31.王城の扉
王城に向かう馬車の中、制服をガッツリ着込んだアーロンとペーターは暑そうな顔をしていた。一方で、かっちりと着込みながらもハロルドは余裕そうである。
「早く半袖になりてぇ」
「ほんとそれ……ハロルドは暑くないの?」
「慣れてるから」
普段から肌を見せないように気をつけていることもあって、涼しい顔をしている。あまり肌を露出させるのは好きではなかった。
「昔からだよねぇ。ま、ハロルドの体調が悪くなる、とかでないならイイけどさ」
肩を竦めるペーターにハロルドは苦笑した。
王城が近づいてくるとさすがに緊張してきたのか、ペーターは静かになる。アーロンの膝の上でスノウが「ついたかー?」と眠そうに頭をあげた。
「もう門を潜るころだな。起きとけ」
「だな。おれのカッコいいところを見せびらかして歩かないと!」
ふふんと得意げなスノウだが、彼の姿はバッチリ可愛い子犬ちゃんである。わうわうと楽しそうに尻尾を振っている。何も言わないのは今のままの方が癒されるからだ。
王城に着くと、真っ先にスノウが飛び出して行った。堂々と歩く様は愛らしく、皆、神獣フェンリルに頭を下げながらもどこかそわそわしている。
((まぁ、撫でまわしたいもんな))
ハロルドとアーロンは、その様子を微笑ましく見つめていた。
エドワードが出迎えてくれて、ハロルドたちは妖精の扉があるいつもの庭園へと案内される。そこにはすでにエリザベータが待っていて「あら、早かったのね」なんて口に出した。
「エリザ、おはよう。今日も可愛いね」
「うぐ……っ……!?お、おはようございます、ハル」
エリザベータは「耐性をつけるため」と言ってハロルドに「会うごとに可愛いと言ってください」と頼んでいた。ハロルドは「エリザは本当に可愛いんだから、俺は別に構わないけど……」と困った顔をしながら頷いた。
この様子を見ていると、慣れるのにはまだまだ時間がかかりそうだ。
「じゃあ、準備はいーい?」
「ボク、おばあちゃんのごはん楽しみ」
「いっくわよぉ〜?」
ハロルドたちが揃ったことを確認した妖精たちは三人で魔法を使う。三色の光が舞って、同行者たちを包み込む。
足元に三人の名を冠する花の魔法陣が浮かび上がると、転移が始まった。
彼らの夏が、始まった。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
ふんすふんすと歩くわんちゃん可愛い。




