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第14話:ネットの掲示板の反応 4件目

 ネットの掲示板の反応)


 ネットの掲示板「犯罪捜査研究室」では、かつてないほどの盛り上がりだった。「文豪」の連続殺人のためである。


 室長「1件目自殺、2件目箱入り、3件目自然死、そして、4件目爆死!? これは同一の殺人犯かな?」


 今日話すべきテーマを投げかけるのは掲示板の管理人として優秀だ。


 インテリ「結局は無差別殺人なんですかね? それぞれに共通点はないみたいだし、毎回手口がバラバラです」


 インテリの言うように、昔から連続殺人といえば共通の手口をもって判断していた。しかし、今回の連続殺人は手口はバラバラ、被害者の共通点も分からない。普通だったら、それぞれの関連が疑われるところだろう。毎回「文豪」が犯行声明ともいえる予告を出していること、その内容を小説で語っていることから「連続殺人」と判断されていた。


 リーマン「でもなんか違和感あるんだよ。うまく言えないけど」


 インテリ「1,3件目は殺したことを言わなければ分からなかったはず。2,4件目は派手な殺人。それぞれ手口が全く違うから?」


 リーマン「そうかも」


 ここで掲示板の住人たちにより犯人のプロファイリングが始まった。


 キャバ「被害者は、会社員、女子高生、会社員、会社員。男女関係ないし、会社員狙いってのもなんかしっくりこないねー」


 主婦「ワイドショーでも取り上げられたときは、被害者に共通点はないみたいって言ってた」


 リーマン「じゃあ、殺人は殺人でも無差別殺人? 犯人像はつかみにくいなぁ。単に異常者?」


 被害者に共通点がなく、殺害方法も毎回違う。殺人に傾向もない。そうなると、一貫性がない異常者ということになってしまう。


 室長「『文豪』の目的はなんだろう?」


 リーマン「殺しだろ?」


 室長「何のための殺人かってこと。何らかの目的があるって考えてみたんだけど」


 インテリ「たしかに。異常者には異常者の理屈があると思う」


 キャバ「そういうの犯罪捜査研究っぽい!」


 リーマン「そういう板だから! ここ!」


 室長「確実に殺すパターンとチャンスをやるパターンがあるとか?」


 リーマン「どゆこと?」


 室長「1、3件目は確実に殺すから、情報を出したときにはもう死んでた。2件目は何らかのことをしたからかろうじて生き延びた……みたいな」


 インテリ「マスコミでは発表ないですけど、2件目の女子高生は実は生きてるって話がネットで出てましたね」


 主婦「ネットだと噂もあるから事実かは信ぴょう性が低いですよね」


 キャバ「絶対生きててほしい!」


 リーマン「でも、生き延びても手足切断とかエグいだろ」


 室長「4件目が公開されたら、より詳しく分析できそうだな。これまではだいたい月に1回くらいだから、この調子ならそろそろ4件めだな。インテリさんはどう見る?」


 ここで室長がインテリに話を振った。


 インテリ「自分は2件目に注目してる」


 リーマン「JKだから? かわいいよな。流出画像みたぜ」


 インテリ「それもあるけど、殺せるのに殺さずバラバラにして自宅に送りつけてきてる」


 リーマン「親はトラウマだろうな」


 インテリ「その意図が分からない。結果、殺せなくて生き残ってます」


 リーマン「あんなかわいい子は生きてくれてよかったぜー、応援したい!」


 ここで話が少しそれる。


 主婦「そういえば、2件目の被害者ちゃんは名前も顔も学校も流出しちゃったみたい。でも、かわいいから募金が始まったらしいよ」


 リーマン「あ、俺も募金した! 仮想通貨で」


 室長「ちょっと募金してくる」


 キャバ「室長さんもかわいい子には興味あり?」


 室長「まあ……ね」


 主婦「なんか募金額が2000万円だか、3000万円だかいったらしい」


 リーマン「下手なクラファンより金が集まってんな!」


 キャバ「カワイイは正義!」


 所詮はネットの掲示板。今日も取り留めのない話に花を咲かせて終わるのだった。

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― 新着の感想 ―
かつては、動機で犯人を特定したりもしたのだけれど。 動機なき殺人を超えて、小説にしたいから殺人とか言われると、どうにもならなくなるなあ。時代が変わったかあ。
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