11.これもまた餌付け?
本日、オーバーラップ情報局公式X、ブログより正式に特典の発表がされています。また、挿絵も公式Xにて出ていますのでよろしければご覧くださいませ!
ハロルドの作ったマカロンを持った女神フォルテはご満悦だった。
ウキウキと紅茶を淹れて、口に運ぶ。
「やっぱり、ハルは気が利くわね」
作ったものはとりあえずフォルテにくれるハロルド。今だからたくさんの食べ物や花々を彼女にと持ってくる人間が増えたが、以前はそうではなかった。ここまで信者が増えたのは本当に最近だ。
好きな女という存在が現れたのは少し、モヤモヤするものがあるが、今もなお優しく温和な彼のおかげで、フォルテもまた救われてきた。
「やっぱり私も……いや、それはあの子の良いところを損ねてしまうかもしれないし」
生きている間だけ貸してあげるつもりでいればいいだろう。そう思いながら、もう一つ、と手を伸ばす。それがぶつかった。
「……なんで貴様がいる」
「そろそろ豊穣祭の時期だから、どこまでちょっかいかけていいか聞こうと思ったら変わったものがあったので……あ、甘い」
水色の髪に緑色の瞳、メガネをかけたその男はアルス。フォルツァートを父に持ち、人の母を持つ医神である。医学・薬学・治癒術などを司る神である彼はハロルドの薬草を目当てに加護を与えている。
「ほら、毎年あのクソジジイが派手に加護していますアピールをしているでしょう?ユースティア様は娘たちの躾をし直すので気が逸れているし、エスター兄上はそもそもハロルドが嫌がるだろうと目立たせる気はないようだ。とりあえずフォルテ様の意向を伺ってからと思って来ました」
「……なぜお前は私のものを当然のように食べているのだ」
呆れたようなフォルテの声に、「あ、やば」という顔をしたが、口に入れた瞬間はサクッとした食感で中身はしっとりとしている苺の旨みがバッチリ感じられるマカロンが美味しくて「もう一個ダメですか?」と尋ねていた。彼は欲望に忠実だった。
「苺ばかり取るな。他の味なら一つくらい許してやる」
溜息混じりの声は、明らかに呆れた声だった。嬉しそうに他のものを口に入れたアルスは「ハロルドの作ったレモンではない」としょんぼりした。フォルテは「そろそろしばいていいかしら」と思った。
「……レモンは木でしょう。庭では育てにくいじゃない」
「確かに。それよりも、どうするのです?」
「どうするも何も、去年と同じよ。神殿に美しいと言える程度の光を注ぐくらいね。私の加護が、変わらずあの子に注がれている。それを理解させるだけで良いわ」
あまり目立つのは嫌がるだろうし、フォルツァートの加護持ちが目立つ方がやりやすいだろう。それに、狙われがちなのも可哀想だ。
その辺り、フォルテは自制心があった。
「じゃあ、僕も何もしない方がいいですね」
ちょっとくらいアピールしておきたかったアルスだが、嫌われて薬草を供えてもらえない方が悲しい。それに、単純に同じ研究者として親愛の情もある。ハロルドは自分が研究者だなんて思っていないが、アルスからは割とそういう点で「お友達!」みたいな感じに思われていた。




