16.学園にもお手紙ついた
ついに!
本日!!
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ヴィーちゃん先生は自分の顔が怖い(迫力がある)と思ってるので、普段ワザとあの喋り方してる。素はこっち。
ハロルドへのご意見書は王家・フォルテ教だけでなく、学園にもきていた。
ハロルドたちの所属する2年Aクラス担任であるヴィクトリアは「ふざけた連中ですこと」とそれを握りつぶした。
「一応、ハロルドに見せなくてもいいのか?」
「構いませんわ、どうせ断るものです」
目の前にいる赤髪の男がおもしろそうにその様子を見つめていた。
「というか、殿下。あなた、なぜこちらに?大好きな仕事はどうなさったのです」
「バリスサイトが落ち着いたからね。以前ほど必死になることもないんだ」
ヴィクトリアは微笑みを向けるこの国の第一王子、王太子、生徒の兄であるアンリ・シャルル・エーデルシュタインに胡乱な目を向けた。
かつて妹の婚約者だった目の前の男は、妹の前でこんな表情をしただろうか。
ヴィクトリアは深々と溜息を吐いた。
かつて彼女はモアサナイト公爵家の長女……それも家を継ぐはずの娘であった。次女は王太子であるアンリと婚約を結んでおり、モアサナイト公爵家は貴族のほぼ頂点にいると言っていい家だった。
ところがヴィクトリアが公爵家の仕事を引き受け出した頃、妹は「わたくしに、王太子妃は無理です」と両親に泣きついた。
やれ、アンリ殿下は仕事ばかりでわたくしを顧みてくれない。
やれ、仕事とわたくしどちらが大切なのと聞いても濁される。
やれ、わたくしは愛されていない。
挙げ句の果てに、彼女はヴィクトリアの婚約者を寝取って、子まで成したのだ。
(その子を置いて復縁を迫ったと聞いた時は、もう家はダメかと思いましたけれど)
奪われたのは婚約者だけでない。
ヴィクトリアは婚約者と妹の結婚が決まったことで、公爵家の跡取りの座も奪われた。
アンリは書類から目を一切離さなかったが、家を追い出されかけていた彼女に職を斡旋し、住む場所も与えてくれた。この男が妹をもっと構っていれば、と思わなくもないが、あの様子ではどうせいずれは不貞で首を切られるか毒杯を飲むか、そんな事態になっていただろう。
「それで、話は考えてくれた?」
「しつこいですわ。なぜ、今更わたくしなのです。そもそも、わたくしを妃にしても家の援助などありませんわよ」
「モアサナイトが関わってこないからこそだよ。私の妃に今一番求められるのは、神の寵児たちに害がないこと、次に優秀であること。家なんて養子縁組するでも何でも手はある。……それに、私はあなたが欲しい」
ヴィクトリアは自分を見つめるアンリの目を見て「しつこそう」とやっぱり溜息を吐いた。
「あの子、そんなに厄介ごとに巻き込まれているのですか?」
「……私たちでも少しどうかと思うくらいだな」
アンリの真顔と、王族以上に厄介ごとに巻き込まれているらしい事実にヴィクトリアは頭が痛かった。
「それはともかくとして、そろそろ始業時間です。お帰りください、殿下」
「わかったよ、ヴィクトリア」
部屋を出ていく彼女の姿を見ながら、アンリは「初めから彼女を望んでいたんだけどなぁ」と呟いた。
「結ばれるにはもう拗れ過ぎていると思いますが」
「それでも諦められないのが恋というものだろう」
苦笑しながら、彼もまた立ち上がる。
王太子妃が決まるのはいつだろうか。エドワードは彼女が出て行った扉を見つめるアンリを見ながらそう思った。




