23.ご機嫌取りの予定
我が女神呼びを気に入らない女神が一名……
ハロルドたちは「こんな国にいつまでも居たくない」とばかりに支援物資と、やらかし連中の後始末人員を置いて、サクッと帰ることにした。ハロルドを邪魔して『何か』あってはたまらない、と誰も止める人間はいなかった。むしろここまでしていってくれるだけ非常に良心的である。
そのついでに祖父母の家に寄るあたりが家族大好きな彼らしいと言えるかもしれない。
「のどかな場所だな」
「そうか?」
ルートヴィヒの言葉に、空を見上げたアーロンが眉を顰めながら返した。視線の先にはスカークロウが飛んでいる。
彼的にはその声だけで「うるせぇ〜」という心境である。獲物を掻っ攫われた経験からか姿を見るだけで撃ち落としてやりたくなる。
当のルートヴィヒからすると「面倒な貴族やら不正がバレて泣き叫ぶ役人の声が聞こえないのはいいな」みたいなことを考えていたりする。最近ではハロルド関連の粛清もあってそういったことはほぼなくなったが、たまにあったので。
「帰ったら城も静かになっているだろうな」
「ユースティア様が、今回の件に関連する俺に危害を加えた人間は、国内の人間も巻き込んでるらしいからね」
「そうか……ところでハル。その手にある花とか草、何?」
「……俺に加護を与えているけど今回頼らなかった神様への貢物だよ」
様々な都合からユースティアを喚び出したハロルド。それはおそらく、あの国によって搾取され弱りきっていた民たちにとっては正解であっただろう。
だが、そんな人間の都合など、神たちには関係ないのである。
「……王都に戻ったらしばらく神殿でフォルテ様の機嫌を取らないと」
そう、頼られなくて拗ねている神もいた。
——フォルテである。
そのほかの神は「珍しい薬草があればよろしく」とか、「最近やってくる妹たちに受けがいいからまた今度菓子類など作る機会があればそれをくれ」とか、「ハロルドの描かれた美しい絵を供えてくれればうれしくってよ」とか。そんな物を要求する程度だった。
みんな「推しが無事ならそれで」くらいの気持ちだし、鬱憤は今回の加害者の魂を振り分けて晴らすつもりだった。
そんな中フォルテは、「私がハルの『我が女神』だもん!!私だもん!!」とハロルドもドン引くようなシャウトをしながら大地に拳を打ちつけていた。ハロルドは動揺もあって、思わず「幼女か」と口に出してしまったため更に拗ねた。
ハロルドは思い返しながら、寝っ転がって手足をバタバタさせていなかっただけまだマシだったかもしれないな、などと遠い目をする。
「おかしいですわ……?わたくしもご機嫌を取ってもらうべきでは」
「そうだね、ごめんね」
ジーッとハロルドを見るエリザベータの視線に苦笑しながら頷いた。
返す言葉もなかった。
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ハロルド「妖精たちの機嫌もヤバそう(震え声)」
アーロン(そっと目を逸らす)




