8.白蛇
ちょい短め
白い蛇を捕まえたハロルドは「これ、弱ってはいるけど精霊かな」と呟いた。
「そうだな。火の精霊だ。土地的にも相性悪いはずなのによくこんな国にいるな。我、びっくり」
袖口あたりからひょっこり顔を出したブランを見て、蛇は「おまえ、風の精霊か!」と言った。さっきまでシューシューとしか言ってなかったのに人間の言葉を話せるのかとハロルドはちょっぴり思った。
「これ、どうする?」
「悪いものじゃなさそうだしどうもしないよ」
「偶然でここにいるわけではなさそうだし始末しておいた方が良くないか?」
ルートヴィヒの物騒な言葉にぴちぴちと暴れる精霊は「吾輩はリオネルのお使いだ!」と言うとブランから聞いた第二王子の名前であることに気がついた二人は真顔のまま首を傾げた。怖い。
「リオネルはお前たちに会いたいと思っている」
「ハル、どう思う」
「会ってみよう」
即座に決めたハロルドにルートヴィヒは頷いた。何か考えがあるのだろうとは元々察していたし、これがハロルドにとって必要なものを手に入れるためであれば、自分の出番が近いことを示している。
「ハル、ちっちゃいのでいい。魔石はないか?」
「あるよ」
ブランに言われて小さな赤い魔石を取り出すと、彼女は蛇に「食っておけ」とそれを投げた。蛇はそれを丸呑みすると「なんのつもりだ」とブランを見つめる。
「いや、簡単に消えてしまうのも嫌だろ。我は嫌だったぞ」
そんな単純な答えを聞いた蛇は唖然とし、次に恥ずかしそうにぷいと顔を背けた。
「ふん!お前たちの様子を報告しておくからな!」
シューシューと戻っていく蛇を見送った彼らは自分たちの事情を棚に上げて「個性的だな」なんて思っていた。
「結界を叩いてる阿呆がいるな」
「大丈夫?」
「なんともないさ。毒を盛られて三日寝込んだ時よりマシだな」
肩を竦めてそんなことを言うルートヴィヒ。
常に身体は痛いし、気分が良いとは言えない。だが、それでもこの国の思う通りになるよりはマシだ。
二人ともがヴァイパーの想定より苦しい目、痛い目にあってきているためフォルテの加護で痛みが軽減されている分、我慢ができると判断された。
多少の痛み、苦しみ程度で逆らうことをやめるわけがないのだ。
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