第99話 『 勝率0.1%の戦い 』
――0.1%
……それは勝率。
「……貴様は誰だ」
……この目の前に立つ怪物に勝てる確率だ。
「空上龍太」
「ギルド=ペトロギヌス」
俺は〝SOC〟を構え、ギルドは〝太陽の杖〟を構える。
「今すぐに立ち去れ」
……〝むかで〟は溜め息を吐くように吐き捨てた。
「貴様らと遊んでいる時間は無いのだよ」
――ギュウッ……。〝むかで〟の威圧感に心臓が握り潰されるかと思った。
……大丈夫だ! 怯むな!
俺は自分を叱咤して、〝むかで〟と向き合う。
「嫌だね、フレイとカノンを見逃してくれるって言うんなら話は別だが」
「……愚かだな」
……交渉決裂だ。
「……」
「……」
「……あっ?」
……〝むかで〟の姿が消え
「 なら先に貴様らから片づけてやろう 」
――トンッ……。〝むかで〟が俺とギルドの丁度間に立っていた。
「「……っ!」」
……速すぎる! 反応できな――
「……ぐっ!」
「かはっ……!」
――気づいたら俺とギルドは膝を着いていた。
……殴られたのか? それすらもわからなかった。
「この程度の実力でよく威勢よく噛みつけたな」
――間髪容れずに前蹴りが目の前まで迫っていた。
「……え――――――――」
――俺は氷の壁が瓦解するほどの威力で蹴飛ばされた。
「タツタさん……!」
「 人の心配をしている暇はあるのか? 」
――ギルドの土手っ腹に前蹴りが叩き込まれた。
「――かはっ……!」
「……断言しよう」
ギルドは床を転がり、俺は崩れた氷壁の中で倒れていた。
「貴様らに俺は倒せない」
……強い。
「絶対にな」
……強い!
これが〝KOSMOS〟の頭領にして、〝七つの大罪〟――〝強欲〟の〝むかで〟の実力。
……格が違いすぎる。
「そこで寝ているがいい、そして、二度と俺に歯向かうな」
それだけ吐き捨て、〝むかで〟はフレイの方に向き直った。
「さあ、俺についてくるんだ、〝フレイチェル〟」
「……」
後退りするフレイに〝むかで〟は更に畳み掛ける。
「二度も言わすなよ、〝フレイチェル〟。何の為にコイツらを生かしてあるのかを考えてみろ」
「……っ!」
〝むかで〟の言葉にフレイは目の色を変えた。
「貴様からあらゆる抵抗を奪い、一切歯向かわないコレクションとして完成させる為だ」
……ふざけるなよ、フレイは人形じゃねェんだぞ。
「さあ、これで最後だ。俺の手を取れ」
「……」
……笑いもすれば、泣きもする。
「さもなくば、貴様の大切な仲間の指を一本ずつ切り落とす」
「……」
……人の痛みもわかるし、誰かの為に命を懸けられる優しい奴なんだよ。
「さあ、選べ」
「 黙れ 」
……〝むかで〟が強い……もう、そんなことはわかりきってる。
「……貴様……まだ意識があ――――」
「フレイは優しい女の子だ」
俺は〝むかで〟の言葉を静かに遮った。
「人形なんかじゃない……!」
――ドッッッッッッッッッ……! 大量の極黒の魔力が吹き出した。
「てめェのコレクションでもねェ……!」
そう、フレイは! フレイは――……。
「 俺達の仲間だ……! 」
超 ・ 闇 黒 染 占
「カノン」
「……タツタくん?」
勿論、俺一人で勝とうだなんて思ってはいない。
「さっきやろうとしたアレ、やってくれ」
「でも、アレは周りの人達も危険が及ぶかもしれないんだよ!」
「 構わねェ、俺が許す 」
「……っ!」
〝むかで〟に勝つにはどうしてもカノンの力が必要なんだ。出し惜しみなんてしてらんねェんだよ。
「もし、その力でフレイやギルドを傷つけようもんなら俺が殴ってでも止めてやるよ」
……だから。
「お前の全力を俺に見せてくれ……!」
そ し て 。
「勝つぞ! 無敵の怪物――〝むかで〟にな……!」
「……」
……頼む、乗ってくれ。
「……………………わかった。信じたよ、タツタくん」
カノンは頷き、魔力を研ぎ澄ます。
「 勝とう、あいつに 」
装填――〝黒朧〟……。
「〝強欲〟を討つんだ……!」
黒 龍
――ドッッッッッッッッッ……! 黒い魔力が全身から吹き出した。
「準備はいいか、カノン」
「当然♪」
「愚かだな」
……一瞬の静寂。
「……」
「……」
「……」
――俺とカノンと〝むかで〟が飛び出した。




