11.君の名は
ブライトは結局、治療後のフェニックスを引き取った。ベッドの横にクッションを敷いて、そこに乗せると溜息を吐く。
(なんか、モヤモヤする)
それは、物のように取引されようとする神獣に、自分と似たものを感じたからかもしれないし、単純に傷ついた姿が見ていられなかったからかもしれない。
かつての、ベキリー家での境遇を思い出すと今でも嫌な気持ちになる。
「名前、ねぇ……」
そう呟いて、赤い鳥を見つめる。
自分ですら与えてもらったものが、目の前の存在にはないということが、どうにも可哀想に思える。
過ぎた力はいらないと思う。友人たちが苦労していることも知っているので、『特別』をいいことだとは思っていない。
けれど、弱ったフェニックスがどうなるのかを一度考えてしまうと、手放すというのも躊躇してしまう。それを人らしくなったと思うべきか、弱くなったと思うべきか。そんなことを考えながらブライトは苦笑した。
「ルーチェ、というのはどうかな」
そう呟いたブライトは、フェニックスの頭を撫でる。
「ま、聞いてないと思うけど」
そう苦笑して眠りについた。
しかし、ブライトの言葉とは裏腹に、『繋がり』は確かにできていた。
フェニックスはブライトから魔力をゆっくりと受け取って、それが赤い光となって集まっていく。
やがてそれがフェニックスを包み炎のように燃え盛る。それが消えると、赤い小鳥がクッションで眠っていた。
小鳥は目を開けると、布団に包まるブライトを見つけた。
「呑気に寝て……まぁ、許してあげるのかしら」
呆れたようにそう言うと、眠るブライトに淡く、柔らかな赤い光が降り注ぐ。
満足そうな小鳥はクッションに戻って姿勢を整えると眠りについた。
そして、朝になって目覚めたブライトはジッと見ながら「なんか……ちまっとした?」と首を傾げる。
赤い小鳥はその言葉で目覚めてブライトの目の前でポンと変化した。
「あら!お目覚めかしら、ブライト!!あたくしに何と名づけたか、教えるかしら?」
赤髪が下に向けて徐々に金色になっていく独特な髪色の美少女が、そこに現れた。ツインテールがよく似合っている。愛らしい顔はどこかブライトとよく似ていた。
「……思ってたのとなんか違う」
「な、なんなのかしら!?喧嘩を売っているかしら!」
ブライトはフェニックス、改めルーチェである神獣を見ながら素直な感想を漏らした。




