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第二王子の私と兄




 私と兄では、頭の出来が違う。

 幼い頃から、私はそのように認識していた。

 兄は、周囲があまりに見えておらず、自分の気分の快不快で周囲の善悪を決めて批判していたし、自分に求められる立場や振る舞いというものも理解できていないようだった。

 理解した上で反抗をしているのであれば、まだ救いがあったのだが、子供がぐずるような「いやいや」を繰り返すばかりで、年下の私は呆れ返っていたものだ。


 家庭教師があんなにも言葉を砕いて説明していたのに、なぜ、理解できないのか。

 あまりに物分りが悪い兄に、なぜあれ・・が王太子に生まれてしまったのだろうと、ままならない現実に苛立ちも感じていた。

 だが、第二王子である私が兄を押しのけようとすれば、国が二分されるだろう。

 大陸にひしめき合う大小の国々が度々、戦争を起こしている時分に、わざわざ他国にきを見せるなんて愚かしいことだ。

 国内で争うなんて、下策中の下策。

 第二王子という立場は歯がゆい想いをすることもあるが、人生というゲームにおいて、私にとっては丁度いいハンデだろう。

 有能な弟として兄を支えていれば、ほぼ障害なく立ち回れるはずだ。

 無能な次期王は私を頼るだろうし、たとえ、こちらに牙を向いたとしても脅威たりえない。

 先を見据えて手に入れてきた私の有能な部下たちを駆使くしすれば、愚物の兄を懐柔かいじゅうすることなど容易たやすい。愚かな国王など、私のてのひらの上でいくらでも踊らせてみせよう。


 そうやって、私は自分の兄を見下し、無関心を貫いた。

 彼が悩み、苦しみ、くすぶっていたのを知っていながら、遠目に眺めるばかりで、煩わしささえ感じていた。

 自分が「無関心」で「無慈悲」であることに気づけない――否、そうであることに気づいても、そんな自分を「嫌だ」とも、「最低だ」とも感じられない――そんな人間だったのだ、私は。


 だが、無関係を装っていようが、今の自分がどうあるのか。私は何も選択していないつもりでいて、「何も行動しない」という選択を取り続けていたのだ。

 のちに、報いを受けることも知らずに。


駆使くし

追い使うこと。こき使うこと。

特に、機能・能力などを思いのままに自由自在に使うこと。


懐柔かいじゅう

うまく手なずけ従わせること。抱き込むこと。

うまく扱って、自分の思う通りに従わせること。

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