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仮名!その名は……

感想、並びに評価、ブックマークありがとうございます!

 仮名!その名は……




 ふぅ、喜びのあまり取り乱してしまいました、しかしリーシャねぇもついに結婚か、最初に見た時から約5年、漸く決心したのか。これは晴れ舞台にはなにか贈り物しないとね。

 あの後慌てて席に戻り、軽く咳払いしてお茶を濁します。


「改めてベアパパ、セバスさん、リーシャねぇのご結婚おめでとうございます」


「ああ、ありがとう」


「これで少し私の肩の荷もおりました、先代様も旦那様とリーシャの事は気にしておられましたらから……」


 セバスさんはホッと一息ついて安堵の声を上げる。父親としてはやっぱり色々思うことが多かったんだろうな。それにしてもベア様も幸せそうな顔してる、やっぱり長年の思いが届いたというのは大っきいんだろうな。


「それにしてもリーシャねぇと結婚したからセバスさんはベアパパのお義父さんになるんだね」


 ベア様も少しニヤニヤしながら「そうだな、これからはお義父さんと呼ばなければな」

 セバスさんも少し言葉をつまらせながらも「……どうか、公私は分けて呼んでいただければと」

 そんな事を笑いながら言っているとベアパパからこちらにも一言飛んできた。


「しかしセバスがお義父さんになるから君から見たら、いや、フゥ(・・・)から見たらおじいちゃんか」


 え? 今なんて?

 ベアパパの不意の一言に思わず思考が固まってしまった。

 なんとか口に出せたのは「そ、それって……」その一言だった。


「ああ、君の仮名(かりめい)だ、漸く決まってね……長い間待たせてしまって済まなかった、正式な方ももう決めているから、2年後を楽しみにしていてくれ」


 ベア様は申し訳無さそうに、頭を下げて一礼した。


 その時の僕はしばらく時が止まったような気がした、名前、そう、僕の名前がやっと、僕を示す名前がやっと、やっと付けてもらえた。

 そして気がついたら涙が出ていた、でもこれは悲しいから出てるんじゃない、うれしいから、ずっと待ち望んでいたものがやっと手に入った嬉し涙なんだ。


「フゥ……僕の、名前は、フゥ」


 そう言って自分の名前を確認していると、いつの間にかベア様がそばに居て、涙を拭ってくれた。

 そして、耳元で、そして辺りに聞こえないようにこう言った。


「あの時ガルドさん達とも話し合いをしてね、俺が男の子としての名前を、そしてガルドさん達は女の子としての名前を用意してくれる事になったから、期待してなさい」


 その一言を聞いてから、胸の中がすごく暖かくなっていく感じがした。

 今まで満たされなかった部分がどんどん満たされていく。

 そんな満足感を味わっていた。


「正式な名前はもっとカッコイイものだからこっちも期待しててくれよ」


 そう言って軽くワシャワシャ撫でてくれたベアパパの掌はいつもより暖かくて気持ちよかった。






 その後、セバスさん達は僕が落ち着けるように新しく紅茶を入れなおしてくれました。

 鞄(亜空間倉庫)から砂糖を取り出して、少し紅茶に入れる。

 その際にベア様とセバスさんにも分けてあげたんだけど、そこから別の話題になった。


「う~ん、甘い物と言うのは疲れが取れるな、それにしてもこの砂糖、一体何からできているんだ?」


「サトウキビぐらいしか一般的には知られてませんな、甘い物となったら後はハチミツや果物でしょうが、サトウキビ以外から作られた砂糖ですか、これの製造法を教えていただくわけにはいかないのですよね?」


 セバスさんからものすごく知りたげな顔でこちらを見つめてくる、これは算盤とかを作った時の反応と似ているな……、けどこの砂糖の材料教えて販売するとなると色々問題ありそうなんだよな。


「う~ん、作り方とか教えるのはいいんだけど販売とかとなると色々問題があると思うよ、その辺はセバスさんもわかってるんでしょ?」


「ええ、確かに暫くは賑わうでしょうな、でも喜んでいるのもつかの間に色んな所の密偵がやってきて領地が大変なことに成るのはわかりきっております。ですので販売用ではなく個人的に使用する方向で考えております。後は珍しい客人などをもてなす時用ですな。」


「ああ、そう言う方向でなら大丈夫かな? でも作るなら気をつけてくださいね」


「ええ、下手な手は打ちませんので」



 そこからセバスさんにミニギャロ製の砂糖の作り方を解説していくのでした。

 材料を聞いた二人は驚愕しながら 「「な!?これがあのミニギャロから!?」」

 と言った感じに驚いていた。そりゃそうだよね、ミニギャロって色んな所で栽培はされて入るけど基本的に保存食で、味もあまりいいとは言えない食材だもんね。金に困って食べる人がよく食べるそうだけど好んで食べる人は滅多にいないとか。

 でも、調理次第ではそこそこ食べれないこともないんだよね……。


 一度実際にセバスさんに作ってもらったんだけど、やっぱり光りましたね、錬金術のスキルが影響してるんですかねやっぱり。

 けど出来上がった時のセバスさんの顔はなんだか驚きながらもすごく嬉しそうな顔をしていました。

 なんとなくですけど、好物を目の前にした様な笑顔をしていた気がします。


「セバスさん、甘いもの好きなの?」

 思わずそう聞いてしまった。そして少し逡巡してからセバスさんはそれに頷いてから。


「ええ、実はそうなのです。甘いモノは疲れを取るのにちょうどよくて、ですが砂糖はかなり高価ですからなかなか……」


「なるほど、でも食べ過ぎには注意だよ、虫歯になったり太ったりする原因にもなるからね」


「ええ、分かっておりますとも」



 しかしセバスさんが甘いもの好きか……こんどなにか作ってみるかな?

 そんな事を考えながらクーゲル邸を後にしたのでした。


 そしてそんな所にガルドパパたちからの連絡が入った。


ガルド「夕方には帰るからな~」


 どうやら今日帰ってくるみたいです。


ヴェルグ「なにか買ってきてほしいものはあるか?」


 どうやらお土産買ってきてくれるみたいです。あるかわかんないけど一応書き込んでおこう。


息子改めフゥ「油とか卵とかミルク、後は色々食材とか香辛料がほしいな~、でも香辛料は高いだろうからムリしないでね。それとベアパパから仮名(かりめい)もらったよ!パパ達からもらえるもう一個の名前も楽しみにしているからね」


ガルド「ああ、こっちはもう決まっているから楽しみにな」


ヴェルグ「なるべくご期待に添える様にお土産も買って帰るからな~、いい子にして待ってろよ~」



 時刻はまだ4時、帰るにはちょっと早いかな~と考える夕方でした。

 そして背後にはこちらを見つめるキラリと光る瞳があったのだった……。




 という訳で主人公の名前の一つがフゥになりました、ここから正式な名前に発展するのですが皆さんはなんて予想するでしょうか?

 ちなみにフゥとフー、言い方としてはどっちがいいんでしょうね?


 そして最近息抜きに流行りものを短編で書こうか考え中。


     ではまた次回

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