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【書籍化】巻き込まれ転生者は不運なだけでは終われない【4巻1月25日発売・コミカライズ化決定!】  作者: 雪菊
12章

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32.『英雄』の名



 王族が近くにいると、さすがに側に来ることが難しいのか、ジョシュアたちといるとほとんどの者は寄ってこない。来るにしても、ちょっとした知り合い程度である。


 そのうち、王が現れ、各国の要人の紹介が始まる。

 ラムル王国からは第三王子アデニウムとその婚約者であるモナ。

 フィアンマ帝国からは皇帝カトルとその側近であるケリー。

 花香からは東宮である紫俊熙(ズージュンシー)



「……東宮というのは国の次代だったな。フィアンマも皇帝が出てくるし、それだけハロルドが注目されているということか……」


「しないで欲しいです」



 ハロルドのどこか遠くを見るような目を見て、ジョシュアは苦笑する。

 それが欲しくてたまらない人間もいるのに、人生とは思うようにいかないものだ。


 少し遠くに、大柄な青年がいる。燃えるような赤髪と精悍な顔立ち。そして勇者という称号に惹かれて、周囲には幾人もの女が侍っている。

 イベリア・マラカイトもその一人だった。ルートヴィヒの婚約者だった彼女は、家の不正が見つかって、第三王子の婚約者を外れ、勇者を押し付けられていた。最も、イベリア自身は「真実の愛が報われた」のだと信じてやまないのだが。

 しかし、青年、ロナルド・アンモライトは現在彼女たちに全く興味がないようで、退屈そうにしている。

 ハロルドたちに注目する目線が増えたことで、その存在に気づいたのだろう。彼は女性たちに「退け」と言って軽く払い除け、ハロルドたちの方へとやってきた。



「久しぶりじゃねぇか、ハロルド」


「……久しぶりですね、アンモライト卿」


「おいおい。この間会った時の威勢の良さはどうしたんだよ?まぁ、元気そうで何よりだ。あれから、面白いことがあったそうなのに、俺を呼ばなかったのだけは気に食わないが」


「別に面白いことなんて何もなかった。それだけですよ」


「なるほど……国一つだけでは面白味に欠けるってか。言うじゃねぇか」


「いや、そう言う話ではなく」


「まぁ、いい。最終的に英雄になるのは勇者である俺だ、ということだけ覚えておけよ」



 口角は上がっているが、その目は笑っていなかった。

 いつだって、望んでいる者がそれだけのきっかけを得て、成果を上げるとは限らない。

 無欲だからこそ狙われ続け、それをはね除けてきたことで、ハロルドは結果的に名を上げることとなってしまっただけだ。彼の意思に反して評判が広がってしまったことを、ロナルドが羨む結果となったのだろう。



「……そうですね。俺にはその名は重い」



 だからこそ、ハロルドは素直にそう答えた。

 自分にそういった名称が相応しくないと、ハロルドは今でも自覚している。


 ハロルドの答えにロナルドは満足そうな顔で「わかってるならいいんだよ」と肩を叩いて去って行った。



「……あれにこそ、英雄の名は重いと思うがな」



 ジョシュアの呟きは、彼の隣で静かに頷くマリエにしか聞こえていなかった。

いつも読んで頂き、ありがとうございます。


イベリアちゃんは「ロナルドさま、好き好き(はぁと)」って感じだけどマラカイト家はめちゃくちゃ頭抱えてる。



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2024年12月25日に巻き込まれ転生者は不運なだけでは終われない2巻がオーバーラップノベルスさまより発売いたしました。

今回もRuki先生に素晴らしいイラストをたくさん描いていただいたので、ご期待ください!!

新しいキャラも描いていただきました!

特典等詳細は著者活動報告にも書いておりますので、ぜひご確認ください!

以前お知らせしたSSに加えて、オーバーラップ通販様、書泉・芳林堂様よりイラストカードが特典となっております!

挿絵(By みてみん)

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