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540話 最後の戦い・その3

 攻撃を防いでいるのではなくて。

 避けているわけでもなくて。


 無力化してしまう。


「なんて、デタラメな……」


 その上で、とんでもない威力の魔法を操る。

 反則すぎる。


 どう戦えばいい?

 どう倒せばいい?


 ふと、閃いた。


「アンジュ、フランの様子は?」

「もう少しで治療が終わります。ただ、意識が戻るかどうかは……」

「うん、了解。そのまま一緒にいて、守ってあげて」

「ハル、あたし達は?」

「とにかく、三人で攻撃をしかけるよ。色々な方法で。もしかしたら抜け道があるかもしれない」

「抜け道だけじゃなくて、なにか策があるんじゃないの?」

「レティシア、鋭いね」

「伊達に幼馴染やってないわよ」

「頼りになるよ」

「ふ、ふん」


 みんなと一緒なら、うまくいくかもしれない。

 そんな希望を抱いて、三人で同時に攻撃をする。


「フレアソード!」

「トリプルスラッシュ!」

「フラッシュエッジ!」


 三人で三角形を形成するように動いて、それぞれ攻撃を叩きこんだ。


 一撃一撃が上級魔法に匹敵する威力だ。

 魔人や天使が相手だとしても、それなりのダメージを与えることができるだろう。


 しかし……


「無駄だ」


 デミウルゴスは無傷。

 同時に反撃が来て、今度は炎が吹き荒れた。


「シールド!」


 ダメな時も想定していたため、今度は迅速に動くことができた。

 防御魔法を展開。

 俺だけじゃなくて、みんなも同時に守る。


 どうにかこうにか炎をやりすごす。


「ちょっとハル、ダメじゃない」

「即座に反撃をしかけてくるとか、とんでもない反応速度ね」

「……うん、やっぱりだ」


 今の攻防で確信した。


「なにがやっぱりなのよ?」

「デミウルゴスが作り出した剣技や魔法は通用しない。なぜなら、彼女が作り出したもので彼女を傷つけることはできないから。でも、今の攻撃、例外があったんだ」

「……あっ。ハルのフレアソード」


 アリスが驚きに目を大きくする。


「うん。あれはデミウルゴスが作り出した魔法じゃない。俺が作り出したもの。だから、デミウルゴスの言う理屈は当てはまらない」

「でも、防がれたわよね……?」

「たぶん、天使や魔人が持つ結界のようなものを展開しているんだろうね。比べ物にならないほど、とんでもなく頑丈な。それでも、あえて攻撃が通じないって言ったのは、たぶん、俺達の心を折るため」


 なにをしても攻撃が通じることはない。

 わりと絶望的な状況で、普通なら諦めてしまうだろう。


 デミウルゴスはそれを狙っていた。

 だから、あえて演じてみせた。


「なら……ハルの攻撃なら通じる?」

「ううん。みんな、通じるよ」


 俺の推測が正しいのなら、デミウルゴスは無敵じゃない。

 とんでもなく高い防御力を誇るだけで、それ以上の火力を叩きつければ突き破ることができる。


 そして、俺達はその火力を生み出すことができる。


「アリスは、精霊の力を借りた攻撃を。レティシアは……その」

「わかってるわよ。魔人の力、でしょ?」

「ごめん……できる?」

「ふん。誰にものを言っているの」


 レティシアは怒るわけではなくて、不敵に笑う。

 とても頼もしい。


「なら、私は天使の力かな?」


 振り返ると、意識を取り戻したフランの姿が。


「フラン! 大丈夫?」

「うん、なんとかね」

「なら、後ろの方で……」

「そういうわけにはいかないよ。ここまで着いてきたのは、私の意思。そして、色々とやるって決めたのも私の意思。最後まで付き合うよ」

「……ありがとう」


 こうしてわかり合えたことが、すごく嬉しい。

 フランを知ることができて、すごく嬉しい。


「私は、みなさんのサポートをします」

「うん。お願い、アンジュ。それと、俺は……」

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
再び新作を書いてみました。
【氷の妖精と呼ばれて恐れられている女騎士が、俺にだけタメ口を使う件について】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] さてさて此処で通用するか(ʘᗩʘ’) アニメや漫画展開なら合体魔法でふっ飛ばす、は小学生でも思いつく展開だが果たして(⌐■-■)
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