11.魔力共有の指輪
ハロルドはカラムから受け取った宝石と以前マーレ王国で手に入れた(貢がれたともいう)素材を使って、三つの指輪を作った。
これは魔力を『共有』する指輪である。
(これで、『奪う』魔道具を出さずに済むな)
そんなものをロナルドの目の前で使用して、奪われるようなことになれば碌なことにならない。だから、できることならばもう少しコントロールが効きそうな魔道具を作りたいと思っていた。
元々、この砂漠で稀に手に入るという宝石があれば作ることが可能だ、と『パラケルススの秘典』は示していた。しかし、稀に、というだけあってかなり珍しい代物で、金銀財宝をハロルドに与えていた砂の妖精たちでさえそれを持ち合わせていなかった。
手に入るとは思っていなかったが、できれば欲しいと思ったそれが無事に手に入ったことでホッとする。
ファンタジー世界らしい不思議な特性を持ったそれは、ハロルドが指につけると、金色の光の中に七色の花びらが舞うようなものに変容する。
「おお……」
魔法や魔道具に慣れ親しんでいても、やはり新しいファンタジーな出来事に出会うと心が弾む。面白いものは面白いのだ。
「馬車に籠って何やってんだ?ハル」
「見てよ、これ。話してた例のアレの代替品」
「指輪?へぇ……なんかキラキラしてるな」
「身につけた人物の魔力に反応して色が変わる宝石とか、面白いよね」
アーロンはそこまでハロルドの話を聞いて、「ん?」と首を傾げた。
「そんなもの、いつの間に手に入れたんだ?」
「さっき休憩したオアシスでカラムに会ってもらった」
アーロンはのほほんとそんなことを言う友人に、少し頭が痛くなった。
カラムという名前は知っている。砂の妖精王だ。友人を気に入っているらしいカラムは、異国の植物を提供してくれている。
ハロルドは若干感覚が麻痺しているようだが、そんな近所のお兄ちゃんみたいな素振りで近づいてくる男は、妖精王なのだ。そう頻繁に会って、物をやり取りできる存在ではないはずなのだ。
(ま、そんなこと言ってたら、女神の加護を受けてる時点でって感じか)
アーロンはそんなことを考えていると、ハロルドに名前を呼ばれる。そして、同時に指輪を渡された。
「ああ、そうか。確かに俺の分もないと共有できねぇもんな」
「一応、ブライトの分もあるよ。元気だったら協力してもらいたいし」
「いや、あいつを凹ませるのは、本当に大変だと思うぞ」
そうは思うが、現に拐われているので二人は顔を見合わせて複雑そうな顔をする。
彼については軽口を叩いているが、心配はしているのだ。
「早く、取り戻さないとね」
「ああ」
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
欠片も信用されてないロナルドくん。
年末年始の連続更新はこれにて終わりになります。次回は10日更新予定です。
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