17.強制報告会3
ロナルドはハロルドからさらっと「フォルツァート神のやらかしの後始末をたくさんしてきたため、フォルテ神はフォルツァート神が嫌い」と聞いて、頭が痛いというように顳顬あたりを指で叩いた。
「流石にそれ気が付いてないのはヤベェんじゃないか?あの神。俺ですら周囲に嫌われている自覚はあるぞ」
「あるんだ……」「あったのか……」
ハロルドとアーロンの心の底からの言葉が被る。
ロナルドの態度が自覚があってのものであるとは思っていなかった。あまりにも傍若無人すぎる。二人共、「自覚があるなら治せ」という目でロナルドを見つめた。
「何か言いたそうだな、ガキ共」
振り返ったロナルドはハロルドたちを睨むが、二人は揃って感情の読めない笑顔を浮かべるのみだった。
そんな様子を見ながらアンリは「喧嘩はいけないよ」と言って苦笑する。
「……先に進むことを優先したくはあるが、フォルツァート神は早い方がいいと?」
「そうすると、ハロルドが先に帰っちまってなんかの作業ができなくなるだろうつってました」
「まぁ、フォルテ様ならそう言うでしょうねぇ?協力なんて、ぜぇんぜんしたくないでしょうしぃ」
リリィが小さい声でそう嘲笑する。
確かに、フォルテならば、彼女たちの力でも、あるいは砂の妖精王であるカラムの力でもいいだろう。それらを活用してさっさとエーデルシュタイン王国に戻って休めと言うだろう。
「かと言って、無視すると祟る神だよな」
「……そうだね」
アーロンの言葉に、ハロルドはなんとも言えない顔をする。
断られたフォルツァートがキレて呪いやら祟りやら神罰を与えてくる可能性は、本当に、高い。バリスサイトの案件から見ても「そうなるだろうな」という予感しかしない。本当にいらないことしかしない神である。その場にいたほとんどの人間がそう思った。
アンリたちもそのことを考えているのだろう。ずっと難しい顔をしている。
「ダニエル」
「流石に今の状況で貴方から離れるならば、俺がここにいる意味がないとは思いませんか?」
「しかし、こういった事情もあるならば、私より優先すべきものもあるのではないか?」
「それは、貴方自身の価値を軽視しすぎであると愚考いたします」
ハロルドは王太子主従の会話を聞きながら「あ、これ、俺たちにダニエルさんをつけようとしている?」と考えて頭が痛くなった。絶対にやめてほしい気持ちである。友人の兄を危険に晒すのは勘弁してほしいものである。
(カラムに頼んで、アイマンさん連れてきてもらうとか?土地勘もあるだろうし……)
幸運の女神の加護持ちであるミハイルも家に残っているので、流石にそれはするべきではないか、と溜息を吐く。
「ルゥがいるんだから、大船に乗ったつもりでいるかしら!」
「でもおまえ弱いじゃん」
アーロンの鞄の中から神獣たちがひょっこり顔を出して喧嘩を始める。
それを見ながら、ハロルドの頭や肩に乗る妖精たちが呆れたような顔をした。
「あんなのじゃ、アタシたち以上の活躍なんて期待できないわね」
「ハルにはボクたちがいれば、じゅーぶん」
「ウチらがいれば、危険なんてないんだからぁ!」
「まぁ、確かに姉様たちがいれば大抵どうとでもなりますからね。守りは僕たちが担当できますし」
「そうだな。俺たちも姉君たちには及ばぬとはいえ、強くなった」
人間たちの悩みをよそに、神獣と妖精は「自分たちがいれば騎士なんていらない」とばかりにそんな主張をしていた。




