポケットだけど魔法を施してあるから見た目以上に物が入るわよ!これで最低限だとは思うけど…」


「そうね。ポケットも今はこれだけで十分かな…ルーリア。全部でいくらになる?」


「うーん…全部込みで、銀貨2枚と大銅貨6枚ってところかしらね!」


「分かったわ!えーっと…これで丁度ね!」


「はーい!ありがと!リナもスイト君もまた寄ってね!色々な便利な物作っておくから!」


「うん!また寄らせてもらうね。じゃあスイトくん行きましょうか。」


「ルーリアさん、ありがとうございます!大切に使わせてもらいますね!リナさんもありがとうございます。」


 俺とリナさんはルーリアさんの店を後にする。


「ルーリアさんって魔道具とか作ってるんですか?」


「そうね!あの子の趣味も兼ねてるから。実用的な物が半分。これ意味あるの?って物が半分くらいかな。今日買った物も全部あの子の手作りよ。だけどあの子の作る物は確かよ。あたしのベルトもポケットも全部あの子の店で買ったのよ。だけど全然ダメにならないわ。」


 今買ってもらったものもやはり良い物だろう。

 なんだか申し訳なくなるな…


「気にしなくていいの!それよりスイトくんが危険にさらされる方があたしは嫌だもの。それに少しずつ返してくれるんでしょ?だから気にしない気にしない!」


 あー…そんな表情しちゃってたかな。

 リナさんは微笑んでそう言ってる。俺も極力、気にしないでおこう。

 しかしルーリアさんも凄いな。そんな良い物を作っているなんて…見た目では分からないもんだなぁ。


「今は最低限の物しかないからね。こっちの生活に落ち着いたらまたルーリアの店も覗いてみようね!よし、冒険に必要な物はこれくらいかな…じゃ、あたしのお店に行きましょう。」


 ルーリアさんのお店にも色々な物が置いてあったな。

 色んなポケットや便利グッズっぽいものが…

 リナさんの言う通りこちらの生活に慣れて余裕ができたら色々周ってみるのもいいかもしれないな。

 あと必要な物か…あ!


「リナさん。申し訳ないですけど…俺が着る服ってこれ以外にありますか?」


 リナさんが用意してくれた普通の服。

 とりあえず、転生したときの為に用意したとは言っていたけど…何着かストックあるのかな?

 1着だけでは衛星的にも良くない気がする。


「あ…2、3着とりあえず同じ物を買いに行きましょう!この界隈のモンスターなら軽装でも普段着でも心配はないからね!今の服と同じサイズでいいわよね?」


 リナさんはそう言い歩いていく。

 危ない…1着で過ごすことになるとこだった…

 さすがに毎日だと汗臭かったり、体臭が気になるからなぁ…   

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