16.お買い物
音声を伝える機能だけ全面却下するハロルドにしょぼしょぼするエリザベータ。そんな彼女の隣で、ハロルドは黒金の持ってきたアクセサリーを見ていた。
「できればアンバーの装飾品を一式揃えたいんだ。向こうで珠さんに聞いたら、黒金さんに調達してもらうことを勧められたんだ」
「一式……それはハロルド様と奥方様に、ということでよろしいですか?」
「うん。エリザに付けてもらうものだね」
一転、頰を染めてキラキラした目でハロルドを見るエリザベータは結構わかりやすいかもしれない。
アイマンはそんな彼女を見ながら、随分と変わったものだ、と苦笑する。
かつて、魔法以外に興味を持てなかった女と同一人物だとは思えない。
「奥方だなんて、まだ早いですわ」
「そう?俺が卒業したら結婚するんだからもう4年後くらいの話でしょう?意外とあっという間じゃないかな」
ハロルドは当然のようにこのまま結婚するつもりだが、横槍を入れたい貴族はたくさんいる。というか、年齢やエリザベータの生家の話を持ち出して横槍を入れようとする者はそれなりにいる。
しかし、ハロルドに近しい貴族、王家の人間たちが待ったをかけていた。
うまくいっている婚約者たちを引き裂いても何にもならない。エリザベータは確かに婚約者を見張りたがるなど問題もあるが、他でもないハロルドが受け入れている。好きだ、と口に出したという報告もあった。二人が互いに思い合っている以上、余計なことをされる方が困るというものだ。
「わたくしには長く感じられますが」
「その間は、恋人同士の時間を楽しんでもらえないかな。エリィ」
そう言って微笑むハロルドに、エリザベータは頰を染めた。
「女たらしめ……」
「エリザベータ様だけに、というのが純愛ポイント高めで私好みですわ」
ボヤくアイマンの隣で、黒金は「ほほほ」と笑いながら双子の弟たちを見ていた。何か面倒なことを言い出すのを警戒しているためだろう。
「姉ちゃん、アンバーて琥珀やっけ?」
「積荷から商品持ってこよか?」
「せやなぁ……黒い鞄に入ったやつをお願いできる?」
姉の言葉に元気よく頷いた双子は積荷に駆けて行った。
少しすると、二人で大きな鞄を運んできて、ドヤ顔で黒金に渡す。こういうところが可愛くて弟を甘やかしてしまうのだ、と黒金はちょっとだけ思った。
「陞爵の夜会に間に合うと良いわね」
「それに合わせてドレスも贈るよ。……君に似合うものを、一生懸命選ぶから」
「ハル……」
アイマンは「仲がいいのは良いことだな」と言いながら腕を組んで頷いていた。
後方お兄ちゃん面していた。
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