19.魔剣と聖剣
アイマンとシャルロットがミノタウロスを引き留めつつ、ノアも攻撃を入れる。傷つけた肉体が黒く輝いて、その後すぐに傷が治るというのだから度し難い頑強さである。
(象も麻痺する毒だぞ……?巨大なジュエルシリーズっつーのはこれだから!)
舌打ちをしながらも、アイマンの剣が折られたタイミングで彼を回収したり、合間合間で魔力回復薬を飲んだりと忙しい。
ジリ貧だ、と唇を噛む。
——その瞬間だった。
金色に輝く、流星のようなものが飛んでいく。
それはさも当然のようにシャルロットの手へと吸い込まれていった。金色の光は集約されて、美しい炎を纏う。
「アイマン、ハルから預かったものだ」
「わ!?ルアくん!?」
「ノアには何もない」
ルアのあんまりな言いようと、信じられない光景にノアは目を白黒させていた。
わけがわからない。
「魔剣……?」
「そうだ。銘はお前が決めろ。聖剣の方と違って、名前はついていない」
ルアの言葉に、ノアはパッと後ろを見ると、アーロンにキレられながら薬をかけられているハロルドの姿があった。
「何やってんだ?アイツら」
「ハルが無茶した」
それ以上何も言わないルアに首を傾げながら、アイマンは剣を持ってミノタウロスを見据えた。
剣に魔力を通すと、淡い金色の光が散って紫色の光へと変わった。同時に剣身に銘が刻まれる。
そして、その剣を振るうとミノタウロスの腕が落ちた。治すことが困難な傷に困惑するそれは、攻撃を放ったアイマンをその赤い瞳で睨みつけ、咆哮する。
何度か斧と切り結んでも、その剣は折れることがなく、魔力の通しやすさからか力負けすることもなかった。
そして、アイマンは聖騎士が準備を終えるのを見て口角を上げる。後ろに飛び退いて、ノアに退却を願うと同時だった。
それは美しい炎だった。
金と赤が交じり合った、聖なる炎。
それがシャルロットが剣を振り下ろしたと同時に放たれた。それは核となる心臓を貫いて、一瞬でその命を終わらせる。
「これが、聖剣……」
シャルロットは今まで自分に合う剣というものを持ったことがなかった。だが、それは驚くほど手に馴染む。まるで何度も共に戦った戦友かのような感覚があった。
その銘は「ガラティーン」。
夜をも退ける、太陽の輝きを秘めた剣である。
【お知らせ!】
本日、6月刊先取り情報で発表がありましたので、こちらでも告知をさせて頂きます!
この度、株式会社オーバーラップ オーバーラップノベルス様よりこの作品を出させていただくことになりました。
イラストレーターはRuki先生です。
発売は6月とまだ少し先ですが、どうぞよろしくお願いいたします。




