19.ちょっとした買い物
たまには2回行動!
アデニウムたちとの面会の帰り、馬車から外を見ると、確かにいろんな国の人たちが店を開いていた。
エーデルシュタインではあまり見ない種族の者たちも商いをしていて賑やかだ。
賑やかなのは商いが盛んなだけではないが。
「ネーコーをたたえよー」
「うぉぉぉおおおお!!!!」
いつもはたまに吟遊詩人が歌を披露している場所に、舞台ができている。
その中心で猫獣人の少女が可愛らしい服を着て歌っていた。スカートが短く、少し心配になるのはハロルドの前世がおじさんだったからだろうか。「にゃあ!」と彼女が叫ぶと舞台前の鉢巻をした男たちも「にゃあ!!」と野太い声で叫ぶ。その光景に少し圧倒される。
「あれ、何……?」
「フィアンマ帝国の芸人でアイドル、という職だと聞いた」
「アイドル?」
歌や踊り、演技など幅広い分野で活動するアイドルという職業。
歌もどこか転生前の日本で聞いたものを思わせる。
(……フィアンマ帝国にも転生者か転移者か……どちらかがいたんだろうなぁ)
そして、アイドルが大好きだったのだろう。盛り上がる舞台を見ながら、そう思う。
「じゃあ、カレーの材料でも探しましょうか」
「カレー自体久しぶりだな。俺も少し楽しみかもしれない」
芸能よりも食欲な二人は賑やかなそこを離れて、店を回り始めた。若干浮いてはいるが、特に気にした様子がないのは妖精たちがある程度、誤魔化しているからだ。
サクサク注文をしていくハロルドに近づく人間もいないわけではないが、アイマンの威圧でスゴスゴと引き下がる。そのおかげで平和に買い物をできていた。
「ハル。ウチぃ、ご飯だけじゃなくっておやつもほしいなぁ〜」
リリィの言葉に「いいものがあればね」と返す。
(そういえば、ジャンナガーデンで収穫したソレイユフリュイがあったな)
ソレイユフリュイとは、この世界におけるマンゴーのような果実である。切るだけでも十分に美味しいけれど、リリィが求めているのはそれを加工したものだろう。
(マンゴープリンでも作ってみようかな)
ハロルド個人としては普通に切ったほうが美味しいと思うのだが。何せ、太陽の恵みなんていうスキルとの相性が良すぎるフルーツなので。
珍しい野菜や薬草の種は見当たらないと、少ししょんぼりするハロルドだが、これは店のせいではない。彼は人外や高貴な人々からやたら貢がれまくっているせいで結構な品種を手に入れているだけである。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
猫獣人以外にも、犬獣人のアイドルもいたりする。フィアンマ帝国では美しいものが好まれるだけあって、芸能への関心が高い。奴隷として売られてきた人たちの中には、そうやって身分を確立した人もいたりする。
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今回もRuki先生に素晴らしいイラストをたくさん描いていただいたので、ご期待ください!!
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