4.帰ってきた、あの子
朝食を食べて、馬車に乗り込んだハロルドたちは、妖精たちから「ジニアがこちらに帰ってきているらしいの」なんて言葉を聞かされて首を傾げた。
「ジニア……前にちらっとだけ名前を聞いた気がするけど」
「いや、そんな名前聞いたっけ?」
ハロルドとアーロンがそんなことを言うくらいだ。その名前を知るはずもないミハイルとペーターは首を傾げるだけだった。
ジニアは昔、ローズ・ネモフィラ・リリィがマナという名の女性と旅をしていた時代に一緒にいた妖精である。ふわふわの緑色の髪が愛らしい、おっとりとした女の子の妖精だった。
妖精たちとマナはとても仲が良く、生まれた家で気味悪がられたマナが家を脱出した際も、みんなで力を合わせれば何も怖くないと思っていた。
事情が変わったのは、バリスサイトに神罰が落ちた時だろうか。
マナの『緑の手』で栽培していた特産品が枯れ始めたことで、彼女の生家はマナを連れ戻そうとしていた。
そんな時に、神罰が落ちた地は追手を撒くのにちょうど良い場所にあったのだ。
そして、少しだけ協力して枯れた大地に生きるための植物を育て、その頃に花香の貴族に見初められることとなる。
「それで、マナが心配だーって着いて行ったのがジニア……風の魔法を使う妖精よ」
「ジニア、近くにいそう」
「逃げて来たのかしらぁ?それとも、マナに何かあったとかぁ?」
「わからないけど、あまり良い事態じゃなさそうなのよねぇ」
妖精たちは次いで、「面倒事だと思うから、無視でいい」と言う。
本音は困っているならば助けてあげたい。しかし、彼女たちは『自分たちがハロルドを選んだように、ジニアは苦難の道を選んだのだ』と理解している。
「まぁ、そういうことだからハルに何かある前にお知らせだけでもしとかないとって」
「ハルは巻き込まれやすい」
「ウチらが守ってあげるけどぉ、面倒は面倒だものねぇ」
報告してくれたのは助かるけれど、少しばかり反応に困る。
ハロルドだって、目の前に弱った友人がいれば助けるだろう。
(まぁ、実際に出会ってみないとどうなるかはわからないよね)
起きてもいないことを考えてもどうにもならない。避けられる面倒は確かに避けたいが、結果として誰かが傷つくならば、少し考えてしまう。
そんなところが悪いのだろうか、とハロルドは苦笑した。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
【お知らせ】
続刊&コミカライズが決まりました!!
ただいま4巻製作中です。
コミカライズに関しましては、情報解禁許可が出次第、またお知らせさせてください。
これも応援していただきました皆様のおかげです。引き続き、本作をよろしくお願いいたします。
『巻き込まれ転生者は不運なだけでは終われない 3』2025年7月25日に発売いたしました。
今回もRuki先生にハロルドたちを魅力的に描いていただいております。
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