表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

523/547

532話 後ろに退くよりも前に進む

「これからのことを考えよう」


 一通りの説明が終わり、次に、今後のことを考える。


 神様との話は決裂した。


 なるほど。

 魔王が言っていたように、神様は話が通じるようでまるで通じない。

 己の存在意義を成し遂げることを最優先に考えて。

 そして、その存在意義が正しいと信じて疑わない。


 こういう相手は厄介だ。

 自分は正しいことをしていると思いこんでいるから、説得することは難しい。

 むしろ、異なる意見をぶつけると、その時点で敵として認定されてしまう。


 事実、俺達は牢に監禁された。


「これからもなにも、まずはここから逃げないと」


 アリスが当たり前のことを言う。


「ここは敵の本拠地よ。フラメウにカマエルに……それに、他にも強力な天使がいるんでしょう? それと、汎用の天使も。あたし達は今、獣の巣に迷い込んだ羊のようなものよ」

「賛成ね。強制転移させられたような罠や、牢のような厄介な場所もあるかもしれないわ。もう一度同じ状況になった時、逃げられるかどうか」


 レティシアがアリスに賛同する。

 ただ、アンジュはいまいちな表情だ。


「ただ……そのままでいいんでしょうか?」

「どういうことっすか?」

「うまく逃げられたとして、その後は……その、どうするんでしょうか?」

「「……」」


 アンジュのストレートな疑問に、アリスとレティシアが黙る。


「神様の問題は解決していませんよね? そこが、少し心配で……」

「付け足すのならば、逃げた場合は戻ってこれないと考えるべきでしょう。魔法やフランさまのお力を借りることで、天上都市からの脱出は可能かと。しかし、戻ってくることは限りなく難しいのではないかと」


 ナインの言う通りだ。

 話が決裂した今、再び戻ってくることは難しい。

 フランがいるからこそ、転移で天上都市に来ることができるけど……

 そのフランが『敵』として認定された今、それも難しいだろう。


「今がチャンスだね」

「なにがっすか?」

「神様を叩くチャンス」


 シルファが物騒なことを言う。


 でも……

 その物騒な台詞、否定できないんだよね。


 今いる場所は、天上都市。

 そして、そこの中枢部分。

 二度、踏み込むことはできないかもしれない。


「……」


 逃げるか?

 あるいは、逆に攻めるべきか?


 考える。


 天上都市には、天使や神様のことを知るためにやってきた。

 ただ、互いの思想は一致せず、話は決裂した。


 どうする?

 どうすればいい?


「……あくまで、俺個人の考えとして聞いてほしいんだけど」


 少し考えてから、言葉をゆっくりと紡ぐ。


「俺は、神様を放っておいたらダメだって思ったんだ」


 世界を管理して、再生のために尽くしてきた。

 その働きは確かなものだ。

 神様がいなければ、人間はとっくに滅んでいたかもしれない。


 ただ……


 神様と話をした時も言ったけど、もう限界なのだと思う。

 人間は強くなった。

 助けられるだけの存在じゃなくて、自分で立ち上がり、歩いていくことができる力を手に入れた。


 いつまでも守られているだけの存在じゃない。


 今まで色々なところを旅して、色々な人に出会い。

 そのことを知り、そんな答えに辿りつけるようになった。


 人間は……弱くない。

 したたかさと狡猾さと。

 そして、強さを持っているはずだ。


「巣立ちの時を迎えているんだと思う。でも、いつまでも神様の庇護下にいたら、それも叶わない。というか、これ以上は歪んでしまうような気がする」


 人間と世界を守る。

 神様はその使命を達するために、歪んだ行動を見せている。

 軍事都市の事件がいい例だ。

 政治に直接的に介入して、自分の思うような世界を描こうとした。


 それはもう、守るではない。

 言いなりにする、だ。


「魔王の後継者とか、そういうのは関係なくて……ハル・トレイターとしての個人の意見と感想だ。神様は暴走を始めているような気がする。だから……放置できない。ここで決着をつけた方がいいと思う」


 これは俺個人の考えだ。

 みんなを気軽に巻き込むことはできない。


 でも……


「なら、決まりね」


 アリスがまとめるように、笑顔でそう言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
再び新作を書いてみました。
【氷の妖精と呼ばれて恐れられている女騎士が、俺にだけタメ口を使う件について】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[気になる点] >人間に近いので、ダメージはちょっと大変です 成程、つまり天使は世代が新しくなるにつれて身体能力や使える魔法の強さは上がっていく半面 人間に近付いていく弊害で旧型にはできた人形ならでは…
2023/07/13 16:00 退会済み
管理
[一言] ここで逃げたら歴代魔王と同じくただ天に向かって叫ぶだけで終わるだろうし(ʘᗩʘ’) 神様のお膝元ならもう一度直談判出来るだろ(⌐■-■)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ