14.ガキ大将の突撃
ハロルドたちが自室で食事を摂っていると、部屋の外が騒がしい。
何か問題が起こっていても、ハロルドたちは関わりたくないので、全員が「何もなかったことにしよう」と視線を交わした。
その時だった。
「おい、ガキども!外に行くぞ!!」
「お待ちください、勇者様!」
「うるせぇ!なんだここの料理。ひたすら胃に優しい料理、みたいなのしか出てこない。こっちは旅してんだぞ。もう少しボリュームがある、体力のつくもんよこせっつーの!」
そんなことを言うロナルドに、ハロルドとアーロンは顔を見合わせる。
身体に気を遣った料理が出るのは、この土地ならば当然であるだろうと二人は思っていた。何せ、薬学都市。食事に関わる研究もあるのだ。研究ついでに店を出している者もいる土地である。どこに行っても、おそらくロナルドの求めるような料理は出てこないだろう。
「この都市を出てから探した方がいいんじゃないかな?」
「結構美味いけどな。この宿の料理」
「薬膳カレーとか、珍しいよね」
基本的に食事に好き嫌いのない二人はそんなことを言いながら食べ進めていた。味が気に入らない、程度で捨てるような躾はされていない。元々平民であるので、食べ物の大切さはよくわかっていた。
「つーか、ガッツリしたもん欲しいなら、自分で適当に作れよ」
「は?」
アーロンは「どうせ異空間収納色鞄くらい持ってるだろ」と呆れたような声で繋げる。
「アーロン。あれに非常食を入れている方がレアだって以前、アシェルさんが言ってたよ」
「でも、旅に出るなら入れといた方が無難じゃねぇか?旅先で自分が食えないものしか手に入らないとか、遭難するような事態になったらどうするんだ?」
「俺もそう思うんだけどね。容量を考えれば、ダンジョンにある宝箱の中身とかレアな素材を入れた方がいいって考える人が多いんだって」
「あー……安全とるか報酬取るかで言うなら、本業で冒険者やるようなやつなら後者を取るか」
二人は冒険者専業ではないので、報酬を集めるよりは食料を入れておく。しかし、ロナルドは同じタイプではないだろうと判断した。
実際、ロナルドは「いや、普通に非常食で容量圧迫してどうすんだよ」と思っていたので正解ではある。
「……正気か?危ない場所に行くのに報酬を逃す方が痛手だろうが」
「アホか?命あっての物種だろうが」
「死んだら意味なくない?」
ものすごく価値観が違う。
「一応神からの使い走りも兼ねてるから、ちょっと付き合えよ」
なお、彼らの料理目当てである。
しかし、ロナルドの言葉を真剣に受け取ったのはハロルド達ではなく、ロナルドの護衛官だった。
「勇者様。その話、詳しく」
外に出かける理由は一つでなかったらしく、そう言い出したロナルドの肩を、騎士がガッチリ掴んだ。
そして、ハロルドとアーロンは「責任者に報告と連絡と相談しろよ」という目でロナルドを見ていた。
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