15.女神のフォロー
眠りから覚めたハロルドは元気だった。いつもより身体が軽いような気もする。
足取り軽く、各所の水やりをしてから、カラムにもらった種を植えた。ティターニアの件で懲りたので種の鑑定は終わらせている。上級薬用の薬草ができる予定だ。
それから、フォルテに言われた通りに認識阻害のメガネを新調した。スキルが育っているのか、すぐに作れた。
鏡を覗くとなんかもっさりした芋男が完成していた。
「あ……あ……ハルが、ハルがぶちゃいくになってるー!?」
「どうしたの。病気?」
「控えめに言ってヤバいわよぉ?モテなくなっちゃう」
「モテなくていいんだよ。エリザ以外の目を引いても意味がないだろう」
妖精たち(女子組)の文句をさらっと流してメガネを外す。すると、いつも通りの顔が鏡に映った。
「いつものハルだ」
「この方がいい」
「ウチもぉ〜」
妖精たちにもハロルドの姿が変わって見えるというのであれば成功なのだろう。以前のメガネはすぐに慣れて彼女たちにとっては「ただメガネをかけたハロルド」だった。今回はもっと強力らしく不服そうだ。
ハロルドはその出来に満足してメガネを掛け直した。その時、「ハル、もう起きてるのか?」というアーロンの声が聞こえた。
「起きてるよ」
ひょっこりと首を出す。すると、アーロンは一度眉を顰めて目を閉じる。ゆっくりとピントを合わすようにパチパチと目を瞬かせた。
「ハルか。一瞬別人に見えた」
「そういう魔道具なんだけど……一瞬……?」
「おかしいわよ、その目!!」
「うらやましい」
「抉り取ってもウチらのものにはできないのよねぇ」
「物騒」
リリィをパチン指で弾く。「だってぇ」と言うリリィに「家だけで我慢して」と言って溜息を吐いた。
「ごめんね。彼女たちの目も完全に誤魔化せるレベルのものだったから」
「え、マジ?確かに前よりぐわんってなる時間長かったな。つーか、ミハイルとペーターには先に見せといた方がいいな」
「そうだね」
まやかしが効かないのは、彼が千里眼なんてスキルを持っているからだろう。千里までも見通す目、というだけはあるがどこまで「見える」モノだろうかとふと疑問に思った。
(でも、アーロンに不都合はなさそうだしな)
調べるのは今すぐでなくても良いだろう。ハロルドはそう考えて後回しにした。
ミハイルやペーターに説明して見せる。彼らには「まぁ、ないと普通に生活できませんしね」「俺だって幼馴染の勘で一発で分かったはずだけど」と言われて苦笑いした。ペーターはちょっぴりアーロンと張り合っている節があった。なお、アーロンにはそんな気はない。
それでもハロルドだとバレずに外出できるのはやはりいいことだ、と彼らは朝食を囲んで笑い合った。
そして、登校したらレイラが泡を吹いて倒れるまでがお約束である。
い つ も の 。




