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552話 顛末・その1

 あの後、ナイン達と合流した。

 みんな、ぼろぼろになっていたけど……

 神様が言っていたように、酷い怪我を負っている人はいなかった。


 一安心。


 天使達も……フラメウもカマエルも戦闘を停止していた。

 やっぱりというか、彼女達にとって神様の命令は絶対らしい。


 いつか、彼女達も人間のことを理解してくれればいいな、って思う。


 まずは、怪我を癒やして。

 それから戦いの疲れも癒やして。


 そして、改めて神様と話し合う。




――――――――――




「私は……これから、どうすればいいと思いますか?」


 そう問いかけてきた神様は、以前とはまったく違う別人に見えた。


 まるで子供だ。

 迷子になって、家に帰る方法がわからなくて……

 ぽつんと、途方に暮れている。


 その気持ちはわからないでもない。


 ずっと前……

 俺も、レティシアから離れた時、どうしていいかわからなかった。

 広い広い世界を前にして、どこに歩いていけばいいかわからなかった。


 その時はアリスに助けてもらった。


 簡単なことだ。

 こっちにおいで、と手を差し伸べればいい。


「どうすればいいかわからない?」

「はい……」

「なら、俺が手伝うよ。悩んでいること、一緒に考えるよ」

「それは……しかし」

「そもそも、さ」


 神様は、根本的なところでズレていたんだと思う。

 それを指摘する。


「人間と世界を管理するのなら、人間の意見も必要になると思わない?」

「……」

「まあ、俺が代表とか、ちょっと偉そうすぎるというか……ただ、なにもないよりはマシだと思うんだ。もちろん、ダメな意見を出す時もあると思う。その時は、遠慮なく却下してもらっていいよ」

「……」

「一人よりは二人、二人よりは三人。っていう感じで、たくさんの人がいた方がいい知恵が出てくるよ。一人で考えていたら、閉塞感が出て、行き詰まると思う」

「……今回みたいに?」

「うん。だから……」


 俺は、神様に手を差し出した。


「一緒に旅をしない?」

「え」


 神様が目を大きくして驚いた。


 ついでに、アリスやレティシア。

 アンジュ達も驚いていた。


 ただ、口を挟むことはない。

 バカなことを、と止めるようなこともない。

 全部、俺に任せてくれている。


 それは信頼の証。

 素直に嬉しい。


「人間のことは、俺達と一緒にいることで学んで。世界のことは、旅をすることで学んでいこうよ」

「私が、旅を……」

「色々なことを『知る』ことができるよ」


 俺がそうだった。


 なにも知らなくて。

 勢いだけで飛び出して。


 でも、旅をすることで成長することができたと思う。

 ものすごく、とか大きなことは言えないけど……

 ただ、それなりにマシになったんじゃないだろうか?


 色々な人と出会い。

 色々な事を経て。

 知ることができた。


「だから、どうかな?」

「私は……私は、あなたのようになれるのですか?」

「それは無理」

「え」

「俺は、俺だけだから。俺のようになるんじゃなくて、あなたは、あなたらしくあって……それで、色々なことを知って成長していけばいい。変わればいいんだよ。そして、大きくなっていけばいいんだ」

「そう……なのですね」

「だから、行こう」


 もう一度、手を差し出して。


「……はい」


 神様は、ゆっくりと俺の手を取るのだった。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
再び新作を書いてみました。
【氷の妖精と呼ばれて恐れられている女騎士が、俺にだけタメ口を使う件について】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] いい話〜と言いたいが(ʘᗩʘ’) また同行者増えるのか?(٥↼_↼) まあ人の一生なんて神から見れば一瞬に満たない物だろうけど(-_-メ) 自分で知るのは大事な経験だしな(⌐■-■)
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