2.領地の異変
「ハロルドの領地に勝手に入って犯罪ってさぁ、命惜しくないの?」
ペーターの言葉に、アイマンも深く頷いていた。
双子の妖狐、黄金・白銀が言うには、アンバー男爵領に隣の領地から魔物と人が傾れ込んできているらしい。
おそらく、発生する魔物への対応ができておらず、領民が逃げ出すと同時にそれを追って魔物も来ているのだろう。
そして、逃げてきた人間が善人だとは限らない。一部が田畑を荒らし、盗みを働き、暴力沙汰を起こしている。
「……確かまだアシェルさんが王都にいたはずだから、ちょっと様子を聞いてこようかな」
「俺たちを疑うんか!?」
「ウソついてへんよ!」
「そういうわけじゃなくて、今どういう対応を取ってるかとか聞いておかないと、俺の方がいらないことをしちゃう可能性あるでしょう?」
ハロルドの言葉を聞いて、双子は耳と尻尾をペシャリとさせて頷く。
珠は頭が痛いといった様子だ。
「ファビアンさんも見回りとかで兵を出してくれとるんやけど、ハロルドさんに絶対に危害を加えへんような人材を集めなあかんこともあって、まだ人手不足なんよ。手が回ってない、っちゅーやつや」
「だよねぇ。とはいえ、状況は一応変わっているはずだから、春季休暇に入ったら相談自体はしに行こうと思ってたんだ」
現在、学生生活を送るハロルドの代わりに領地の運営をしているのはファビアン・ペリドットという男性だった。アンリが太鼓判を押すだけあって優秀かつ真面目な人物だ。隙のなさが外見にまで現れており、人によってはとっつきにくいと感じるかもしれないが、ハロルドは彼が嫌いではなかった。
だから頻繁に手紙をやりとりして学ぶべき内容の相談や、今領地に必要なことを教えてもらったりしている。
「ペーターはどう?一緒に来る?」
「……!行く!!」
誘拐された幼馴染を心配して眠れない日々を過ごしていた彼は、ハロルドが帰ってきたことでようやく体調を戻した。
ペーターにとって身近な人を失うことはトラウマになっているようだ。
好きで誘拐されたわけではないが、そばに居て元気になるなら、ある程度は連れまわしたほうがいいかなんて思って、彼のことを連れまわしているのが現状だ。
(帰った時、すごい痩せて目に光がなかったもんな。……ミハイルは別方面で疲弊してたけど)
侍従兼学友なミハイルは、ハロルドがいない間、ペーターが追いかけないように見張り、かつこの家に近づく厄介者を排除していたようだ。
ハロルドの家には特に財産と呼べるものはない。あったとしても高性能な肥料と美容品くらいのものである。それでも、金を持っているはずなのに使っている様子があまり見えないためか溜め込んでいるはずだ、と思う者もいたらしい。実際は領地の開発や教育、孤児の保護などで割とガンガン使っているが、本人が高級品を持っている様子が見られないため、狙われたようだ。
その対応もハロルドが神様パワーでぶちかましてきたことで終わり、現在は彼も少しのんびりできている。
膝の上を狙っている子狐たちをはたき落とす妖精たちを見ながら、ハロルドは出かける準備をしないとな、とカップに口をつけた。
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ハロルドは目に見えないところにガンガン金使ってる。自分よりも周囲に金使いがち。ミハイルに「私服を新調しては……?」って言われてる。
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