第437話 『 嵐龍装填・崩天斬華 』
「……やっぱり高いな」
……まあ、この程度は予想の範囲内だ。
「……確かに高い壁だ」
……だが、この壁を越えないと俺は何も守れないし、何処にも行けねェんだよ。
「よしっ、俄然気合い入ったっ……!」
極 ・ 闇 黒 染 占
――俺は黒いオーラを全身に纏う。
「来なよ♪ 」
「ああ、そうする――よっ」
俺は一瞬で〝白絵〟との間合いを制圧し
――目の前にいた〝白絵〟が霧散した。
(――〝立体映像〟! なら本体は?
「 ♪ 」
――〝白絵〟は既に俺の頭上で攻撃の体勢をとっていた。
白 き 閃 光
――閃ッッッッッッッッッ……! 白い閃光が地面を吹き飛ばした。
「かわせるだろ、お前なら♪」
〝白絵〟が粉塵舞う大地に着地する。
同 時 。
――俺は粉塵に紛れて、〝白絵〟に斬り掛かる。
「ははっ、ほらね♪」
〝白絵〟は〝光剣〟で俺の斬撃を受け止める。
「 〝白轟〟 」
「――っ」
白い光が降り注ぐ。
俺は鍔迫り合いを止め、後ろへ跳ぶ。
――着弾。目の前に光の柱が立ち、地面に巨大な穴を穿った。
「ほら、まだまだだよ」
「――くっ」
次々と光の柱が雨の如く降り注ぐ。
俺は後退しながら光の柱をかわし切る。
光線が地面を貫く度に舞い上がる粉塵。
「――あっ」
……そのせいで気づくのが遅れたのだ。
「 〝光の射手〟 」
無数の光の矢に包囲されていたことを……。
「 ×1080♪ 」
(――千ッッッ……!?)
千を越える光の矢が一挙に降り注ぐ。
「空龍心剣流――……」
柳 の 舞
――俺は際限無く降り注ぐ光の矢を斬り落とす。
(――数が多過ぎるっ!)
数だけではない。一撃一撃が全て強化されており、一発でも食らえばただではいられなかった。
(――集中しろ、尚且つ冷静であれ)
俺は高速連撃で次々と光の矢を切り落としていた。
「おおー、やるねー」
〝白絵〟が呑気に笑う。
「でも、周り見た方がいいよ♪」
「――っ!」
――真上から巨大な光線が迫っていた。
「潰れちゃうよ♪」
「――クソッ」
――集中。
光線の着弾まで後一秒。
光の矢と矢の間隔は0.3秒。
――まず、俺は光の矢を斬り落とす。
同時、魔力を刃に乗せる。
――次の光の矢を斬り落とす。
同時、俺は刃を上空へ斬り上げる。
神 月
――着弾。周囲一帯が吹き飛んだ。
「……………………へえ♪」
舞い上がる粉塵が晴れ、〝白絵〟が楽しそうに笑う。
「あれを凌ぐかぁ♪」
……そこには無傷で立っている俺がいたからだ。
「……流石にちょっとキツかったぜ」
俺は苦笑いを溢す。
千を越える光の矢と地面を穿つ光線を同時に捌いたのだ。けっして、余裕とは言えなかった。
(だが、奴の奥の手に付いていけてる! これなら行けるぞ!)
我に勝機あり。
今度はこちらが攻める番であった。
「やるなぁ、まさかここまでやるとはね♪」
〝白絵〟にはまだ余裕があった。
(……不気味だな)
俺は一歩後ずさり、〝白絵〟の動向を窺う。
「じゃあ、そろそろ五十パーセントで行こうか」
――〝白絵〟が目の前まで迫っていた。
「 な♪ 」
(――さっきよりも速いっ!)
俺は後ろへ跳ぶ――が、それよりも速く〝白絵〟の手は俺の手首を掴んでいた。
「逃がしはしない♪」
「――っ」
――閃ッッッ……。〝白絵〟の空いた手から目映い光が拡散する。
(ゼロ距離攻撃っ!)
白 き 閃 光
これは避けられねェ――から!
「ゼロ距離――……」
俺は避けることを諦めて、〝白き閃光〟に闇の魔力を乗せた一撃で迎え討つ。
闇 夜 崩 拳
――轟ッッッッッッッッッッッッッッッッッッ……! 光線と拳が衝突し、その余波で周囲一帯が吹き飛んだ。
「――ぐっ」
俺の体が爆風に吹っ飛ばされ、地面を転がった。
(押し負けた! 明らかに火力が上がってやがる!)
俺はすぐに体勢を立て直し、〝白絵〟の姿を捜す。
(何処だ! 気配が無い! だったら風で!)
風 読
――掴ッッッ……! 〝風読み〟を使うよりも速く、〝白絵〟の手が俺の頭を掴んだ。
「 ♪ 」
「――シロェ
――ゴッッッッッッッッッ……! 地面が弾け跳ぶ程の力で顔面から叩きつけられた。
「――っ!」
「まだだよ」
〝白絵〟の掌が白く光る。
(――ここで追撃かっ!)
闇 夜 崩 拳
――ゴッッッッッッッッッ……! 俺は地面に強烈な拳撃を打ち込み、地面を吹き飛ばす。
「――っ」
(――今だッッッ……!)
〝白絵〟の手が僅かに緩んだ隙に俺は奴の手を振りほどき、間髪容れずに顔面に蹴りを打ち込んだ。
「――♪」
しかし、〝白絵〟は小さな魔法障壁を間に挟み、蹴りを回避していた。
「 〝白轟〟 」
―― 一瞬の攻守逆転からの逆転。直ぐ様、光線が降り注ぐ。
「――っ!」
今度は受けずに、後ろへ跳んで光線を回避する。
「……」
「……」
……強い。今のままでは凌ぐのでやっとであった。
「さっきから逃げてばっかだけど、それじゃあ僕には勝てないよ」
「わかってるさ、そのぐらい」
……どうやら、温存できるのもここまでのようであった。
俺の魔力は〝闇々覇手〟のお陰でほぼ際限がなかった。
しかし、それは魔力に限っての話である。
――体力
……無論、俺の体力ではない。ウィンの体力だ。
ウィンは体力の無い他の精霊よりも更に体力が少なく、今まで長時間の〝憑依抜刀〟を避けていたのだ。
しかし、今の〝白絵〟はウィン無しでは歯が立たなかった。
「ウィンッ……!」
俺は茂みに隠れていたウィンを呼ぶ。
「出番だっ!」
「はいっ……!」
ウィンが茂みから飛び出し、俺に駆け寄る。
拒 世
ウィンは霊体となり、〝空門〟の中に溶け込んだ。
「 〝憑依抜刀〟 」
嵐 龍 装 填
崩 天 斬 華
……風が吹く。
……それは俺を中心に渦を巻く。
「……それがお前の奥の手かな?」
「ああ、そうだ!」
俺は刃を構える。
「挨拶代わりの一発だ、避けろよ」
「――」
刃が振り抜かれる。
〝白絵〟が魔法障壁を展開する。
次 の 瞬 間 。
――周囲一帯の木々が一本残らず吹き飛んだ。
打ち上げられた木々が重力に従い落下する。
気づけば、見渡す限り障害物は無く、広い地平線が広がっていた。
「――五分だ」
――つぅ……、〝白絵〟の頬から鮮血が滴り落ちる。
「五分で決着をつけてやる……!」
……俺は切っ先を〝白絵〟に向け、高らかに宣戦布告した。




