29.強襲!?アデニウム!
「ハロルド!君も夜会に出ると聞いて!」
バーン!と扉が開いてアデニウムが現れた。なお、ハロルドたちに近寄れないのはアイマンが扉の前で立っていたからだ。笑顔を浮かべるアイマンを見たアデニウムは徐々にしょぼくれた顔になる。
彼個人としては珍しく仲良くなれたお友達に会いにきた感覚だった。彼も、王族ゆえに利害関係が絡む付き合いの方が多い。それが関係ない、趣味の合う友人に会いにきただけのつもりだった。
「あなたはもう少し、自分が周囲に与える影響を考えて行動してください」
「私は特に周囲に影響を与えないだろう?というか、新作の薬を自慢しにきただけなのに……」
「王族が何言ってるんですか」
煌びやかに着飾ったアデニウムは美しいが、不貞腐れた表情で台無しだった。
「おや、ルビー嬢も一緒か。アーロンも久しいな!男爵になるんだって?私との縁を最大限に利用してくれ!!」
視線を逸らした先で知り合いを見つけたアデニウムはパッと笑顔を浮かべて近づこうとしたが、首元を掴まれてその場でバタバタするだけだった。
「……相変わらずですわねぇ」
「つーか、ハル。薬の内容は気になるんじゃねぇの?」
「気になるけど……。とりあえずはカレー美味しかったから、そのお礼から言う?」
頭が痛いと言うようなアイマンをよそに三人は呑気だった。アデニウムが善人であることは知っているし、彼らはそれぞれ王族と関わりがあったため、特に緊張もしていない。流石に王やら王太子が出てくると緊張するけれど。
「それより、モナ様とご一緒でなくてよいのですか?」
「ちょっと友達のとこ行ってくるってちゃんと言ってきたよ!大丈夫!!」
「それって……大丈夫なのかしら」
多くのことに興味を持たないエリザベータにさえ、若干心配されている。
アーロンは「いつの間に友達になったんだ?」とハロルドに聞いていた。ハロルドも知らない。
「そうしたら、『アイマン様にご迷惑にならないようにしてくださいましね』と言われた。……モナは何故か、我が友はアイマンしかいないと思っているんだよなぁ。ハロルドも友人だというのに」
当の本人は、いつの間に友人になったかなんてわからず、曖昧な笑顔を浮かべるだけだ。
当然のようにハロルドの隣に座って、楽しそうに新しい薬について話し始めるアデニウムを止められる人間はいなかった。




