10.友人の提案
「私も行こうかな」
「ダメですね」
「でも、ハルはいいのだろう?」
「この人は巻き込まれすぎて耐性ついてますし、一応上からの許可得てますけど、殿下は許可も女神指名もないのでダメです」
ルートヴィヒがぷくりと頰を膨らませている。少し珍しい。
「私だってハルと冒険したい。ブライトとアーロンだけズルい」
「ルイ、これ普通にイヤイヤ行ってるから。もっと楽しいことを共有しよう」
ハロルドがそう言ったことで「そういうもの?」とルートヴィヒは首を傾げた。ハロルドからしたらそういうものである。安定思考の彼は基本的には冒険なんてやりたくないのだ。今回は女神フォルテが「あのダンジョンを放っておくと自然にも被害がでそうなのだ」と溜息を吐いているし、何より未来の義弟の危機なので行くが。
「けど……やっぱり私も友の助けにはなりたいな」
「十分助けてくれているよ。いつも感謝してる」
「もしかして、この人……厄介勢な友人も転がしてる……?」
幸いにもノアの言葉はハロルドたちに聞こえてはいなかった。
ただ、おそらくアーロンが聞いたら苦い顔をしたであろう。彼もまた、「ルイもブライトも、ハルが関わるとちょっと面倒な性格してるよなー」と思っていたりしたので。なお、現在は「まぁ、ヤッベェやつの筆頭はエリザベータ様とペーターだけどよ」と思っている。
「ああ、ハロルド。こんなところにいたのか」
「ジョシュア兄上?」
そんなところに、少し疲れた顔のジョシュアが現れた。ノアを一瞥し、小声で「頼むぞ」と声をかける。ノアはそれに礼をもって応えた。
「……ルビー嬢が王城前で待ち伏せしている」
「なるほど、使いっ走りですか」
「違う!!」
ルートヴィヒの言葉に否定を返す様子はムキになっているようだった。それが恥ずかしかったのか、ハッとした表情をしてから、咳払いで誤魔化した。
「出かけようとしたら報告が入ったんだ。これでも元婚約者だからな。あまり関わらないようにと報告がくる」
「妙な噂をかけられると面倒ですからね」
ノアによる追加の説明が入る。
エリザベータがハロルドを24時間監視する勢いで見ていることは知っているので、ハロルド自身は「エリザは俺以外にあまり興味ないしなぁ」と知っている。けれど、周囲はそうではない。
貴族の面倒なところだ、とハロルドは思う。だが、それで婚約者の挿げ替えなど企まれる方が困る。
(実際、夜会に出た時の一瞬ですごい数の身上書が届いているらしいんだよなぁ。爵位をもらうのと同時に婚約も発表してるのに)
王命での婚約なので、横入りなんてできないに決まっているのに。
それらを捌いているのは後ろ盾である王家とルビー侯爵家なのが、なんとも言えない話である。
(ある意味)ノア、正しい




