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546話 最後の力・その1

「いててて……」


 目を覚ますと、体のあちこちが痛む。

 見ると、けっこうな範囲の火傷を負っていた。


 あの攻撃を受けて、これだけで済んでいるのはマシな方だ。

 たぶん、魔王がなんとかしてくれたんだろう。


「ハルさん! だ、大丈夫ですか!? セイクリッドブレス!」


 アンジュが慌てて駆けてきて、治癒魔法をかけてくれた。

 痛みが引いていく。


「ありがとう、アンジュ」

「いえ、これくらい」

「ハル、大丈夫!?」


 残りのみんなも駆けてきた。


 その間もデミウルゴスの攻撃は続いている。

 レティシアとフランがなんとか防いでいるものの、それも時間の問題だろう。


「このままだとまずいわ。最悪……」

「うん、アリスの言う通りになるかもしれないね」

「や、やけに落ち着いているのね……?」

「まあ、色々と」


 改めて覚悟が定まったからだろう。


 迷いはある。

 正しいか? という疑念は残る。


 でも。


「前に進むって約束したから」

「ハル?」

「一つ試してみたいことがあるんだ」




――――――――――




「ハルは、なにか気づいたのかしら?」

「さあね。どちらにしても私達のやることは変わらないわ!」


 アリスとレティシアは剣を振る。

 その刃が通ることはない。

 仮に通ったとしても、まともなダメージを与えることはないだろう。


 それを理解しているのだけど、取る行動は変わらない。


 時間を稼いでほしいと言われた。

 なら、その期待に応えるだけだ。


 前に出る。

 前に出る。

 前に出る。


 二人は協力して刃の嵐を生み出した。

 それをデミウルゴスに叩きつけてやる。


 ダメージは通らないものの、しかし、剣圧は通る。

 若干ではあるが、デミウルゴスが押され、さきほどまでの勢いが衰えていた。


「私もがんばります!」

「ここまできたら、とことん!」


 アンジュとフランは二人のサポートの回る。


 ありったけの補助魔法を常にかけ続けて。

 天災のように降り注いでくるデミウルゴスの攻撃を、防御魔法で防ぐ。

 あるいは軽減する。


 アンジュとフランのサポートのおかげで、アリスとレティシアはまだ戦えているようなものだ。


 四人の力を合わせたからこその結果。

 ただ、それでも届かない。

 まとなダメージさえ与えていない。


 それでも諦めない。

 絶望してやらない。

 まっすぐ前を見て、戦い続ける。


 なぜ、そんなことができるのか?


 彼女達は信じているのだ。


「なんとかしてみせる」


 そんなハルの言葉を信じている。

 彼という存在そのものを信じている。


 それは、今まで紡いだ絆の現れ。

 心の色が表に出た結果。


 絶対になんとかしてくれる……と、笑って言うことができるのだ。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
再び新作を書いてみました。
【氷の妖精と呼ばれて恐れられている女騎士が、俺にだけタメ口を使う件について】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] 心境は整ったようだけど( *゜A゜) 何するの?此方も魔王形態に変身か?Σ(゜д゜lll)
感想一覧
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