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異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜  作者: 青山喜太


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ようこそ

  銀髪の男との勝負は決着した。アレン先生の光線の魔法が直撃したのだ、無事では済まないだろう。


「アレン先生を甘く見過ぎたな。それにしてもデルタレイの射程内に誘導できてよかったぜ。サンキューな先生!」


「アホ!間に合わなかったらとんでもないことになっとたぞ!」


  アレン先生は人間の姿のまま怒る、久方ぶりの強敵だったのだ。「後ろを取られて目潰しも食らうなど油断しすぎじゃ!」と。

  アレン先生が、人間の姿のまま怒るのは珍しくあまり見ない光景のため、ドンキホーテは笑いながら謝る。


「悪かったよ先生。」


「笑い事じゃないわい!全くぅ!」


 そんな事を言いつつドンキホーテはエイダをアレン先生に任せ、「デルタ・レイ」によってできたクレーターに近づく。貴重な遺跡だというのにこんな大穴を開けてしまったのは罪悪感があるが、まぁ仕方のないことである。

  爆煙がはれると、クレーター中に横たわった男が見えた。あの銀髪の男だ。流石に死んでいるのか、動かないドンキホーテは近づくと脈を測るべく、首に手を当てようとした。その時だ。

  銀髪の男は突然飛び上がりドンキホーテに雷を纏った手刀をあびせようとする。

  対するドンキホーテはそれをすぐさま察知し、手刀を両手で防ぐ、電撃は受けるものの明らかにドンキホーテを傷つけられるような威力ではなかった。


「チッ!」


 銀髪の男はそのまま羽を展開して空へ浮かぶ。そしてエイダを横目で見ると、何処かへ飛び去って行ってしまった。


「どうやら危機は去ったようだね。」


 マリデは遺跡の影から姿を現わす。


「ボス助かったぜ、謎を解いてくれてなかったらどうなっていたことか。」


「何をいう君のアビリティはがあってこそさドンキホーテ。」


  そう言いながらマリデはエイダに近づくと、魔法の詠唱を始める。


「勝利の余韻に浸っていたいところだけどね、敵の増援が来るとも限らない。急いで移動しよう。」


「賛成じゃ、わしも、もう人間の姿にいられる時間は少ないみたいじゃしな、力が抜けていくわい。」


「それでは行くよ」とマリデが魔法を起動させる。

 起動までに数分ほどかかった、この転移魔法だが発動するのは一瞬だ。魔力はドンキホーテ達を飲み込み、何処かへと連れ去って行った。


  エイダは激しい揺れを、感じ目を覚ます。


「ここは…?」


 どうやらエイダがいるのは誰かの腕の中のようだ。

  エイダは自分を抱えてる人物を見る。鮮やかなエイダよりも長い髪、白を基調に黒が入っているローブを纏ったその美女はエイダが目を覚ましたのに気づいたのか、微笑みかける。エイダは思わず。「すみません」と腕の中から離れ自分の足で立ち上がる。

  するとその美女は八重歯を見せながら笑い。


「良い、良い、別に気にせんからな。」


  と気さくに返した。エイダはその声にどこか聞き覚えがあった。


「ようエイダ、もう目が覚めたのか?」


 後ろからドンキホーテに声をかけられる。エイダは驚き辺りを見回す。ここはそういえば先程までの遺跡ではない。

  エイダの目の前に広がっている景色は、寂れた遺跡などではなく、立派な屋敷であった。そしてエイダがいるところは、どうやらその屋敷の庭で、ここも手入れが行き届いている、豪華で優美な、花壇や木々があった。時間もあまり経過していないようだ。月が見える。

  いやそもそもこの女性は誰なのか、エイダの疑問を答えるように女性は影に包まれ、見覚えのある。白猫へと変身していった。


「アレン先生?!」


 猫に変身したアレン先生は軽く伸びをして、鳴く。


「そういえばこの姿を見せるのは初めてじゃったの。」


  エイダはこの状況が飲み込めなかった。

  すると、どこからともなく「コホン」とわざとらしい咳が聞こえた。


「やあ、エイダくんどうやら着地の衝撃で目覚めたようだね。」


 わざとらしい、咳をしたのはマリデだ。


「こんなところで立って話すのもなんだし、あの屋敷で話をしないかな。それに服もボロボロだし。着替えを渡そう。」


「はい…」


  そういえばいつのまにか服も胸の部分に、風穴が開き、周りに血がついていた。エイダはとにかく状況が飲み込めなかったが。マリデの言う通り、屋敷へと入ることにした。


 屋敷の中は、とにかく綺麗であった。何処にも、埃一つ落ちておらず。手が行き届いていることがわかる。他にも絵画や、彫像などの美術品が数多くあり、屋敷の長い長い、廊下を彩っていた。その廊下をエイダは屋敷のメイド共に歩いていた。こんな夜遅くだと言うのに、よく働いてくれる。


「こちらがエイダ様のお部屋になります。」


「ありがとうございます。」


  エイダは案内された部屋に入ると、中の部屋の豪華さに度肝を抜かれた。あの観光用の飛空挺のような、一人でいるには、あまりにも広いような部屋であった。メイドはそんな驚いているエイダを横目にテキパキと、代わりの服を着せ、破れた服は「では縫っておきますね」と回収されてしまった。

  着替え終わったエイダは再び、メイドに促さられる、「旦那様がお待ちです。」とエイダは再び、メイドに案内され、ある部屋の前に連れてこられた。メイドが、ドアをノックする。


「エイダ・マカロ様をお連れしました。」


 ドアが開かれる。その部屋は執務室のようだった。事務仕事用の机に座っているマリデが見えた。


「改めて黒い羊へようこそエイダ君」


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