第35話 病魔退治クエスト――ボス戦(終結)
「ちょっと待った! ここから先は通しません!」
ルクスハートがセイントアックスを構えて叫ぶ。
「とーしません!」
セラがルクスハートの肩にしがみつきながら、言葉を繰り返す。
「《ルクスハート流斧術――十字架》……!」
リモルビスへ連撃にて、十字にセイントアックスが振るわれる。
バギンッ……!
リモルビスのシールドが破壊される乾いた音が響く……。
「今です! ヴェル様!」
「ありがとう……。ルクスハート、セラ……! 《超吸収》……!」
俺はリモルビスに直接触れ、吸収していく。
「グァァァ……。我が……人間如きに……。病魔大厄たるリモルビスが…………」
リモルビスの声は聞こえなくなり、完全に俺に吸収される。
「ふぅ……。何とか吸収できた……。流石に疲れたな……」
俺は地面に腰を下ろす。
「大丈夫ですか⁉ ヴェル様、すぐに回復を……」
ルクスハートが駆け寄ってくる。
「ああ、回復は大丈夫だよ。不浄宮にはゆっくりとだけど自動回復の力もあるから……。あと、リモルビスを吸収してすぐだから、聖なる力の《ヒール》と相性が悪い……」
俺は少し申し訳なさを感じつつ声を出す。
「……ゆっくりとでも回復できるなら、いいですけど……」
ルクスハートは心配そうな表情だ。
「あ! どんどん、森の緑色の穢れ……なくなってく!」
セラが嬉しそうに声を上げる。
「リモルビスを倒したからな。二人共助かったよ。改めてありがとう」
俺は二人に笑いかける。
「もう! ありがとうを言うのはこちらの方ですよ! ヴェル様は一瞬の判断がすご過ぎて、ついていくのがやっとです……。でも、あの時、『上』に逃げるように言ってくださって助かりました! 穢れで強くなった魔物達を相手にしてたら、私達じゃ負けてたと思うので……」
ルクスハートはやや興奮気味に言葉を紡ぐ。
「セラもそう思う! すごい! すごい!」
セラは俺の周りを駆け回る。
「セラが神獣セラファーンのハーフだったから、もしかしたらって思っただけだよ。伝説では空をも駆けるって聞くからな……」
俺は軽く笑う。
「ヴェル様は謙虚ですね。……とにかく、助かりました! 少し休んだら、森を出ましょうか。魔物もまだいるでしょうし……。そうだ! 今のうちにヘブンススキル使っておこう。《魔力全快》……」
ルクスハートの身体中が黄金色に輝く。
見ているだけでわかる。ルクスハートに魔力がみなぎっていく……。
「ルクスハート……。ヘブンススキルなしであれだけ戦ってたのか……。正直、驚いてるよ……」
俺は素直に言葉を出す。
「森から出ることも考えると、魔力は温存しとかなきゃなので! まあ、ヴェル様の作戦のおかげですよ!」
ルクスハートは嬉しそうに笑う。
「はは。謙虚なのはルクスハートの方だろ……? でも、助かる。俺もそろそろ動けるようになる。三人で協力して、森を無事出よう」
その後、ルクスハートが自分とセラに《ヒール》を使い、傷を回復する。
俺は念のため、自身の自己回復で傷を治すこととした。
帰り道にも魔物は出てきたが、強敵を倒してレベルの上がっている俺達の敵ではなかった。
そのまま、問題なく森を抜け、セリュカンに戻れた――。
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