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548話 最後の力・その3

「いい加減、倒れるがいい」

「しまっ……!?」


 デミウルゴスは、さきほどと同じように炎弾の雨を降らせた。


 ちょうど、アリス達は攻撃を終えた後。

 体勢を崩していて、避けることは難しい。

 かといって、あんなふざけた攻撃をまともに受け止めることはできない。


 アリス達は思わず目をつむってしまうけど……


「シールド!」


 アリス達の前に出て、防御魔法を展開した。

 巨大な岩がぶつかったのかと思うような激しい衝撃が伝わってきた。

 それでも魔法を解除することはない。


 絶対に守ってみせる!

 ここまで来たんだ。

 誰一人、欠けてなるものか。


 そんな強い決意が通じたのか、どうにかこうにか炎弾をやり過ごすことができた。


「ハル!」

「大丈夫、アリス?」

「え、ええ……なんとか。レティシアは?」

「私も大丈夫よ」

「私もです」

「お兄ちゃん、なにか策が? 試してみたい、っていうことは?」

「うん、ばっちり」


 指で丸を作る。

 ついでに笑顔もセット。


 そんな俺を見て、アリスが怪訝そうな顔に。


「なんか……ハル、こんな状況なのにすごく落ち着いているわね」

「そうかな? うーん……そうかもしれないね」


 なにがあろうと前に進むと決めたからかもしれない。


 別の意味で覚悟が定まったのだろう。


「どうするわけ?」

「私達にできることはありますか?」

「うん。みんな、手伝ってもらえると嬉しいかな。それで……」


 デミウルゴスをまっすぐに見る。


「終わらせよう」




――――――――――




 彼女は困惑していた。


 力の差は圧倒的。

 普通に考えて、この差を覆すことはできない。


 それなのにハル達は諦めない。

 しつこく、しつこく……

 何度も立ち向かってくる。


 理解不能だ。


 それ以前に、なぜ自分の思想を理解できないのか?

 なぜ保護を拒否するのか?


 人間は雛鳥のようなものだ。

 親による保護が必要となる。

 巣の中で。

 籠の中で。

 静かに生きていけばいい。


 それなのに、わざわざ危険に満ちた外に飛び出そうとするなんて……


 理解不能。

 理解不能。

 理解不能。


 ハル達のことがまったくわからない。

 ただただ困惑するしかない。


 そして……

 わからない、ということは、ある意味で恐怖に繋がるということ。

 知らない存在ほど、なにをしてくるかわからず、わずかながらも恐怖を覚える。


 だから今、彼女は焦っていた。

 いい加減、決着をつけようと焦っていた。


 それが致命的な問題となる。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
再び新作を書いてみました。
【氷の妖精と呼ばれて恐れられている女騎士が、俺にだけタメ口を使う件について】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] 所詮は作られた神(ʘᗩʘ’) 今の物を守るのが全てであり、自分が作っても規制品の類似品まで(-_-メ) 自分の役目が終わる事は想像もできんか(⌐■-■)
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