14.豊穣祭の贈り物
アイマンと一緒に帰宅すると、ペーターが角の生えた兎を持っていた。すでに死んでいるらしく、ピクリとも動かない。
「あ、おかえりなさい。今日はラビットパイだよ」
「……ペーターくん、放課後にさっと冒険者ギルド裏手の山に行ったかと思ったら、これを持って帰って来たんですよ」
ミハイルがそう告げた。
それはホーンラビットという魔物だ。捻れた角を持ち、猛スピードで突進することで敵を狩る性質を持っており、それなりに凶暴である。
ペーターを見て怪我がないと確認してから「これが狩れるのなら冒険者登録をしてもいいかもね」と呟いた。登録をしておけば、各地域の冒険者ギルドの利用料が割引されたり、魔物を倒した際にお金をもらえたりする。解体もしてもらえるし、悪いことはないだろう。
「相性が良かったんだよ。俺、力はないけど足だけは早いし」
照れくさそうにかつて動かなくされた足を見る。
もう、甚振るように攻撃してくる人間も、彼を囮に逃げようとする人間も周りにはいない。それは全て、あの森でハロルドに出会えたおかげだ。
ペーターはキラキラした目でハロルドを見つめていた。
ハロルドはそんな幼馴染の様子をあまり気にしないまま、「武器も用意してみようかな」なんてアイマンと話していた。
「スキルのこともあるし、ダガーとか暗器系が合うんじゃないか?」
「とはいえ、その並びはちょっと物騒ですしね……」
暗殺者なんていう物騒ジョブスキル持ちのペーターなので、どうしようかと悩むところはある。ハロルドはやっぱり「苦労した分、少しでも優しい世界で生きることができればいいな」という気持ちで幼馴染を見ていた。当の本人は「ハロルドに敵対するならみんないなくなっちゃえばいいのにね?」なんていう思考なので全く噛み合っていない。
「ハロルドさん、領地からいくつか手紙が届いてますよ」
「ありがとう、ミハイル」
ミハイルから手紙を受け取りながら、「そういえば豊穣祭が近いから贈り物をするのはアリだな」なんて考える。
(エリザは何か修行中?らしいけど、装飾品より杖とかの方がいいのかな。……両方渡しておいてもいいかも。喜ぶだろうし。あとは、本当にこの感じで冒険者みたいなことをやるならペーターには軽い防具と武器を渡してもいいかもな。安全面気になるし。きちんと研修受けてるのかな?確認もしないと)
祖父母やアーロン、ミハイルにも何か渡してもいいかもしれないなんて思いながら部屋に戻って手紙を机に置いた。
「さて、少し目を通しておこうかな」
アシェルの筆跡を見ながら「元気かなぁ」と呟いた。
いつも読んでいただき、ありがとうございます!
ペーターには「とりあえず学業優先ね」って言ってたので冒険者登録すすめてなかった。でも黙っていっちゃうなら登録させるかーって感じ。
聖剣ユニコーンとかそんなこと……そんな、こと……?
Xでの購入&予約の声、本当にありがとうございます!!とても嬉しいです!!
【お知らせ】
2024年6月25日に巻き込まれ転生者は不運なだけでは終われない1巻がオーバーラップノベルスさまより発売いたします。
イラストレーターはRuki先生です。素晴らしいイラストをたくさん描いていただいたので、ご期待ください!!
特典等詳細は著者活動報告にも書いておりますので、ぜひご確認ください!
今後もどうぞよろしくお願いいたします!




