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異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜  作者: 青山喜太


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属性

「では、魔力の放出の訓練は完了じゃ。ついでに形態変化の訓練も終了してしまったがの。」


 魔力の放出の訓練。つまり先程までの鬼の様な吹き飛ばしの訓練は、その様な意図があってのことだったのだ。しかし納得のいかない部分もある。


「あんないきなり始めるなんて、私、ビックリした。」


  エイダは訓練中思っていたことを口に出した。それを聞いたアレン先生は少々申し訳なさそうに笑いながら謝る。


「すまんかったの、でもあれが一番効果的なんじゃ、ああやって追い詰めた方が、無意識に攻撃魔法へと魔力を転換しやすいのじゃ。」


 エイダはそれでも少しばかり厳しすぎる様な気がしたが、実際、防御の魔法を無意識に使えたためアレン先生の指導方針は確かなものであると納得せざるを得なかった。


「では次の訓練は魔力の属性変換じゃ」


 アレン先生は、これ以上自分の教育方針に対して突っ込まれるとバツが悪いのか、言及を避ける様に訓練を次の段階へと進めたがった。


「魔力の属性変換?」


  エイダはそんなアレン先生思いを知ってか知らずか、次の訓練に興味を抱き始める。


「ああ、お前さんが発動していたのはいわゆる無属性魔法と呼ばれる基本的な魔法じゃ。お前さんを吹き飛ばしたのも、無属性魔法である。撃退の魔法じゃ。」


  エイダは思い起こす。あの忌々しい不可視の魔法だ、訓練中では散々煮え湯を飲まされた魔法である。

  アレン先生は例の特訓を思い出し少しばかり苦い顔をしているエイダを横目に苦笑しながら説明を続ける。


「これから教える魔法はな、そこにさらに属性を加えるというものじゃ。発動する魔力に炎や雷といった属性をな。」


  アレン先生は再び前足を返し肉球を、天空に向けると、例の魔力の光球を出した。紫の光を放つそれは、何度見ても美しく見える。


「炎よ」


 そうアレン先生が呟くとその紫の光の玉は火球へと姿を変える。


「わぁ…」


 エイダは素直に、感心してしまう。


「そう、素直に見惚れられるとワシとしても、教えがいがあるの。」


 アレン先生はどうやらこう言った反応をする人物が好きらしく。ペラペラと喋り始めた、魔法のことについて調子良く喋り始める。


「先ほどの「炎よ」というのはいうのはじゃな、いわゆる、詠唱というやつじゃ、ただの言葉ではないぞ。魔法とはな想像の具現化なのじゃ。想像には、言葉の力というものが実に強く影響しておる。」


 アレン先生は手元にある火球を見ると「雷よ」「氷よ」と呟く、すると火球は迸る雷の塊に、さらに氷の塊に、変化していった。


「言葉が、あるから人間は、認識ができるんじゃ、エイダお主は、目に入るもに名前のないものは存在しておるか?」


 エイダはすぐに答える。


「ない…!」


「そうじゃろう、そうじゃろう!世の中名前のないものは、存在せん。あったとしてもすぐに人は名前をつけるじゃろう。世界は言葉でできているといっても過言ではない。」


 アレン先生は 氷の塊をさらに「風よ」と呟き、つむじ風を肉球の上に作り出した。


「そして時に言葉は、その場にないものを思い起こさせる。つまり想像上のものじゃな。魔法使いはまずそうやって、言葉の力を借り、想像を現実に具現化させるのじゃ。ではやってみよ。」


  エイダは頷きかけたが、まだ重要なことを聞いていない。


「あのやり方は…?」


「ああ、すまんの!ちゃんと教えるぞ!今回ばかりはその方が効率がいいからの、良いか?まずは手のひらに先ほどの魔力の光球を出すのじゃ。」


「わかった!」


 エイダは安心した。また再び説明もなしに攻撃でもされたら気が気でないからだ。

  言われた通りにエイダは手のひらに白い光球を出す。


「ふむ相変わらず綺麗な白い魔力じゃの。」


「何か違いがあるの?」


「魔力の色はそのものの性質を表しておる、とかいう輩も、おるし、得意な属性の色を表しておるとも言われておる。ああ、あと重要な特性として、同じ色の魔力使いは相性が良くての様々なことができたりするのじゃ。」


「様々なこと?」


「例えば、ワシなら紫じゃな、紫なら、紫同士の魔法使いは、魔法の干渉ができたりするのじゃ、じゃから勝手に魔法の起動をしたり、魔法を乗っ取ったりすることができるのじゃな。まあ、攻撃魔法とかの単純すぎる魔法は逆に乗っ取りにくくなっとる。ただの相手を傷つけるだけの純粋なエネルギーじゃからな。もっぱら乗っ取られやすいのは、結界とかの防御魔法じゃの。」


「じゃあ私は白い魔力の魔法使いの人に注意しなきゃいけないのね。」


「いや白い魔力の魔法使いは、どの色とでも相性良くての、誰でも干渉できる。」


 それを聞いてエイダは少し落胆する。


「じゃあ弱いってこと?」


 アレン先生は笑う。


「そうとも限らんぞ、誰にでもでも干渉されるということは、誰にでも干渉できるということ、防御面では弱いかもしれぬが攻撃面では最強に近い。それに魔法使いは魔法に干渉されない様に、鍵をつけておくものじゃ。」


「鍵?」


「ああ、干渉してきたものを逆に跳ね返す様な反撃の魔法のことじゃな。それが開発されたため今では乗っ取りなどというものはかなり高度な技術になっておる安心せい。それも後で教えてやるからの。話を戻そう。まずは属性変換じゃ。光球を出してから炎になれと口に出しながら念じるんじゃ。」


「わかった!先生!」


 エイダはそういうと早速、魔力を変化させるべく、アレン先生の言う通りに、やり始めた。


(さて、属性の変換は初心者なら難しいはずじゃが…エイダなら…)


 期待を込めてアレン先生は見守る。すると、エイダの白い光球の中心に赤い淡い光が混じり出した。その淡い赤い光は瞬く間に、白い光球の中心から広がり、火球へと姿を変える。


「属性変換、成功じゃ。」


 アレン先生は微笑みそういった。



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