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「素晴らしい眺めでござるなぁ」
「ほんと。美しい都だね」
「…きれい」
「……お前にもそういう感性あったんだな、っ、い!?」
緩やかな弧を描いた渚に穏やかな潮が打ち寄せて、夜明け前の青白い中に橙色の頭が見えた。
白い石で作られた灯台の灯火が、徐々に体を持ち上げる日の光に負けてゆく。
薄暗い中にあっても澄み渡る海洋は、遠浅なように見せかけて実はかなりの深さだろう。
と。
うっかり失言したらしいエルフ耳の少年と、鉄拳処理を施した紛う事なき美少女を視界の端に留め置いて。
*.・*は〜、綺麗…!本に書かれていたよりもずっと素敵な都じゃない!*.・*
だからしばらく我関せず、と素知らぬフリを続けた私。
名前をベルリナ・ラコットという、ごく普通の18歳。
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待って!あれってマーライホーン!?
えっ、なんか海岸沿いにいっぱい立ってるんだけど…!!?
まさかこの都市が例の枕の原産地なんですか!?
と、驚き湧いた私の中身は、こことは異なる世界における貴重な記憶を保存中。
何だかよく分からないけど、そのまま転生しちゃったみたい☆な、若干痛い乙女です。




